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【1万字インタビュー】デジタルカードゲーム『WAR OF BRAINS』(ウォーブレ)をあえて『Magic: The Gathering』に例えながらチャンプ・タキニキに聞いた

ガジェット通信 / 2017年4月21日 12時0分

タカラトミーの本格デジタルカードゲームアプリ『WAR OF BRAINS』(ウォーオブブレインズ:略称ウォーブレ)をご存じだろうか。

『WAR OF BRAINS』は、タカラトミーとHobbyJAPANの強力タッグによる、戦略型カードバトルアプリだ。国ごとに特性の異なる290種類以上のデジタルカードの中から、40枚で“デッキ”を構築し、電子世界のライバルと国を背負って戦うのだ。

他のデジタルカードゲームに比べて要素は多いが、その分、ゲームとしての攻略要素も非常に深い。そのため『WAR OF BRAINS』の知能戦は一筋縄でいかない分、楽しさも段違いと言えるだろう。

今日登場するのは『WAR OF BRAINS』のゲームデザインを担当しているHobbyJAPANのメンバーであり、『Magic: The Gathering』のプロプレイヤーとしても世界的に有名な“タキニキ”こと瀧村和幸氏

“チャンプ”タキニキに直撃し、あえて『Magic: The Gathering』と重ねつつ、『WAR OF BRAINS』の魅力、そしてリリースされたばかりの第二弾カードセット『Bullets of Soul』について、存分に語っていただいた。

(ガジェット通信聞き手:srbn)

―― 今日はよろしくお願いします

瀧村和幸氏(以下タキニキ):はい、よろしくお願いいたします。

―― 僕も『Magic: The Gathering』(以下、Magic)を一応やってはいたんですが、一番やっていた時期が『テンペスト/Tempest』から『アポカリプス/Apocalypse』くらいまでなんです。間ぽっかり空いて『タルキール(覇王譚)』くらいからまた再開して今またやってるんですが。途中のところはあまりわからないところがあります。

で、『WAR OF BRAINS』(ウォーオブブレインズ、以下WOB)はリリースされてからすぐにやり始めたんですが、WOBやっているときに「ちょっとMagicと似たようなところあるな」って感じながらやっている部分もあったんです。

今日はMagicのお話も交えつつ、「WOBの開発」や「各国の特徴」、そして第二弾カード『Bullets of Soul』に含まれる「新カードの内容」などお伺い出来たらなあと思っております。

タキニキ:はい。

LAPISがブーストを得た理由

―― まずWOBが生まれた経緯をお伺いしたいんですけど

タキニキ:うぉー、そこかあ (笑)。僕、実は一番最初は関わっていないんですよ。

―― 途中からのカード開発、カードデザイナーとして関わっている?

タキニキ:そうです。それで入って「ちょっとルール的にまずいんじゃないか」みたいなところを指摘していました。

例えばLAPISのブーストってあるじゃないですか。あれって、実は全部のユニットカードが持っていたんですよ。

※編注:WOBの世界は『LAPIS(緑)』『TAOSIN(赤)』『SHEDO(橙)』『MAGNA(青)』『E.G UNION(黒)』の5国家で構成されている

―― ああ、なるほど

タキニキ:それではどのユニットも強くなってしまい、スペルも使われなくなってしまうと感じましたので、LAPISのひとつのキーワード能⼒として、残したんですね。

―― そもそもLAPISがブーストを得たのって、なぜなんですか?

タキニキ:LAPISがブーストを得たのは「一つの国に対していろいろ個性を出していこう」という話からです。「LAPISはじゃあ、ユニットの国にしよう」としたのが発端です。

そこで“器用なユニット”として先ほどのブーストを入れることにしました。その代わりにスペルカード、……除去カードは、あまり強くないもので構成していきましたね。

―― その結果、第二弾で全体除去がどーんと出てきますけど(笑)。

それはカラーパイ(※Magicの世界において、5つの色に割り当てられた機能や特徴)的には、緑であるLAPISってどういうイメージなんですか?

タキニキ:えーと、LAPISにも全体除去出てきましたけど、単純に「器用じゃないスペル」だったら何でもいいんですよ。

LAPISの全体除去って、基本的に自分を巻き込むんで器用じゃないんです。すごく使いづらいんですよ。デッキを狭めるカードなんですね。そういう除去はLAPISに送ろう、という感じですね。

―― ユニット居た数だけダメージ、とかありますね。

タキニキ:そうですね。ユニットを参照して、とか。8コストで5点オール打ちますけど、自分も巻き込みます。

MAGNAもE.G UNIONもスケベ?!

―― ほかの国の特徴を、なんとなくMagicの色とあわせて考えてたりはするんですけど、それぞれの国の特徴……では「LAPISが器用じゃない」というと、MAGNAってどんな感じなんですかね

タキニキ:MAGNAは「ひたすらイヤらしい部分」。カードゲームで言う「性格の悪い部分」ですね。それを詰め込んだのがMAGNAです。

―― (一同笑い)

タキニキ:「イヤらしい担当」です。

―― スケベな?

タキニキ:そう!そう!スケベ!スケベなのがMAGNA。

―― イラスト的にも、色っぽいなお姉さんがいっぱいいるイメージがあります

タキニキ:MAGNAはむっつりスケベで、E.G UNIONは表に出す、ストレートなスケベです。

―― オープンなスケベ(笑)

タキニキ:(E.G UNIONは)オープンスケベなんですよ! カードゲーマーだったらこの二つの差はわかると思います。

―― 青(MAGNA)と黒(E.G UNION)の違いですね

タキニキ:そう、青と黒の違い、そういったところですね。

TAOSINの“強さ”とシナジー

―― ええと、赤、というかTAOSINの特徴は?

タキニキ:「わかりやすく強い」っていうのをTAOSINでは表現していますね。パワーカードが多い。アドバンテージ取るっていうことではないんですけど、「カード一枚として強いカードが多い」というのを意識してますね。

―― 初心者が見ても伝わりやすい

タキニキ:そうですね。Magicに例えると『包囲サイ』とか、ああいう感じですね。一枚単品として強いよ、っていう。ただ、横のつながり、シナジー(複数の連携)っていうところであまり強くない。「シナジーはあまり形成できない」っていうのを意識してます。

―― なるほど。MAGNAとかE.G UNIONのスケベなところはあると思うんですけど、除去が多めだったりするじゃないですか。その除去もいやらしさの表現だったりするんですか?

タキニキ:そうですね……いやらしさの表現……ま、全部の種族に、種族っていうか国に除去っていうのは割り振ってはいるんですけれども、個性が出るような形でMAGNAとE.G UNIONには割り振ってますね。

例えばMAGNAの場合は、パワー2以下をひたすらいじめるような形になってます。デリートっていう単体除去はあるんですけれど、6コストとちょっと重めに設定してあります。

逆にオープンスケベ(E.G UNION)に関しては、2コストで2点ダメージを与える通常の除去に加えて、ウイルスを⾃分に⼊れてしまうような⾃虐的なカードを収録しています。

―― SUICIDE的な

タキニキ:そうですね。

―― ダメージを与えて除去するっていうイメージが、どっちかというと「赤い」イメージでした。E.G UNIONにそのダメージ系のが割り振られてるイメージがあると感じていたのですが、その辺て実際どうですか? 今後の展開も含め

タキニキ:そうですねえ。Magicをやっていると、ダメージスペルが赤いように思うとは思うんですけど、正直僕はそのイメージは持っていなかったんです。

E.G UNIONの除去を全て確定除去にしてしまうと、ゲームのバランスが崩れるので、この形に落ち着きました。

現状、⾚――TAOSINに確定除去を入れる予定はありません。イメージ通り?にダメージだけでしかユニットに触れないようにしよう思っています。

SHEDOの“小難しさ”

―― SHEDOってどうですか

タキニキ:SHEDOは、本当にゲーム好きというか、小難しい能力を入れる国っていう形で考えています。「テクニカル」ですね。

―― どちらかというとシナジー優先というか、なんか、このカードとこのカードでこれが出来そうみたいなデッキの組み方

タキニキ:そうですね。メモリーを割ったりしなきゃいけないんで、そういった選択肢は、初心者の方にとってはやりづらい感じの国ですね。

特にソウルバーストも1、2、3で性能が変わるので。どれを使えばいいのかわからない、と思うかもしれません。ですけど、選択肢がたくさんあるんで早いデッキも組めるし、遅いデッキも組めるっていう国になっています。

特に第二弾以降は両方ともどっちでも使えるカードみたいなのもあったりもします。たとえば『キュア・サンクチュアリ』は、これをお尻にもってくるか、軸に組むか――そういう戦略を練ることができますね。

「8/8は夢がある」

―― ちょっと第二弾のカードの話をお伺いしたくて。第一弾と第二弾でたぶん、全然変わってくるんじゃないかなって気がしています。デッキが「どうなりそう」か、予想などありますか?

どうなりそう……か。そうですねえ。基本のユニットのサイズが変わってくるかなと思います。『壱天衆 ヨウユウキ』をナーフ(弱体化)したんですけれど、あいつってWOBの軸だったんですよ。言うなればあいつが、WOBだったんです。

それがなぜかと言うと、どのデッキも4ターン目にほぼ、あいつを出すからなんです。で、1点ダメージを与えて盤面を整理して3/3が残る。

―― そうですね

タキニキ:そういった意味でも、これまでのWOBのユニットのサイズというのは『ヨウユウキ』の3/3だったんです。2点ダメージの除去が多く、HP3のユニットは残りやすい。かつ、パワー2以下の除去をしてくる国もいるので、パワー3という数値も重宝していたんです。それを無くしたことによって、各国がいろんな4コストを取ってくることになります。

たとえば今、機械では『補給戦士 アップル』なども取ってきたりしますが、4ターン目のアクションとしては、色々なサイズを持ったユニットが使われるようになってくると思います。

第一弾では本当に3/3っていうサイズが正義で、3/3っていうサイズをみんなが使っていたんですけど、第二弾以降は例えば8/8とか、そういった多様なサイズが出てくるんじゃないかなと思います。

―― 8/8は夢がありますよね。やっぱり

タキニキ:そうですね、8/8は……『心喰い 』ですね。単純に「こう使ってね」っていうカードですので、最初は流行るかなー、と思いますね。

―― こいつのコストって17ですね

タキニキ:17ですね。はい。

―― MAXで自分だけで出せるようになった、ってことですよね。

タキニキ:そうですね。8/8は夢がありますね。

―― キメラで引っ張ってくることも可能ですよね(笑)

他に第二弾でこのカードは見とけよ!みたいなカードってありますか?

タキニキ: 8/8は絶対使われると思います。LAPISとかですと『ヨミ 』あたりは、ほぼほぼ入ってくるんじゃないかな。

―― 『ヨミ』の強いところってのはどういうところなんですか

タキニキ:単純にコストパフォーマンスが高いんですよね(4/3/1)。例えばソウルが3とか4の時に出しても、4/3/4、4/3/5です。かつ、スペルの対象にならない能力ですので、なかなか倒すことができないですね。『ヨミ』は“盤面を維持する能力”が非常に高い上に自分のブーストは出来る、非常に器用なユニットです。LAPISにとって必須になってくるカードかなと思います。

―― HPも高いし

タキニキ:そうですね。HPが高いのは一番魅力的なところです。

「これ良くないカードですよね」

―― ほかの国のカードでは『鬼王<試> 』(7/10/10)も結構目立ってましたね

タキニキ:ゲームチェンジャーは全部強いですね。ゲームチェンジャーはどれも強いんですけど、『鬼王』は……そうですね、派手ですね(笑)。

触れないんですよね。なかなか触れない。1ターン目で壊しちゃうと7ダメージを食らっちゃう。かといって放置しても殴られてダメージを食らうという。

―― なかなか処理のしづらそうな

タキニキ:しづらい。特にTAOSINっていう国は、ソウルバーストがMagicで言う「リアニメート」(墓地からクリーチャーなどを直接戦場に出すこと)じゃないですか。それと相性がすごく良いカードなんです。それに加えてもう一回ソウルバーストを使えるようになるっていうのを併せて使っていく。

ミッドレンジ以降のTAOSINは絶対、積むことになるカードかなとは思います。

―― このカード(『闇を穿つ醒龍 』)があれば、もう一回ソウルバーストを使えるようになる?

タキニキ:もう一回使えます。

―― これ良くないカードですよね(笑)

タキニキ:(笑)8コスト4/7っていうのは非常にスタッツ(攻撃力、体力値などのステータス)が低いです。

―― これって出したときのソウルっていくつですか?

タキニキ:ゼロから復活です。もう一回貯めるってのは難しいんですけど、実は『鬼王』復活させるのであれば1で良いんですよ。むしろ1で使いたいんです。なぜなら、11で復活して3点食らって、7点を絶対に当てられますから。

―― ああー、なるほど、強い(笑)

そういう使い方もあるんですね。ここでシナジーが起きてるんですね

タキニキ:そうですね、ソウルバーストと、もともと相性が良いです。

SHEDOの変化

―― あと、SHEDOは、デッキの中身がほとんど入れ替わりそうな感じもしたんですけど、どうでしょうか

タキニキ:Magicユーザーだったらわかるんですけど、SHEDOは本当に“お芋さん”だったんですよね。(笑)。訛りがすごくてダサい、でも体力あるやつみたいな。

―― 使ってると強さがちょっとわからないんだけど、使われたときなんでこんな強いの?ってなる

タキニキ:そうです。身は太いんですけど、ちょっとダボダボしているみたいな感じの国柄だったんです。けど今回『魔導神兵 ミルディン』(1/1/2)など、低コストで強い、使い勝手のいいカードが非常に増えました。

あとこの『強者の裁定』ですね。

―― 「効果を消す」か……

タキニキ:『フェアリーガス』ですね。簡単に言うと。

こういったカードが増えて、序盤の守りが非常に円滑に進むようになったので、それだけでもSHEDOは強化されていると言っても過言ではないですね。これまでのSHEDOって1コスト2コストが弱かったんですよ。

―― 序盤何していいかわからない

タキニキ:そうですね。けれども3コスト4コストとかは、すごく選択肢があるんです。

―― 逆に組みづらい

タキニキ:逆に何選んでいいんだ、みたいな。そういうのも無くなりつつあるんで。デッキが組みやすくなって、スタンダードなデッキ、あるいは王道な感じのデッキになっていくかなとは思います。

―― この環境になったときに、『シヴァ 』は使われるんですかね

タキニキ:『シヴァ』は使われるとは思います。ただ『心喰い』(17/8/8)が流行ると思うので、これのメタカードってのが出てくると思うんですよ。

『ゲンドウ』がそのひとつですね。『ゲンドウ』が積まれるようになると、『シヴァ』が余ってた『ゲンドウ』に一発で負けてしまうといった、メタゲームの変化が起こってくると思います。

「MAGNAに追加カードはあげたくなかった」

―― なるほど……。MAGNAはどうなんですかね。この人(『青の超越者 オズワルド 』5/4/4)とか読む気が失せちゃうんですけど(笑)

タキニキ:この、いっぱい書いてあるのがいいんですよ(笑)。カードゲームで、説明文がいっぱい書いてあるのはやっぱり好きです。

―― 「シンプルなのが強い」って言うじゃないですか(笑)

タキニキ:そうですね、シンプルなのは強いです。けれども『オズワルド』はいっぱい書いてあるから強いんです(笑)。

『オズワルド』はMAGNA唯一の救世主と言っても過言ではないですね。正直なところ、本当はMAGNAに追加カードをあげたくなかったんですよ。なぜなら第一弾の状況の中でMAGNAは相当強い国となる想定でしたし、実際、第一弾のプロモーションカードが無い状況だとMAGNA最強でした。

それに『ジャオロン』とか入ってきて、TAOSINが強くなったみたいな。元からTAOSINも強かったんですけど、TAOSINの強さが皆さんに伝わった、といいますか。

ですのであまりMAGNAにコントロール系のカードを追加したくなかったんですが、『オズワルド』だけはゲームチェンジャーとして強くしたかったんです。これ(オズワルド)はMAGNAの“核”になります。

―― 何ができるんでしたっけ

タキニキ:単品が強いフィニッシャーですね。三國志でいうところの呂布です。

―― (笑)なるほど

タキニキ:こいつはソウルがいっぱいあればダメージを受けないし、ソウルが9あればパワーが9になります。しかも対戦相手からのスペルや能力の対象にならない。まさに呂布です。

―― 強い

タキニキ:ただ、強い。

ただ、先ほど「追加カードあげたくなかった」と言いましたけど、一応、こういった――『シェーラ』(3/1/3)、これは医者ですね。医者をいっぱいコントロールしていると、ソウルがダメージになる能力を持っていまして。MAGNAは医者の国なので、そういったカードと組み合わせて、新しいMAGNAのデッキができるかなとは思っています。

―― 早い動きをするMAGNAってことですかね?

タキニキ:いや『シェーラ』を使う場合、MAGNAは早いデッキよりも、遅いコントロールデッキの方が合うと思います。

『キャラメルプリン 』(2/1/1)など1コスト2コストの医者をテンポ良く並べて盤面を取りつつ、最終的には『オズワルド』や『ブラックオペレーション』などのカードで勝つイメージです。まあ、序盤に勝ってしまうこともあるとは思います。

タキニキのお気に入りは?

―― タキニキの、第二弾でお気に入りのカードってどれですか?

タキニキ:『心喰い』ですね。一番夢があるし、触ってて楽しいという“オモチャ感”があります。

―― 最速で何ターンくらいで出るんですかね

タキニキ:最速……相手次第ですけどね……1、2、3(数え始める)

タカラトミー スタッフ:瀧村さん1回ニコ生でやった『龍風』との組み合わせとかですかね。

タキニキ:1ターン目1/1出して、2ターン目、相手1/1出して死んで、3/3、『龍風』で3/3で、6、7、8、……そんなに早く出ないっすね。

―― 中盤くらいに

タキニキ:そうですね。早く出す理由はあんま無いんですよ。最後にテンポよくパン、パン、と2体出すみたいな。1コスト2コストにして、1体出してソウルバーストもう1体、みたいな感じですね。あんまり早さは求めてないですね。

タカラトミー スタッフ:ソウルバースト使われずにターン帰ってきたときの、なんかちょっとガッツポーズ感ってありますよね (笑)。

タキニキ:このデッキって「絶対これ入ってるな」っていうのが、もう見てればわかるんですよ。

―― 絶対、貯めに行ってるなと

タキニキ:そうです。貯めに行ってソウルも増やしに行くみたいな動きをするのでわかりますね。

それに対してはカードとしての対応法だけでなく、状況に応じたプレイとしての対応法もあると思います。

―― 動きわかりやすそうですよね

タキニキ:非常にわかりやすいです。しかも持っているかどうかも大体わかりますね(笑)。

―― 次出るなー、って

タキニキ:モジモジしているみたいな感じ (笑)。モジモジし始める。

(一同笑い)

取らなくていい相討ちとか取りに来るので、わかりやすいです。すごくわかりやすいです。

―― じゃ、撃っちゃおう、と

タキニキ:撃っちゃおう!ってのもあるんで、ちょっとリスクは背負わなきゃいけないカードですね。その分、爆発力は高いのでカードとしては非常に面白いと思います。

E.G UNIONの強化ポイントと戦略

―― あとE.G UNIONは何か強化されるところってあるんですかね

タキニキ:E.G UNIONは今までの戦略だと、『ハイボルト』(4/3/1)と『メア』(5/4/5)、この2枚のゲームチェンジャーですね。非常に強力ですんなりと入ってくるカードなのかな、と思います。

今回E.G UNIONは、これまでデメリットとなっていた自分のウィルスカードを、メリット能力に変えていくカードが収録されています。

たとえば、『ペンギート』(2/2/2)です。ウィルスカードを使うと、パワーが上がる。

―― ソウルがらみっていう感じよりは、もうウィルスがらみな感じですよね? 今回のE.G UNIONって

タキニキ:そうですね。ソウルがらみもありますけど、新しく「ウィルスを持っていることがメリットになる」っていうカードが多数収録されていますね。それが面白いところかなあとは思います。

この特徴により、デッキの幅がもう一つ増えたかなあと思います。特に『デス・アリゲーター 』(4/2/3)、このカードがすごく強いです。

―― そうですね

タキニキ:ウィルスがあると、ほぼ不死身みたいな感じでなかなか倒せません。4コスト2/3ガーディアンっていう少し弱めのスペックではあるんですけど、実質は4/4くらいのスペックを持っています。

第一弾カードの「再注目」はあるか?

―― この辺のカードが出たことで、第一弾で再注目されるんじゃないかってカードありますか?

タキニキ:先ほどの話に出てた『ゲンドウ』(5/4/3)ですね。あとは……『ラッキー』(3/2/3)ですね。ソウルを得るんですよ。

―― あと、ほかのカードで調整されて『ラッキー』で取りやすくなるカードも。こいつ(『ヨウユウキ』)も、だし

タキニキ:そうですね。あとはやっぱ種族関係のカード――「種族を強化する」、「種族があるとアドバンテージが得られる」というカードがニュートラルに収録されていますので、そういった種族を持つカードはまた再評価されるかなと思います。特にケモノですね。この『山の女王 ブルト・ナジャ 』(4/2/1)も非常に強力なカードです。

いままでLAPISって機械を軸に組んだデッキが多かったんですけど、ケモノを軸に組むデッキっていうのも再評価されるかなとは思います。『ヨウユウキ』が弱くなったってことで、HP1ってのが特に気にならなくなってきたんですね。なのでこの(ブルト・ナジャの)2/1ってスペックも、――特にケモノたちはHP1が多いので――使われるんじゃないかなと思います。

―― 『ニャンポコ』も使われてましたもんね

タキニキ:あれは楽しいから入れてたんですけど、入れなくても大丈夫です(笑)。

―― 今後『ガリオン』(10/8/8)が活躍する可能性ありますか?

タキニキ:あると思いますよ。実は『ガリオン 』は警戒してたんですよ(笑)。『ガリオン』は、もともと9コスト9/9に加えてインパクトと、出されたら「もう絶対返せん!」みたいなユニットでつまんなかったんですよ。

9が3つ並んでるっていうのが、デザイン的に美しくはありましたが。

でも(ゲームバランス的に)カードが作りづらくなる影響がありまして、10コスト8/8と調整しました。現在『ガリオン』はそんな状態なんですけれど、第二弾のカードの中に『ガリオン』をサポートするカードがあります。それが『ラクシュミー 』(5/3/3)ですね。これが『ガリオン』をすごくサポートできます。

簡単に言うと、ソウルが5とか6ある状態で『ラクシュミー』をオーバーヒートで使うと、5つ割ってメモリが戻ってくるんですよ。

―― なるほど『ガリオン』の可能性がすごく上がりますね

タキニキ:そうですね。そういったデッキも増えてくると思います。要するにこれまで8/8ってのはほとんど出てこない環境でした。しかし第二弾環境では、8/8ってサイズが急に出てくるようになりました。そうなってくると『ゲンドウ』が強いですね。

優秀なプロモカードの条件とは?

―― プロモカードって、意外と強いカードが多い印象です

タキニキ:「ワンチャン使えそう」っていうところと「実際使える」っていう、そこの瀬戸際を突いてる感じですね。『ジャオロン』(3/2/2)は狙って強く作ったんですよ。

で、『ミンティ』(2/2/2)も、強く作ってますし。

あと、『ナディア』(2/1/1)も強く作ってます。

―― 『ナディア』も最近すごく良く見ますね

タキニキ:ひと月ごとにプロモーションカードが出てくるんですけど、ある程度、ユーザーの方が欲しくなりそうなというところを突きつつも、強すぎないところを狙って作ってますね。

最近作ったカードの中で、僕のベストカードはこの『フロスト』(6/1/6)ですね。これがベスト!(笑)

なぜベストかって言うと「ギリギリ使わない」っていうところです。

―― 確かにそうですね!確かに

タキニキ:入ってても「ああ、活躍するね」っていう感じなんですけれども、ギリギリ使わないですね。

(一同笑)

タキニキ:そこを突きたいんですよ。

―― もう一つ何か数値が変わってたら

タキニキ:変わってたらもうみんなのデッキに絶対入ってくるはずなんですけど、これはギリギリ使わないんですよ。ギリギリ何か足りないんですよね。

―― 『センチュリオン』(5/3/3)もそうですよね

タキニキ:そうですね『センチュリオン』もギリギリ使わない。

―― いやらしいっすね(笑)

タキニキ:本当は(ギリギリ使われない)そこを目指したいんです。

―― 『ウルゴ・バシュー』(5/1/4)みたいにちょっと使われちゃうと、ちょっと萎えるんですか?

タキニキ:『ウルゴ・バシュー』はすごいリスクを負ってるカードなんで、まあまあいいカードだと思うんですよね。「これはまあ、使われるだろうな」と思って出しました。ただし『ウルゴ・バシュー』が、もし死んじゃうんだったら、多分使わないんですよね。

―― 生きてるから

タキニキ:やっぱり機械ってのもありますし。ちょっとそのサジ加減は難しいんですけど。

―― でも、『フロスト』は絶妙ですよね

タキニキ:『フロスト』は絶妙だと思います、本当に。

―― 狙ってやってたんですね

タキニキ:そりゃそうじゃないですか(笑)。『サンタ』(5/4/3)だって使ってほしくてある程度強くしてますよ (笑)。

―― いいサジ加減だなぁ、って思ってて

タキニキ:『サンタ』だって、あれだけ「強い」って言われてても今は全然入れないじゃないですか。5コスト以上ってのは、本当にみんなの趣味で決まるぐらいのコスト域なので調整しやすいし、プロモーションカードを作りやすいですね。

『シルヴィア』(4/2/3)は強いので使ってほしいですね。「使ってほしい強さ」ですね。

プレイヤーとしての経験とカードデザイン

―― タキニキはMagicのプロプレイヤーとしても活躍されておられますが、そこから着想を得たカードっていうのは、WOBに何かありますか

タキニキ:実はあんまり、Magicは意識してないんですよね。意識しすぎると、Magicになってしまいますし、そもそもゲームが全然違いますから。ただし、キルターンとかその辺はすごく意識します。

あとMagicの中で参考にしているのは、リミテッド(未開封パックのカードによる限定戦)ですね。

ゲームって、シーソーみたいに有利不利が傾き合うから面白いと思うんですよ。一方通行で常に同じことしかやらない、ってなってしまうとこの傾きが無くなってしまい、ゲームとしてはつまらなくなってしまいます。

リミテッドの面白さって、やっぱりそのシーソーゲームなんですよね。何が出てくるかもわからないし、相手のレアが出てきたら一気にシーソーが傾いたりして。

―― ゲームチェンジャー一枚だったりとか

『アラディア 』とか……『アラディア』とかすごく良いカードだな、とは思います。

―― カードのゲームを作り始めてから、開発する経験が、ほかのゲームのプレイに生きたこととかありますか

タキニキ:いや、もともと僕はゲームプランナーとして既に10数年活動しているので、これを作ったことによって、ってのはあんまり無いですね。ただ他のデジタルカードゲームはしっかりやって「どういうところが面白い」、「どういうところが面白くない」っていうのは見てるようにはしてます。

今後のデッキとカード特性

―― 今の第一弾環境のデッキのままだと、たぶん、今後立ち行かなくなりますよね

タキニキ:そうですね。新しいデッキってのはどんどん出てくるので。第一弾をベースにするとしても、ある程度は何か強化していくべきですね。

もっとも、第一弾環境は意図的にバニラ、つまり能力を持たないユニットがたくさん居ました。能力を付けていたとしてもバニラに近かったです。

第二弾環境はそういったバニラのようなユニットの枚数は少なく、ほぼ全て能力を持っています。デッキを選ぶ際に、入れられるスペックは、ほぼほぼ入れられると思います。

―― 「何が入るんだろう」というか「何を抜けばいいんだろう」と

タキニキ:そうですね。何を入れようみたいな、そういう形で作ってあります。これが公開されたら、色んなデッキが出てくるんじゃないかと思います。

―― 眺めてるだけじゃなくて、使ったり使われたりでまた新しい組合せが生まれそうな気がします。それこそビルド戦で、たまたま引いちゃったやつでも「これ強ええじゃん」みたいなのがありそうな感じですよね

「信じろ」

―― これから始めようとしている人とか、第一弾やったまま離れていってしまったユーザーに、何かメッセージとか……まあ、今、話されたことがすべてだとは思うんですけど(笑)

タキニキ:(しばし沈黙)

……「タキニキを信じろ」……ですね。(笑)

面白いの作るから信じてくれ」って感じですね。それしかないです。

―― WOBはほかのデジタルカードゲームと比べて少し複雑なんだけど、頭使う部分が多いから、やりがいはすごく有るし知れば知るほど面白い。そこがもっと伝わればいいな、と思ってました

タキニキ:ほかのデジタルカードゲームだったらテンプレとなっているデッキをそのまま回しておくこともできますが、WOBって月一でも環境変わるし、なんだか、よくわからないデッキが急に出てきたりもしますね。

今考えると、TAOSIN一強時代がちょっと長すぎたかな。

―― TAOSIN、アグロからミッドレンジに移行しただけだった、みたいな

タキニキ:でも今は巡り巡って、SHEDOのミッドレンジみたいなデッキも結構居ますね。

―― そうですね

タキニキ:それにしてもMAGNAとE.G UNIONがちょっと、割食ってるかな。二弾が出れば、そんなことも無いんですけど。

―― LAPISもまた『タンゲ 』かよみたいな感じにはなってるんですけど、それ以外の勝ち筋っていうのも?

タキニキ:ありますよー。

―― 第二弾で増えた勝ち筋とかってあるんですかね

タキニキ:ええと、……『メテオシュート』、 『ギャラクシー・ビックバン 』、……とにかく全体除去を撃ちまくるデッキとか。

―― LAPISコントロール的な

タキニキ:そう、LAPISはコントロール組めるんで、それは非常に面白いかなと思います。それに『タンゲ』を添えてもいいですし。

あんまり合わないかもしれませんが『ヨミ』からの『ギャラクシー・ビックバン』などは10点オール行きますので非常に強力です。『ヨミ』倒さないと、もう『ギャラクシー・ビックバン』待っていますし。また「適当に自分のユニットを倒してソウルに変えて、予備分のダメージが相手のプレイヤーに入る」というようなデッキも作ることができます。

それらがメタゲームの中でずっと生き残れるかはわからないですけれども、今までにないLAPISってのは確実に出来ます。

―― 試す価値あり、という

タキニキ:ありますね! はい。特に『カオスクイーン 』(3/1/3)とか非常にいいカードですね。

―― じゃあ、「タキニキを信じろ」ということで

タキニキ:信じろ、と(笑)。

―― わかりました! ありがとうございました

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