世界が称えた日本のUNSUNG HERO(謳われることなき英雄)

FUTURUS / 2014年12月22日 19時30分

五年に一度、世界から51人だけが選ばれるUnsung Heroes of Compassion。弱きもの、虐げられたものの傍に立ち、苦楽を共にしながら人道的支援活動を続ける”名もなき英雄たち”を称えるこの賞に、2014年日本人として初めて一組の夫婦がそれぞれ選出された。

濱川知宏(通称トモ)、明日香(アスカ)。1歳半の娘と妊娠8か月のお腹の子と共に新たな挑戦の地インドネシア・バリ島へやって来た両氏に迫る。


■ ハーバードからチベットへ

トモは幼いころから世界を飛び回っていた。横浜で生まれた後、国際銀行家である父の仕事の都合でイギリスへ渡る。小学校は再び日本で通い、中学からはアメリカ・ボストンへ。そのまま地元のハーバード大学に進学し、世界への強い興味から文化人類学を専攻し、また医療の道も考えていた。

大学一年の夏はフィジーでコミュニティ・サービスのスタッフとして働き、二年の夏はボツワナで文化保護NGOのインターンとして活動。三年時にはオックスフォード大学へ半年間留学し、夏には外資系投資銀行の東京オフィスでインターン生活。学生でありながら家付き月給55万円という破格の待遇を味わう。

4年時には正式にオファーも受けるが「自分がやりたいことはこれではない!」と確信し、卒業後は”フリーター”に。目標が見いだせない日々が過ぎ、ある日突然長年の”憧れの地”であった中国へ渡ることを決意する。北京で英語講師をしながら中国語教室へ通うが、SARSが中国全土を襲いNYへ避難。

世界の中心NYで多くの刺激を受けた後、再び中国へ渡りチベットを支援する国際開発NGOの四川省オフィスへ就職。チベット族の学校建設・職業訓練を通じて、雄大なチベットの自然と文化に出会う。近代化が猛スピードで進む中国において、チベットが本来の姿を保ちつつも持続可能な成長を続けられるよう働き続けた。

多くのチベット族たちと共に過ごし、今のチベットの姿を記録し世界へ伝えるためドキュメンタリー映画の製作にも参加した。


■ チベットからハーバード、そして世界へ

二年間の任務を終え、「これが自分のやりたいことだ!」と確信したトモは、国際開発の世界へ進むためにハーバード・ケネディ行政大学院で公共政策学を学ぶため再びボストンへ。卒業後はユニセフ(インド)、セーブ・ザ・チルドレン(コートジボワール)、英国大手財団Children’s Investment Fund Foundationにて世界の子供たちの保健・教育・権利に重点を置いたプロジェクトの企画推進・評価等を行う。

その後日本において東京大学グローバルヘルス・リーダーシップ・プログラムの特任助教となり、日本においてのイノベーションの創出や普及に尽力。日本のヤング・リーダーとして徐々に知られるようになる。

また、”ローテク・ローコスト・ハイインパクト”をモットーとするユニークな活動で世界に知られるNGOコペルニクには設立当初から参加。出張で世界を飛び回る代表の中村氏の重要な右腕として、本部があるバリ島ウブドへ生活の拠点を移し活動を始めた。


■ 太平洋の気候変動に挑む

アスカは十代の頃、近所の子供たちにピアノを教えてはその謝礼をユニセフに寄付し続けていた。そしてユニセフから届く手紙で、世界で現実に起こっていることの数々に衝撃を受けていた。ボストン大学最後の年は、太平洋諸島の今をその目で確かめる長い旅に出た。

そこで見たものは想像を超えた途方もない現実。多くの島々が急激な気候変動による環境の変化に脅かされていた。卒業後は大手コンサル会社のプライスウォーターハウスクーパーズに就職。ビジネスの世界で多くを学んだ後、気候変動問題に取り組むためにハワイ大学の大学院で学び、2009年のサモアでの地震・津波被害の救援活動に従事。2011年3・11以降は日本で支援活動を展開した。

海面上昇で国家が水没の危機にあるツバルを救うTuvalu Overviewにも参加し、太平洋地域のスペシャリストとして活躍。二度目の出産を間近にした2014年秋にインドネシア・バリ島へ。夫のトモや友人たちと立ち上げたNPOアースカンパニーにて、ハワイ時代に出会った親友ベラが目指す”東ティモールのグリーンスクール”計画を支援している。

READYFOR「東ティモールに国内初のエコ・スクールを開設したい!」

■ 謳われることなき英雄

カリフォルニアが産んだ奇跡のワインとして名高い「GRACE FAMILY(グレース・ファミリー)」創業者のディックとアン夫妻。自らの事業の収益の大半を人道支援や慈善活動に投じることで世界的に有名なこの夫妻と、チベット仏教法王のダライラマ14世によって創設されたのがUnsung Heroes of Compassion、”弱きものとともにある、謳われることなき英雄たち”だ。

サンフランシスコで行われた2014年授賞式に、トモとアスカの姿があった。スポットライトを浴びるような派手さはないが、人類にとって重要な意味を持つ活動を献身的に続ける51人の中に。

謳われることなき名は、それぞれダライラマの口から謳われた。その響きは世界へと未来へと伝わっていくだろう。多くの共鳴を伴いながら。

*参照記事:「グリーンスクールに東ティモールの未来を託せ」

*画像出典:コペルニク、EarthCompany、Unsung Heroes of Compassion、KHAN FILM PROJECT

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