【インドネシア・コーヒーの旅】あの『トアルコ トラジャ』の農場でコーヒー豆の収穫と生産工程を体験してきました
ガジェット通信 / 2017年9月23日 11時0分
インドネシア・カリマンタン島の東に隣接する、アルファベットの「K」の文字に見える形をした“スラウェシ島”。キーコーヒーの看板ブランドとしておなじみの『トアルコ トラジャ』コーヒーは、このスラウェシ島にある“トラジャ”地方で生産されています。ガジェット通信はキーコーヒーが主催する、『トアルコ トラジャ』コーヒーの産地を回るプレスツアーに参加。農場に行ってコーヒー豆の収穫と生産工程を体験したり、コーヒー豆の流通や販売の現場を見てきましたので、旅の模様を交えてレポートをお届けしていきます。今回、撮影にはドローンを持参。ドローンを使った撮影の過程も別記事で紹介していきます。
『トアルコ トラジャ』の生産拠点・パダマラン農場
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トラジャは、船の形を模した伝統家屋の“トンコナン”が現在でも建築され、独自の文化が世界中の旅行者から注目されている都市。
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観光の中心となるランテパオの街から山道をジープに揺られて約1時間、標高1000~1250mのエリアに、『トアルコ トラジャ』を生産する現地法人のトアルコ・ジャヤ社が所有するパダマラン農場があります。
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パダマラン農場は、コーヒーの栽培から始まり、コーヒー豆の収穫や、収穫・調達した豆の加工や選別、焙煎と包装、出荷までをカバーするトアルコ・ジャヤ社の生産拠点。530ヘクタールの面積に、約35万本のコーヒーの木が栽培されています。こちらで、コーヒー豆を収穫してコーヒーを生産する過程を体験させていただきます。
コーヒーが出荷されるまで
ここでまず、『トアルコ トラジャ』のコーヒー豆が収穫され、出荷されるまでの一連の工程をまとめておきます。
(1)栽培:発芽した苗を生育し、2~3年かけて収穫可能な成木に
(2)収穫:“チェリー”と呼ばれる赤く熟した実を手摘みで収穫
(3)精選:実の外果皮と果肉をむいた“パーチメント”、内果皮をむいた“グリーンビーンズ”に加工
(4)選別:品質基準によって豆を選別
(5)カップテスト:品質をチェックするカップテストを実施
(6)焙煎:焙煎機で豆を加熱
(7)粉砕:挽いた状態で出荷する場合は豆を粉砕
(8)包装:豆や粉を包装して出荷
栽培から製造まで、生産地で一貫して手掛けられる会社は珍しいそうです。
砂に生豆を植えて苗を育成
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農場で、苗の育成を実演していただきました。パダマラン農場では、グリーンビーンズの状態の豆を植えて苗木を育てています。パーチメントの状態では発芽率が6割であるのに対して、グリーンビーンズの発芽率は8割と高いのだとか。豆は川から採取した砂の上に筋を引いて植えていきます。
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砂の中に植えることで、根がまっすぐな苗に育つのだそう。
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発芽した苗はビニールポットへと移植され、豆を植えてから8~9か月経つと、農場の畑に植えられる程度に生育します。収穫可能な成木になるまでには2~3年かかるそうです。
チェリーの収穫を体験!
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続いて農場に行って、収穫を体験させてもらうことに。まだ青い実は取らないように、高いところの実から取っていく、など説明を受けます。
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収穫した実を集める袋を首から提げて、制限時間20分で収穫体験スタート!
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収穫がしやすいよう、人間の背の高さ程度に剪定して育てられるパダマラン農場のコーヒーの木。上の方から枝の先をつかんで、赤い実だけを手で摘んでいきます。
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赤くみずみずしい実は、まさに“チェリー”という呼び名が似合う果実。焙煎されたコーヒー豆をイメージしていると、これからコーヒー豆が取れるとはにわかに想像できません。
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20分が経過して、筆者が収穫した実から十分に熟していない実や傷んだ実を取り除いてもらいます。どれぐらいの量が取れたか計量してもらうと……。
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なんとたったの200g! これでも農場のお姉さんにコッソリ実を分けてもらったんですけどねえ。
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同じ時間収穫した、農場で働くお姉さんたちの結果は……ケタが違う量! 2kgから4kg程度まで取れた人もいます。当然ですが完敗ですね。収穫の最盛期となる7~8月には、約500人の作業員がこの収穫作業に携わっているそうです。
水洗・乾燥の工程を見学
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パダマラン農場には自然の湧水があり、豊富な水を使ってパーチメントの水洗ができるのが特徴。水源の水はそのまま飲んでもやわらかく、おいしい水でした。
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外果皮をむいたばかりのパーチメントは、“発酵槽”と呼ばれるプールで一晩水に漬けられた後、溝状になったプールで周りの“ぬめり”を落とす水洗工程に入ります。
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水洗したパーチメントは天日干しした後、乾燥機による乾燥工程で含水率が10.5%の状態まで乾燥させます。
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乾燥させたパーチメントは、機械で内果皮をむいたグリーンビーンズに加工されます。粒の大きさで機械選別にかけられた後、手選別の工程へ。
悪い豆は見分けられるか? 選別工程に挑戦
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選別工程をする作業所で、実際に選別工程に挑戦してみることにしました。黒い豆や赤い豆、未成熟だったり虫食いがあるなど、ダメージを目視や触覚で確認し、手で拾い出していきます。
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豆の品質を左右する重要な工程。ここでは最盛期には約80人が作業を担当し、1人で1日に平均60kgも選別をするのだそうです。筆者たちは持ち時間20分でどこまで選別できるかに挑戦。
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参加者の中でいち早く、制限時間前に作業が終了してしまった筆者。あまり時間をかけると制限時間内に終わらないのではと、ちょっと焦りすぎたかも……。
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選別した豆からコップ1杯分の豆が抜き取られ、品質基準に適合しているかプロの目でチェックされます。ドキドキ……。
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結果は不合格。1個含まれているだけで検査が一発アウトな豆が7個も含まれていました。こりゃ難しい……。本来は、合格になるまで同じ豆で何回も繰り返し選別をすることになるそうです。『トアルコ トラジャ』の品質基準の厳しさがよくお分かりいただけるのではないでしょうか。
品質を見極めるカップテストを体験
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『トアルコ トラジャ』の品質へのこだわりはこれだけではありません。豆の選別だけでなく、焙煎した豆から官能による品質チェックをする工程もあります。この工程は“カップテスト”と呼ばれ、収穫から輸出まで最低5回は実施されるのだそう。筆者たちもこのカップテストを体験させていただくことに。
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テスト用のテーブルの上には、グリーンビーンズとそれを焙煎した豆、グラスに注がれたコーヒーが置かれています。コーヒーは、粉砕した豆にお湯を注いで3分経った状態でカッピング。同じ種類の豆でも3杯のコーヒーを作ってテストを実施し、品質にバラつきがないかをチェックするそうです。
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カップテストでは、まず粉が表面に浮いた状態でコーヒーの香りを確認、続いてスプーンで表面の粉を崩した状態でも香りをチェックします。粉を除去したらスプーンですくってカッピングするのですが、このとき、吸い込む空気で口の中のコーヒーを霧状にして、口の中いっぱいにコーヒーが行きわたるようにして味と香りを確認するのです。今回の体験では品質の悪い豆は使っていないので、筆者は「どれも美味しいです」ぐらいしかコメントできませんでした……。熟練したテスターは香り・甘み・酸味・ボディなどを評価できるそうですが、その域に達するのはなかなか難しそうです。
インドネシア国内向けの工場としても機能
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パダマラン農場から日本や欧米など全世界へ輸出される『トアルコ トラジャ』のコーヒー豆。日本や海外向けには生豆の状態で出荷されますが、インドネシア国内向けにはパダマラン農場で焙煎・包装したコーヒー製品が製造されています。
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農場内の工場には焙煎機・粉砕機・包装用の設備がそろい、焙煎した豆や粉、ドリップバッグタイプの製品が製造・出荷されています。実はこの工場で、現在インドネシア向けの新製品を開発中なのだとか。炭火で焼くことができる焙煎機を導入し、日本ではおなじみの“炭火焼コーヒー”を製品化する計画があるのだそうです。
30年先を見据えた実験農場
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「あれ、ここって“とうもろこし畑”?」――農場の中にちょっと不思議な一角が。ここは、2016年から世界的なコーヒー関連事業の非営利研究機関“World Coffee Research(WCR)”と共同で栽培試験を行っている実験農場なのだとか。
WCRは、地球温暖化による気候変動や病害虫による被害から、2050年にはアラビカ種のコーヒーが栽培できる土地が半減してしまうという見通しを明らかにしています。この実験農場では今後50品種のコーヒーを栽培し、今後トラジャの地での栽培に適した品種が何であるのかを研究中。コーヒーの木から豆が取れる寿命は約30年。将来を見据えて、永続的なコーヒー生産に向けた取り組みに着手しているのです。
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とうもろこしは、苗の日よけになる“シェードツリー”として一時的に植えているもの。とうもろこしの根元近くには、ちゃんとコーヒーの苗が植えてありました。
『トアルコ トラジャ』コーヒー農場 ドローン撮影レポート(YouTube)
https://youtu.be/9HBYb5P8ns8
次回は、コーヒー豆の集買所やトアルコ・ジャヤ社による現地でのコーヒー栽培指導、販売の模様を通じて、現地に根付いた『トアルコ トラジャ』のコーヒー文化をご紹介します。
【インドネシア・コーヒーの旅】現地に根付く栽培技術と日本流コーヒー文化 『トアルコ トラジャ』のコーヒー豆が集まり販売されるまで[リンク]
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