マーベル本社勤務のえらい人に聞く!「アメコミの編集ってどんなことやるの?」
ガジェット通信 / 2017年5月3日 20時30分
『アイアンマン』、『アベンジャーズ』をはじめ、最近では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『ドクター・ストレンジ』など世界的大ヒットが続く「マーベル(MARVEL)」ヒーローの世界。日本初公開となる基調な資料や、映画衣装を見る事のできる「マーベル展 時代が創造したヒーローの世界」が現在、六本木ヒルズ展望台・東京シティビューにて開催中です。
魅力的なキャラクター、掘れば掘るほど面白いストーリー、予想もつかない展開、と世界中の人々を夢中にさせる「マーベル」の世界はどの様に生み出されているのか? マーベル本社で勤務する、シニア・バイスプレジデント&エグゼクティブ・エディターのトム・ブリーヴォート氏にお話を伺いました。
【トム・ブリーヴォート氏プロフィール】
編集者としてマーベルの主要なキャラクターが登場する作品ほぼすべてに関わり、後にマーベルスタジオによって映画化された『シビルウォー』『キャプテン・アメリカ』シリーズの『ウィンター・ソルジャー』は直接担当しています。 また、1998年より『アベンジャーズ』の編集も担当しており、これは同シリーズにおける担当期間としての最長記録となっています。ブリーヴォートはまた、マーベルユニバースに関する 百科事典並みの記憶を有していますが、本人によると「子供のころにあまりにも数多くのコミックスを読んだおかげだ」とのことです。
―最近日本でもアメコミファンが増加稽古にあると私は感じているのですが、トムさんはどうお考えですか?
トム氏:ここ10年で日本のファンの方は増えてきたと感じています。この「マーベル展」も大変素晴らしい展示ですし、今日ファンの皆さんのとても幸せそうな顔が見れて私もハッピーになりました。
インターネットなど、技術の発達で世界中の距離が近くなって、クリエイティブの世界はより、そうだと(距離が近いと)思うんですね。日本には「マンガ」の文化があって、アメリカの多くのアーティストに影響を与えています。アメリカでは80年代から90年代に日本のマンガブームがありまして、マンガに影響を受けたアーティストが自分で作品を作り、その作品を日本の皆さんが見て共通点を感じて受け入れてくれてるのではないかと思います。お互いに影響を与えあって吸収しあう、素敵な関係性だと思います。
―昨年、マーベル社のバイス・プレジデントであるC.B.セブルスキーさんにお話を伺ったのですが、すごく日本のコンテンツに詳しくて。トムさんも好きな日本の作品はありますか?
トム氏:私は日本のアニメやマンガに最初に触れたのは『マッハGOGO』『鉄人28号』のモノクロ作品で、当時は子供だったので日本から来たものだと知らずに楽しんでいました。その後好きになったのは『宇宙戦艦ヤマト』です。当時のアメリカのアニメファンは、日本の方と“ペンパル”になって録画したビデオテープを送ってもらって、情報を仕入れていました。僕も同じ様にペンパルとのやりとりでどんどんアニメが好きになっていきました。
僕は今回2度目の来日なのですが、初めて日本を訪問したのが2010年で、映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』を観るのが目的でした。映画を観るためだけに日本に来たんです(笑)。
※トムさんのスマートフォンの待ち受け画面が『SPACE BATTLESHIP ヤマト』でした!
―そもそもな質問になってしまい恐縮なのですが、アメコミの編集者というのは、どの様な流れで仕事を進めているのでしょう。
トム氏:日本の漫画家の皆さんは、多くの方がストーリーを考えるところから絵の完成まで一人で行うと思うのですが、アメコミの場合はストーリーを作る人、ペンシルで大まかな流れを描く人、それを仕上げていく人、カラリスト、レタリング、と作業が細かく分配されているんですね。編集者という人は、それぞれの仕事をする人を探すところからはじめて、全ての作業を監修します。あとはクリエイターそれぞれの特徴をつかみ、彼は『アイアンマン』にむいているとか、この人に『マイティ・ソー』を描いてもらおう、ということも決めていきます。映画のプロデューサーの様な仕事だと考えてもらうと分かり易いかと思います。
マーベルでは毎月80作品ほど作っているのですが、実際に僕が携わるのは15作品前後になります。
―そんなトムさんが考える、魅力的なコンテンツ作りの秘訣とはどんなことでしょうか?
トム氏:最近公開された『ドクター・ストレンジ』は魔術を使うキャラクターが主人公ということで、マーベルの世界観を広げる作品になったと思います。天才だけど傲慢な態度という点では、ドクター・ストレンジとトニー・スタークは共通している部分が多いと思います。様々な出来事をきっかけに自分の傲慢さと向き合い成長していきますよね、でもトニー・スタークは会社社長でドクター・ストレンジは医師で魔術師という設定の違いでストーリーも変わった展開をしていくのが面白いと思います。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は完全に宇宙を舞台にした作品、『アントマン』は現実の世界でコメディ要素が強いという作品です。この後公開となる『スパイダーマン・ホームカミング』は学園青春もの…と、非常にバリエーション豊かです。
特殊な力を得たからヒーローになったというわけではなく、パワーを得た後にどんな選択をするかということが大切で、皆より良い人間になろうとする、だから私たちは能力を持っていない人間でも共感して感動出来るのだと思います。
―今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
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