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犬おぼえがき「シニアシェパードたち」

ガジェット通信 / 2016年9月17日 13時40分

マイクはいつもニコニコ上機嫌顔でジャーマンシェパードと散歩をしている。

私が知っているこの10年ほどの間で、今現在いっしょに歩いているモリーが彼の4頭目の相棒だ。

エマ、ソフィー、ベル、そしてモリー。マイクの相棒はいつも、その時その時で1頭ずつ。多頭飼いはしない。

なぜそんなにしょっちゅう相棒が変わるのか?それはマイクがいつも引き取り手のないシニア犬の里親になるからだ。(写真は左がステラ、右がエマ)

マイクはフリーランスの職業のかたわらで、ジャーマンシェパード専門の保護シェルターの責任者も務めている。

犬への愛がなくてはできない役目ではあるが、愛や情だけでは務まらない立場でもある。

彼のシェルターは公営の保護施設からジャーマンシェパードを引き受けて里親を募集しているのだが、里親が見つかりにくいシニア犬やハンディキャップのある犬はそんなに多く引き受けられない。里親希望者が支払う譲渡手数料が順調に入ってこないと、保護している犬たちのフードや備品だって賄えなくなるからだ。

マイクはそんな辛い立場にいて、せめて1頭だけでもと自分ではシニア犬を家族に迎える。

公園に集まる犬仲間たちは「ホント感心するわ~。」「なんでそんなことを?」と口々に言う。

するとマイクは「犬のためと言うよりも、少なくともこの1頭には悪くない余生を送らせてやれたという自分の気持ちのためだけどね。」と笑う。

「それにシニア犬は長い時間の運動も必要ないし、昼間は静かに昼寝しているし、僕のライフスタイルにピッタリなんだよ。」

長い時間の運動は要らないと言うけれど、私が見かける時のマイクと相棒はかなりの時間を散歩に費やしているし、時にはボールやフリスビーを投げて遊んだりもしている。

エマもソフィーもマイクに引き取られた当初はヨボヨボでいかにもおばあちゃん犬という感じだった。それが数ヶ月経つうちに、足取りはしっかりとし、目には輝きが見られるようになった。

11歳だったエマは当時2歳だったうちの犬のおやつを横取りにすっ飛んで来たことすらあったし、10歳のソフィーはフリスビーが大好きだった。

2頭はそんな最高に幸せな数年を過ごして、天国に旅立っていった。ベルはマイクに迎えられた時すでに12歳の穏やかな優しい犬だったが、1年経たないうちに別れの時が来てしまった。この時はさすがのマイクもかなり落ち込んでいた。

それでも半年ほどの間を置いて、彼がまたシニア犬のモリーを引き取った時、犬仲間たちは「マイクがまたシニア犬を引き取ったって!」「よかったー!」とホッとし合ったものだ。

「3年毎に愛犬を見送るなんて、自分には真似できない。」と言いつつ、皆マイクには大きな尊敬の念を抱き応援している。マイクの行動を見て、彼のシェルターに寄付をする人も少なくない。

マイクも年老いたシェパード達も、説教めいたことなど言わず、ただ愛情をかけ合って穏やかに生きているだけだ。けれどそんな彼らの姿は小さい種を蒔くかのように心に残る。何百の種のいくつかが小さな芽を出し、いくつかが花を咲かせればいいなと思う。

(画像は著者撮影)

編集部より

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(執筆者: ガニング 亜紀)

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