FCV、PHVの仕組みとは?次世代自動車を整理してみた

FUTURUS / 2014年10月6日 8時2分

最近、FCやHV、EVといった次世代自動車の話題が騒がしくなっている。専門用語が多く混乱気味の読者もいるはず。そこで用語のまとめや背景などを説明したいと思う。

まず、次世代自動車が話題になる背景から簡単に説明したい。簡単に言えば資源問題だ。

現在世界一の自動車マーケットはアメリカを抜いた中国だが、10年ほど前の中国市場はアメリカどころか日本よりも小さかった。

しかし、10億人を超える人口をバネにあっと言う間に世界トップに。そして、中国に続けとばかり同じく12億人を擁するインドが飛躍を狙っており、さらにブラジルやロシア、そしてアフリカが続く。

つまり、今後、自動車市場は、まだまだ拡大すると予想されている。しかし、石油の供給量はまったく増えてはいない。単純に、この調子でクルマが増えていけば、いつかガソリンが足りなくなるのだ。そのときに、EVやHV、FCといった次世代自動車の技術を持っていない自動車メーカーはノーチャンスとなる。つまり未来に備えて、自動車メーカーは次世代自動車に先行投資をしているのだ。

また、遠い未来の話ではなく、規制という現実的な問題もある。

日本にも燃費規制があるように、欧州や北米にも燃費規制がある。特に欧州は厳しい。今、大きな話題になっているのが2020年の欧州の燃費規制だ。CO2排出量を95g/km以下(24.3km/lに相当)にしないと罰金を課するという。

コンパクトカーならばクリアできそうだが、これを大型の乗用車やSUVで達成するのは難しい。そこで燃費に優れる次世代自動車が俄然、必要になった。そのため日本メーカーだけでなく、特に欧州のメーカーが次世代自動車に積極的になってきたというわけだ。

■ 基本の用語はHVとEVとFCの3つ

続いて次世代自動車にまつわる用語を説明したい。まずHV(ハイブリッド)だ。エンジンとモーターという2つの異なる力をミックスさせて走るクルマだ。その代表格は、世界初の量産ハイブリッドの名誉を得るだけでなく、実際に大ヒットとなったトヨタのプリウスだ。

そのハイブリッド用の電池に、直接、外から充電できるようにしてあるものは、PHV(プラグイン・ハイブリッド)と呼ぶ。三菱のアウトランダーPHEVのPHEVは「プラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ヴィークル」の略だが、これはあくまでも三菱独自の呼び方。基本的にはアウトランダーPHEVも普通のPHVとなる。

続いてEV(エレクトリック・ヴィークル)。電気で走るクルマである。

日産のリーフや、三菱i-MiEV、BMWのi3などが該当する。純粋に電気だけで走るため、ピュアEVと呼ぶこともある。また、電池容量(=航続距離)の不足を補うために、発電用エンジンを搭載するアイデアがある。そのシステムをレンジエクステンダーと呼ぶ。つまり発電用エンジンで走行出来るレンジ(距離)をエクステンド(拡張)するという意味だ。BMW i3にはレンジエクステンダー版も販売されている。

FC(フューエル・セル)は燃料電池のこと。そのFCを使って走行する車両がFCV(フューエル・セル・ヴィークル)=燃料電池車である。単純にFCと省略されることも多い。

燃料は水素だ。

その水素を大気中の酸素と反応させることで発電し、その電気を使ってモーター駆動する。つまり、電池の代わりにFCを積んでいるだけで、実際の走りはEVとなる。また、減速時の運動エネルギーを回収して再利用するために、HV同様に二次電池(リチウムイオン電池など)を搭載しているのも特徴だ。

ちなみに、こうした次世代自動車ではなく旧来のガソリン・エンジンやディーゼル・エンジンなどの内燃機関はICE(インターナル・コンバッション・エンジン)と呼ばれている。


■ 次世代自動車は、誰が勝ち抜くかではなく助け合う間柄

HV、EV、FCという次世代自動車は、それぞれに良い点と悪い点がある。HVで言えば、あくまでもガソリンが必要であり、本格的にガソリンが不足したときに走れなくなる。

また、二次電池を搭載するだけコストが高くなり、燃料費に優れるディーゼル・エンジン車との差が意外と小さいこともある。ただし、航続距離が長いというメリットがある。さらにガソリン・スタンドというインフラが、すでに整っているのも強みだ。

EVの問題点は、航続距離の短さ。また、搭載する電池がコスト高であること。充電用のインフラがまだ整っていないことも悪い部分だ。ただし、ランニング・コストはガソリンよりも現状では安い。さらに電池の価格は量産効果で徐々に下がってきている。走行中に排出ガスを出さないクリーンさも魅力である。意外にドッシリとした乗り心地で、加速性能に優れているのも良い部分だ。

FCは、なによりもFCスタックの価格がべらぼうに高額だ。車両に搭載する水素タンクのコストも高い。また水素を充填するインフラもほとんどない。それに対して、良い点というのは走行中に排出するのは水だけというクリーンさ。

また、水素はさまざまなエネルギーから作り出すことができる。太陽光や風力などのクリーン・エネルギーからも、天然ガスからも、製鉄時にできる複生ガスからも作り出せる。つまりエネルギーを運ぶ器として見れば水素は、便利な存在であるのだ。

つまり、それぞれの次世代自動車には利点も弱点もあるため、どれかひとつが他を駆逐する存在にはなり得ない。逆に、近距離のシティコミューターはEV、オールマイティな利用にはHV、都市間移動のようなルート走行にはFCというように、それぞれの特性にあった使い分けが考えられている。

もちろん、現状から一足飛びに、次世代自動車の世界へ変更することはない。しかし、いつのまにかハイブリッド車であるプリウスが当たり前の存在になったように、ジワジワと次世代自動車が増えてゆき、気がつけば~というのがリアルな未来ではないだろうか。

FUTURUS

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