災害に強いと導入相次ぐPHS、非常時につながるのはなぜか?
ガジェット通信 / 2012年4月26日 14時30分
今回はブログ『無線にゃん』からご寄稿いただきました。
■災害に強いと導入相次ぐPHS、非常時につながるのはなぜか?
「災害に強いと導入相次ぐ PHS、「非常時につながる」のはなぜか?」2012年3月22日 『internet.com』
http://japan.internet.com/allnet/20120322/1.html?rss
“PHSはマイクロセル”という呪文だけでは、PHSの強さは正確には表現できていないと私は思っています。それを言ったら、3Gなどでもセル半径を小さくすりゃいいじゃん、ってことになってしまうんですよね。
そうではなくて、PHSは意図的にセル半径を小さくする必要なく、システムを構成する基地局と端末の自律的な分散動作によって、“基地局が密集すると、見かけ上セル半径が小さくなるように自動的に移行する”という特性があります。
これは、基地局の密集だけでなく、トラフィックの密集でも同じ。もちろん、十分な数の基地局がまんべんなく配備されていることが前提ではありますが、トラフィックが密集してくると、勝手にセル半径が小さくなったような動作(というか構成)になってしまうんですよね、PHSは。
なので、平時は何も考えずに適当に基地局を密集してばらまけばよい、たいていの場合はそのなかで最もカバー効率の良い基地局がトラフィックを吸ってくれる。非常時などでトラフィックが一気に膨れ上がると、普段は全く動いていない基地局にも自動的にトラフィックが分散することでセルがマイクロ化するんです。
これは、反射や干渉の影響で飛び地的に電波が届いてしまうようなところでも同じ。端末自身と基地局自身が随時“現実の電波”を測定し、単に“今最も良い相手を選ぶ”ということをバカ正直にやるだけで、セルの形状や地形などとは無関係に、勝手にどんどん分散して異常なほど小さいセル半径(というか枝状セル形状やヒョウ柄のようなセル形状さえ)を実現してしまいます。
その機能と引き換えに移動の弱さ(毎回測定するのでハンドオーバに時間がかかる)などを甘受せざるを得ないわけですが、これこそがPHSの強さ。衛星は力技での災害対策ですが、PHSは集団としての強さによる耐災害性をもっていると言えます。
執筆: この記事はブログ『無線にゃん』からご寄稿いただきました。
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