行定勲監督 映画『ナラタージュ』で「首が繋がった」 “ヒットしなかったら路線変更”発言に会場どよめく
ガジェット通信 / 2017年10月18日 10時0分
島本理生先生による、狂おしいほど純粋に禁断の恋に落ちる二人を描いた恋愛小説『ナラタージュ』を嵐・松本潤さん主演、ヒロインに有村架純さんを迎え、『世界の中心で、愛をさけぶ』など恋愛映画の名手・行定勲監督が映画化。
10月7日(土)に全国公開されると、ぴあの初日満足度No.1、韓国の釜山国際映画祭にも正式招待されるなど、大ヒットスタートを記録しています。
10月16日に行われたヒット御礼舞台挨拶では、行定監督から意外な胸の内が明かされました。
この作品は、高校教師と生徒という立場で出会った葉山(松本潤)と泉(有村架純)が時を経て運命的再会を果たし、一生に一度の許されぬ恋に身を焦がしていくラブストーリー。
松本さんは、公開後、普段あまり連絡が来ない友人から映画についての感想が送られてくるといった反響の多さを語り、観た人それぞれ感じ方が違う「語り合うことができる映画」だとコメントしました。
![](https://api.getnews.jp/thumb/ext/http://otajo.jp/files/2017/10/DSC_0680-2.jpg)
行定監督:釜山でもみんなにすごく言われたのは、韓国でもこういうラブストーリーが作られなくなったということ。彼らの言葉を借りると、「本格的なラブストーリーはこういうものなんじゃないか」と。人を傷つけ合ったり、悲しいこともあったり、でもそれを乗り越えて成長する。そういうものがかつてあったラブストーリーだったのに、今はどちらかというと、そういうものがない。「そうじゃないものが観たかった」と。韓国の人ってハッキリ意見を言うので、「これが自分たちの物語だと思えるかどうかによって、この映画を支持できる、できないというのがあるから、そういう議論をみんなでしてるんだ」と言われました。日本も同じだと思いますね。同じ作品でも男女だと絶対感想が違うんですよ。それが面白いなと。生々しいからかな? 作品を肯定できるとか、否定するとか、それぞれの考え方がある。でも、否定されるものをあえて作っている気もするんですよ。普段だったら(リアルな生活で起きたら)否定されるけど、ラブストーリーの主人公たちがそこに直面することで、完全否定だけでは片付けられないことになっていくっていうのがやっぱり人間的な面白さなので、そこは伝わっているなあという感じがします。
行定監督「これが当たらなかったら路線を変えようと思ってた」
「今作で得られたことは?」の質問に、「僕は首が繋がった、っていうね。これが当たらなかったら、路線を変えようと思ってたんだよね」と行定監督が発言し、会場にどよめきが起こります。
松本:大胆発言ですね。
行定監督:そんなこと誰も気にしてないと思うけど、自分の中でね(笑)。そういう用意もなくはないわけですよ。ただ、もうちょいやりたいなって。この人間関係の曖昧さが好きなんです、僕は。それって映画だから出来ることだと思っていて。決してわかりやすくしなくてもいいと。
2時間の映画の中で思うことって2時間くらい逆に映画に没頭してもらいたいって気持ちがあるんですよね。だから曖昧なものこそ、映画はやっぱり選択していくべきだと思うし、たいして物語がなくても映画って面白いものだという風に自分では思っているんですね。素晴らしい巨匠が作った名作っていっぱいあって、好きなんだけど、未だにたいして物語を覚えていないんですよ。でもその物語じゃないものを感じ取って、記憶に残るものが作れたらいいなと思っているので、これ(『ナラタージュ』)で当たらなかったら、もうすごい物語を重視した、超ジェットコースタームービーみたいなものを作ろうかなとか。用意はしてないんですけどね(笑)。まぁそんなことはしないだろうけど、でもみなさんが観てくださったことで、もうちょっとこういうのをやっていける猶予期間が延びたって思っています、ありがとうございます。
さらに、この日、松本さん、有村さんへサプライズで手紙を書いてきた行定監督。そこには、「君(松本さん)が参加すると言ってくれたことから、10年間凍結していた『ナラタージュ』は動き出しました。一本の映画が救われたのです」、「私が10年間探してきた工藤泉があなた(有村さん)で本当によかった。ありがとう」といった感謝の言葉が綴られていました。
完成披露試写会の舞台挨拶で、「実現まで10年かかった」と明かしていた行定監督。賛否両論あるだろう『ナラタージュ』を映像化することを、「賭けだね」と言われ続け、それでも作りたいと待ち望んだ作品。行定監督は、「キャストによって映画が救われる瞬間があるものなんですよ。この2人に出会うために、十何年間『ナラタージュ』がなかなか成立しなかったんだなぁと、それを待ってたんだろうと感じてます」とコメント。
行定監督の作り出す空気感、映画だから否定せずに表現できる人間関係の曖昧さ、記憶に残る映像……「かつて日本映画がたくさん作っていた恋愛劇を作りたかった」と表現した、映画『ナラタージュ』を観て、みなさんも作品や恋愛について議論を交わしてみては?
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『ナラタージュ』10月7日(土)全国ロードショー
公式サイト:
(C)2017「ナラタージュ」製作委員会
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