「量子コンピュータ」実用化に向けグーグルがいよいよ動き出す

FUTURUS / 2014年9月5日 11時55分

米グーグルは9月2日、量子コンピューターの開発に着手したことを発表した。

グーグルの研究機関であるGoogle Researchの発表によれば、グーグルの「Quantum Artificial Intelligence Lab」チームが量子コンピュータのハードウェアの設計と開発を行うためのイニシアチブを発足させる。

また、このイニシアチブに、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティニス(John M. Martinis)教授の研究グループが加わることも分かった。

■ グーグルに集まる頭脳

グーグルの量子コンピュータ開発に参加したマルティニス教授の研究グループは、量子コンピュータ研究では世界でもトップクラスと言われており、2008年には超伝導量子コンピュータを実現している。

また同教授は、今年の4月には低温物理学分野で与えられる「Fritz London Memorial Prize」を受賞しているが、その権威は、同賞の過去の受賞者10人がその後、ノーベル賞を受賞しているということからも推し量ることができるだろう。

今回のプロジェクトへの参加のために、マルティニス教授の研究グループはグーグルのサンタバーバラ・オフィスに拠点を移している。

マルティニス教授の研究グループはまた、4月には量子コンピュータの発展に大きな貢献をしていた。

Wikipediaによれば、量子コンピュータでは従来のコンピュータのビットに対して、キュービット(量子ビット)で計算する。ビットが0と1のいずれかの値しか持てない事に対し、キュービットは0と1の値を任意の値で重ね合わせて持つ事ができる。

例えば100キュービットであれば、1ビットが持つ2の100乗分の値を保持して計算できるということだ。

ところがこのキュービットが不安定であるために、それを補正する技術が必要だった。マルティニス教授等は、キュービットの不安定性を取り除く量子誤り訂正技術なるものを実証したことを発表したのだ。

この量子誤り訂正技術によって、量子コンピュータの商業開発が現実味を帯びたのだという。

■ Googleの量子コンピュータへの拘り

グーグルが量子コンピュータの研究を行うのは今回からではない。「Quantum Artificial Intelligence Lab」は2013年の5月にNASA(米航空宇宙局)と提携して設立されているのだ。

また、D-Wave Systems社のコンピュータが本当に量子コンピュータかどうか怪しいと言われた時期に、最も早く購入したと言われているのもグーグルだった。

そして今回の発表は、いよいよグーグル自身が量子コンピュータのハード開発に着手したことを示している。

グーグルのエンジニアリング責任者ハートムット・ニーブン(Hartmut Neven)氏はブログで、マルティニス教授の参加で、量子コンピュータの新しい設計の試験や実装が可能になったと記している。


■ 量子コンピュータが注目されている

以上のことから、グーグルが独自に量子コンピュータのハードウェアを開発しようとしていることが分かった。かつては量子コンピュータは夢のコンピュータと言われた時期があったが、グーグルにマルティニス教授の研究グループが合流したことなどから、商業化の現実味を帯びてきたと見られている。

ところで、日本でも同じく9月2日に量子コンピュータの開発に貢献したとして、理化学研究所創発物性科学研究センターの蔡兆申(ツァイヅァオシェン)チームリーダー62歳と東大先端科学技術研究センターの中村泰信教授46歳が今年の「江崎玲於奈賞」に選ばれた。

両氏は、超伝導の素子を開発し、量子ビット(つまりキュービット)を使った基本的な計算ができる回路を作ったことで、量子コンピュータ実現への突破口を作ったとして評価されたのだ。

いよいよ、夢のコンピュータとされてきた量子コンピュータの実用化への機運が高まってきたのだろうか。

*画像出典:Martinis Group – Home、And the Fritz London Memorial Prize Goes To… | The UCSB Current、D-Wave Systems – Wikipedia, the free encyclopedia

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