水と空気から燃料を作ってしまう工場が現実に

FUTURUS / 2014年11月22日 8時45分

化石燃料を燃焼させると、おもに水と二酸化炭素が発生する。この二酸化炭素が温室効果ガスとよばれるもののひとつで、現在削減が求められているものだ。でも、この燃焼の逆の反応を起こせば、水と二酸化炭素は燃料に戻るのではないか?

そしてドイツの自動車メーカー・アウディがClimeworks、sunfireといった企業と協力し、水と二酸化炭素からディーゼル燃料を作ってしまうパイロット工場をドレスデンにオープンさせた。

もちろん成分としては水と二酸化炭素から燃料ができるわけだが、じっさいはそう簡単ではない。そのためには大きなエネルギーが必要なのだ。しかし、そのエネルギーを得るためには必ずしも化石燃料を使わなくてもいい。このアウディの工場では、自然エネルギーによる発電を活用している。それならばサステイナブルだ。

この工場では、まずは水を電気分解によって水素と酸素に分解する。二酸化炭素は、スイスのClimeworksの技術を使って空気中から採取する。そしてその水素と二酸化炭素に、220℃、25気圧のコンディション下で二段階の化学反応を起こさせ、炭化水素からできるブルー・クルードとよばれる粗生成物を作る。そのブルー・クルードのうち約80%を合成ディーゼル燃料に変えることができるという。

なお「アウディeーディーゼル」と名づけられたこの合成ディーゼル燃料は硫黄分や芳香族化合物を含まないクリーンなものだという。そして従来のディーゼル燃料と混ぜて使うこともできる。このパイロット工場で1日に生産できるブルー・クルードは約160Lなので大した量ではないが、それでも空気と水から燃料を作ってしまうのだ。

■ 水素だって水から作れる

ちょっと話がズレるが、上に書いた燃料生成のプロセスをもういちど思い出してほしい。まず水を電気分解して水素を取り出しているのだ。これは先日トヨタから発表された燃料電池車(FCV)の燃料になるものである。

つまり、水素を作るのは、このディーゼル燃料を作るのと、途中まで同じ原理を使うことができ、しかもより簡単なのだ。もっとも水素をFCVに充填するためには高圧にしないといけないので、そのぶんの設備やコストはかかってしまうが。

いっぽう問題なのはディーゼル燃料や水素燃料を作り出すために必要な電力である。ここに化石燃料による発電で作った電力をあてていては、もとがとれないので本末転倒だ。

しかし、将来太陽光エネルギーや風力エネルギーをもっと活用しようと思ったときに問題になるのは、発電が安定しないことだ。そのときここで紹介したような技術を使えば、電力が供給過多になるような時間帯に、その余剰電力を使ってカーボンニュートラルな燃料を生成し、自然エネルギーによる発電が低下する時間には、そういったカーボンニュートラルな燃料を使った発電で電力供給を補うということが可能になる。

このシステムは今後のエネルギー問題へのひとつの解決策になるかもしれない。「あらゆるエネルギーは水素で保存するようになるかも」も、あわせてご確認いただきたい。

*出典:Audi Media Services -New Audi e-fuels project: e-diesel from air, water and green electricity-

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