トヨタのハイブリッド競技車は電池を使っていない

FUTURUS / 2014年11月5日 7時30分

ルマン24時間レースをはじめ世界の名だたるサーキットを転戦する自動車レースのワールドシリーズである世界耐久選手権。

シリーズ後半となるこの秋は、アジアラウンドとして10月12日の日本の富士スピードウェイで、11月2日には中国の上海でも開催された。このアジア2連戦を両レースともに1,2フィニッシュで飾ったのはわが国のトヨタTS040ハイブリッドである。

この世界耐久選手権に出場するマシンは大きく5クラスに分類され、フェラーリ458やポルシェ911、アストンマーチンV8など市販ベースのスポーツカーも出場するが、総合優勝を狙う最上位のLMP1-Hというクラスはハイブリッドのプロトタイプカーを使用するという規則がある。

富士と上海を1,2フィニッシュで飾ったトヨタTS040ハイブリッドも、その名の通りハイブリッド車のレーシングカーなのだ。

このハイブリッドのクラスはトヨタのほかにアウディとポルシェが参戦し、このシリーズ中もっとも走行時間の長いルマン24時間レースを制したのはアウディR18 e-tronクアトロで、このマシンはディーゼルハイブリッドとなる。

そして、今年から最上位のLMP1-Hに参戦し、ルマンをはじめとする世界耐久選手権に復活したポルシェは2リッターのダウンサイジングターボにハイブリッドシステムを搭載した919ハイブリッドで参戦する。

これらのマシンで特に注目したいのがハイブリッドシステムであるが、ポルシェはオーソドックスにリチウムイオン蓄電池によるハイブリッドシステムを構築するのに対し、トヨタとアウディはリチウムやニッケル水素などの蓄電池を使用していないのである。

プリウスやアクアなどの市販車と違い、レーシングカーの場合はアクセルに対してモーターの反応速度を高める必要があるために放電の瞬時性を重要視する。

トヨタの場合はコンデンサーの発展形であるキャパシタというものに蓄電し、アクセルを踏んだ瞬間に電圧電流のピークが来るようにしてあるのだ。例えていうならばカメラのフラッシュのように走行モーターに電気を送るのである。

アウディの場合は蓄電池搭載の重量増を嫌って、電気フライホイールという装置によって電気ではなく運動エネルギーを蓄えている。これはF1に採用されるKERSという回生システム用にF1コンストラクターであるウィリアムズが開発したもので、エンジンやブレーキ回生で得られた電気をフライホイールの回転に置き換えて運動エネルギーを蓄えるというものであるが、構造を説明するにはかなり長くなってしまうので、ウィリアムズが概略説明として制作した動画を下記に引用することにする。

これらの技術は闇雲にレースの成績を追求するだけのものではなく、高速域での回生技術や蓄電池のバッファとしてのコンデンサー技術、蓄電に対する重量軽減に向けた取り組みなど市販車の乗用車やトラック、バスなどの大型車両にも転用できる技術の基礎研究や実証実験を行っているといえるのだ。

レースは11月15日のバーレーン、11月30日のサンパウロの2戦を残すが、現在のところトヨタがメーカーランキングでトップを走っている。日本人選手として中嶋一貴選手もトヨタチームに参加しており、トヨタの世界チャンピオン獲得には大いに期待を寄せるところである。

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