44歳のオッサンも泣いた『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』 ジェームズ・ボビン監督インタビュー
ガジェット通信 / 2016年7月15日 23時59分
世界的ブームを引き起こした『アリス・イン・ワンダーランド』、その待望の続編である『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』は2016年7月より公開され、今なお大ヒット中となっています。
今回、本作の監督であるジェームズ・ボビン氏にお会いすることが出来ました。ティム・バートンの世界観をそのままに、新たな世界を紡ぎ出したとも言える彼に対しいろいろと質問してみました。
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―― 今日はよろしくお願いします!
ジェームズ・ボビン監督:よろしくね!
―― 日本のカルチャーやゲームがお好きだとうかがいました。日本のカルチャーが、監督の作品に何か影響を与えているということはありますか?
潜在意識的にはそういう事があったかもしれないけど、直接どういう影響があったかは自分でわからないね。ただ、僕はこれまでゲームをずっとやってきたので、何らかの形で潜在意識的なレベルでなにか影響があるのかもしれないなあ。ちなみに、前回僕が日本に来た時には、ビデオゲーム、ゲームの歴史をドキュメンタリーでやってたんだ。そこでパックマンを作られた岩谷 徹さん(※元ナムコのゲームクリエイター)ですとか、インベーダーゲームを作られた西角さん(西角 友宏・元タイトーのゲームクリエイター)を拝見したよ! やっぱり潜在的レベルで影響受けているかもしれないね。自分ではわかんないけれども。
―― 監督のアンダーワールドに、ビデオゲームが影響を及ぼしているかもしれない?
(笑)そう、たぶんね。ははは。
―― 作品の事を聞かせてください。時間を使った作品というのは様々な名作も含め数多くあると思います。そうした中で今作を作るにあたって気を付けた点をお聞かせください。
そうだなあ、時間、タイムトラベルというのは非常に扱いに厄介なものなんだよね。映画を作る際に、タイムトラベルというものを使おうと思うと、二通りのロジックが考えられる。作品全体を毎回あるルールで、どんどん変わったことを追いかけていく、というのがひとつ。もうひとつが「過去は変えられない」というシンプルなルール。今回僕らは、後者の「過去は変わらない、変えられない」というところにとどまったんだ。
「過去が変わらない」という前提で、過去を注意深く見ているとそこから学ぶことがあるんだ。それは実際問題、僕らの生活でもとても有益なことなのではないかという風に感じるよ。
―― 日本の作品の中では『ドラえもん』という、タイムスリップを主題にした有名な漫画作品があります。こちらは「過去は変えられる」という前提で作られたSFなのですが、日本人にはとてもなじみ深いルールとなって言います。今作、監督がおっしゃった“そうではないルール”というのが採用されたことにより、“別のリアリティ”というものが僕らの方に迫ってきて、ものすごく感銘を受けたのは確かです。
日本で新しい概念を紹介できて大変うれしく思うよ(笑)。 ああ、ただ僕としては、慣れ親しんでいるものから混乱を生じさせたいということではないよ、本当に。例えばH・G・ウェルズの『タイムマシン』という作品の中では、実際に状況を止めようとして変えようとしても、結局、物事が起きてしまうんだ。アリスもこの作品の中で物事を止めようとするんだけれども、結局それが起きてしまう。どちらかというと運命とかさだめのようなことに近いかもしれないかな。時間と運命について語ると、哲学的なことになっちゃうんだけれどもね。
―― 僕、偶然にもタイム役を演じたサシャ・バロン・コーエンさんと同じ44歳なんです。この世代、年齢になってくると、変えたい過去とかがどんどん積み上がってきたりとかするんですよね。そんな僕が、今回の作品を観て、先ほど監督がおっしゃった“現実に近いさだめ”というものをラストで提示されたときに感動してちょっとこう、泣いてしまったんです。
多分、僕みたいな人ってたくさんいると思うんですけれども、そういう人たちに向けたメッセージをいただけますか?
(笑) 僕も同世代、同年齢なんだけれども、確かにそういう思い、気持ちってあるよね。やはり時間の経過というものがあって、そこではじめて時間の良さ、大切さがわかるって思うよ。
過去を振り返ったとき、既に過ぎ去ってしまった時間に対して悲しかったり、っていう気持ちがあると思うけど、でもそういう事よりも、時間というのは過ぎていく今、その瞬間その瞬間を生きなくてはいけないと。それをちゃんとしていれば後になって「あれをしていれば良かった」「これをしていればよかった」っていう思いはあんまりないんじゃないか、って思うんだよね。
今、過ぎていく時間を大切にしながら、やはり生きる。その思いは、僕が子供を持ってからとても強く感じるようになったかな。
―― わかります。
子供というのは自分の目の前で育っていくよね。そういったところからも、今を生きる、っていうのがとても大切なんだな、って思うよ。僕らと同世代のみなさんも、今を大切に、今を生きていただきたいと思う!
―― この年齢で、この映画に出会えて、僕はすごく幸せだと思っています。
おお、アリガトウゴザイマス。そうそう!その衣装、すっごく素晴らしいね。めっちゃイギリスっぽいよ!
―― ありがとうございました!
とても気さくなジェームズ・ボビン監督。にこやかで明るい表情は、近くにいるだけで自然に緊張をほぐしてくれるような雰囲気に満ちたカッコいいオジサンでした。
『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』は現在もなお、大ヒット上映中です。
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