AI(人工知能)がつかさどる「自動車の未来」最新動向

FUTURUS / 2014年10月11日 12時5分

米IT大手の「Google」が2010年に2代目プリウスをベースにした自動運転車を発表した際、世界の自動車メーカーに大きな衝撃が走った。

そのインパクトの大きさを裏付けるかのようにダイムラー、アウディ、ボルボ、GMなどの欧米勢に加えて、トヨタ、ホンダ、日産などが今後数年以内に自動運転車の実用化に漕ぎ着けようとしている。

大手自動車各社がこれ程までにGoogleの「自動運転車」に敏感に反応したのは何故なのだろうか。

■ Googleが「自動運転車」開発を続ける意義

そもそもGoogleが「自動運転車(Self Driving Car)」を手掛けることになったきっかけは開発に携わる中心人物のセバスチャン・スラン氏が18歳の時に親友を交通事故で失った事に起因している。

米独立系シンクタンク「Eno Center」が「路上に於ける交通事故の殆どが人的要因によって発生しており、自動運転車が米国全体の10%普及するだけで交通事故と負傷者が半減、経済効果が約2.4兆円に上る」と発表した事もその背景に有るようだ。

とは言え、IT企業の「Google」がその後も莫大な資金を注ぎ込んで「自動運転車」を開発し続けている背景には同社が持つ「ソフト開発」技術を活かして自動車事業に参入しようとする戦略が潜む。

■ 「Apple」が車載インフォテインメント・システムで先行

既に同社のライバル「Apple」は今年3月のジュネーブショーでスマートカー時代に先駆けて「iPhone」とクルマを繋げる車載システム「CarPlay」を発表。

車載モニターを使ってユーザーがiPhoneの地図や音楽、音声メッセージなど様々な機能へのアクセスが可能に。

現在主力の「スマートフォン(iPhone)」事業に続き、持ち前のIT技術を活かせる新たな事業の柱として、「スマートカー」関連技術に照準を定めたという訳だ。

ローンチユーザーのVolvoは年内発売予定の「XC90 」に「CarPlay」を搭載。 メルセデスベンツもジュネーブショー2014で「CarPlay」搭載の新型Cクラスを出展。

フェラーリ、ホンダ、ヒュンダイについても搭載予定で、Appleによるとトヨタやスバル、日産など、VWグループを除く殆どの自動車各社が採用を予定。

一方、「Android」のGoogleがこうしたAppleの動きを黙って見ている筈も無く、同社は2014年1月、自動車への「Android」プラットフォームの統合を目指す業界団体「OAA(Open Automotive Alliance)」を組織。

「Google Auto Link」を軸とした同様の車載システムへの自動車メーカー誘致に余念が無い。

■ AI(人工知能)を制する者は将来「スマートカー」を制す

Googleとしても車載インフォテインメント・システムへの参入を足掛かりにして、これまで「自動運転車」の開発で蓄積して来たAI(Artificial Intelligence)、すなわち「人工知能」に関する技術を同社の強みが活かせる将来の「スマートカー」分野に繋げたいと考えているのだ。

「AI」はスマートカーの根幹機能だけに、世界の自動車各社はこの部分を得意とするIT企業に押さえられる事を非常に危惧している。

なぜなら「軒を貸して母屋を取られる」とも限らないからだ。

今後、「EV」や「FCV」の普及が進むと、これまで自動車会社が独自技術として来た内燃機関に関するノウハウが過去のモノとなる可能性が有るだけに尚更だ。

Googleが確立した自動運転技術は自動車各社も認めるだけのことは有るようで、ルーフ上に同様の「Velodyne(ベロダイン)」社製の回転式レーザー照射レーダーを備えている事からも窺い知れる。

これは秒間130万照射で得た3Dスキャンデータを元に車両周辺の詳細な3Dマップを生成するための必需品で、64個のビームレーザーを備えており、自動運転に必要な機器総額の約半分に相当(約750万円)するそうだ。

Googleが完璧な自動運転を実現すべく採用した機器で、自動車各車にとってはこれがコスト的にも、見栄え的にも大きなハードルになっている模様。

■ AIが実現する自動運転の恩恵

「完全自動運転」が実現した場合に交通事故撲滅に加えて、日常にもたらされる嬉しさとして考えられるのは・・・

・スマートフォンの専用アプリで自動送迎
・大型駐車場での自動出入庫(含む空車検索)
・高速道路の坂道や街中の渋滞大幅緩和
・高齢者、障害者の自由度向上
・移動時間の有効利用・・・etc

既に市販車に於いてもカメラやレーダーなどのデバイス追加により、半自動運転とも呼べる衝突回避、追従走行、車線内走行などの「運転支援装置」搭載車が増えている昨今、これらの機能に慣れてしまうと「自動運転」と言えども、さほどハードルが高く無さそうにも思える。

確かに自動車各社は短期間のうちに自動運転実現に目処を付けつつあるようで、開発フェーズは多種多様な交通情況へのマッチング作業や自動⇔手動運転切り替えによる「運転する楽しみ」の残し方、コストダウン等に移行しているようだ。

■ 「完全自動運転」実現に於ける課題

しかしながら、約112万kmを無事故で走破したGoogleをもってしても、完全な自動運転実現には技術的に道半ばで、実用化に漕ぎ着けるのは6年後の2020年としている。

「自動運転車」の普及過程で、手動運転車が混在して道路上に存在することで引き起こされる問題が有るからだ。

信号が無い交差点での譲り合いのタイミングなど、一般ドライバーとのコミュニケーションの難しさなどが残存していると言う。

陽射しが強い逆光下や、豪雨、降雪時のセンシング不良への対応も必要で、さらには電波を使って走る以上、悪意の有るハッキングへの備えも重要課題。

車両機器の故障などで事故が発生した際の責任問題を含めた法律の制定も急がれる。

交通事故撲滅が命題の「自動運転」が本末転倒になってしまっては元も子も無い。

実際には「自動運転」のレベルに段階を設けて導入が進むと予想されるが、こうした大きな課題への対応がまだまだ残されているのが実情のようだ。

*参考:Apple CarPlay、TED

FUTURUS

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