骨や金属の奥も、超音波で検査ができるようになる?

FUTURUS / 2014年11月27日 7時15分

妊娠したり、人間ドックを受けたりしたことがあるなら、たいがいお腹の超音波検査(エコー検査ともいう)を受けているだろう。でも、超音波検査を受けるのはたいがいお腹だ。

頭をやることはまずない。そんなことはこれまで気にもしていなかったが、ちゃんと理由があった。超音波検査では、頭骨のような骨や、金属を透過して検査することはできないのだ。

しかし、その超音波検査の弱点を克服し、超音波に骨や金属を透過させる技術の研究をノースカロライナ州立大学の研究者が発表した。


■ 音のひずみを消す技術

そもそも超音波検査というのは、人間の耳には聞こえない周波数の高い音を発し、対象物で反射して帰ってきたところをとらえて映像化する検査をする技術だ。しかし、骨や金属は超音波をブロックしてしまったり、ひずませてしまう特性があるため、従来の技術では超音波検査がうまくいかないのだ。

この骨や金属のような物質のことを”aberrating layers”(対応する日本語訳が定まっていないようだが今回は「吸収収差層」とよぶことにする)という。

同大学の研究者たちは、この問題に対して、メタマテリアル(音波などに対して自然界の物質にはない特徴を持つ人工物質)の構造体を使って音場を調節し、吸収収差層での超音波のひずみ成分を消す技術を考案した。メタマテリアルの構造体は、膜と小さなチューブを組み合わせて作られているという。

この技術はコンピューター上のシミュレーションを終え、実際のプロトタイプでの開発段階に入っている。シミュレーションにおいては、メタマテリアルの構造体なしでは超音波エネルギーの28%しか吸収収差層を通過できなかったのに対し、メタマテリアルの構造体を使った場合には、88%も通過したという。

「これは事実上、吸収収差層が存在しなくなったのと同じようなものです」と研究者のひとりYun Jing氏はいう。

この技術が実用化されれば、超音波ではこれまで不可能だった脳の血流の検査や、脳の腫瘍の治療が可能になる。また医療以外の分野でも、たとえば飛行機の翼の表面からは見えない金属疲労によるクラックなどが発見できるようになるという。

近い将来、あの扇形の超音波検査機を頭に当てられる時が来るかもしれない。

*出典:NC STATE NEWS -New Technique Allows Ultrasound To Penetrate Bone, Metal-

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