北野武からの出演オファーに「役者やってて良かった」 『アウトレイジ 最終章』池内博之インタビュー
ガジェット通信 / 2017年11月2日 20時30分
北野武監督18作目となる最新作『アウトレイジ 最終章』が現在上映中。観客動員数100万人を超えるヒットを記録しています。
本作の魅力の一つが、『アウトレイジ』シリーズだからこそ実現出来た豪華なキャスト陣。主人公・大友を演じる北野武さんをはじめ、大森南朋さん、西田敏行さん、ピエール瀧さんなどなど、濃い素晴らしいメンツが集結しています。
その中で、特別な存在感を放っている俳優が池内博之さん。最近では、ジャッキー・チェンとの共演を果たすなど国内のみならずアジアでも活躍しています。今回は池内さんに『アウトレイジ』シリーズへの想いや北野武作品の現場についてなど、色々とお話を伺ってきました。
――池内さんは本作で『アウトレイジ』シリーズ初参加となりましたが、完成した映画をご覧になって率直な感想を教えてください。
池内:すごくおもしろかったです。1作目はぶっちぎってる感じで、2作目もさらに力強さを増してという感じだったんですけど、3作目は人間ドラマが重視されていて新鮮で面白かったです。1作目も2作目も観客として楽しませていただいていたので、やっぱり俳優として「ここに自分がいれたらな」とはずっと思っていました。なので、今回出演できるなんて夢にも思ってもみなかったし、びっくりしちゃいました。
――出演は監督からの指名だそうですね。
池内:はい、お声がけいただきました。武さんからお話をいただいたって事にまず耳を疑っちゃって。「誰か違う人と間違えてるんじゃないかな?」って思うくらい驚いて(笑)。デビューした頃から、色々な武さんの作品を見ていますし、一度出演させていただきたかったので夢が叶った気持ちです。本当に役者やっててよかったなって思いました。
――池内さんは北野作品で特に好きな作品はありますか?
池内:たくさんありますけど、やっぱり『アウトレイジ』好きですね。『菊次郎の夏』とか、『Dolls』とか『アキレスと亀』とか美しい作品もたくさんありますけど、やっぱり『アウトレイジ』ってバイオレンスとエンターテイメントが共存している特別な作品だなと思います。
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
池内:そうですね。すごく緊張感はありました。1回カメラテストやったら、すぐ本番っていう感じで、テストを2回も3回もやらないんですよね。撮影がすごくはやくてあっという間に終わって。だからクランクアップした時に「もう終わっちゃったのか」って感覚と、「この現場にもういられないんだ」ってさみしさと、そういう感情が入り混じってました。
――俳優の皆さんの「まだ死にたくない」って気持ちがある意味役柄に本気で投影されているのかもしれませんね。映画の中で好きなシーンはどこですか?
池内:マシンガンでガーってとこですね。2人なのにあれだけの人数をやっちゃうっていう。すごかったですね。マシンガンって、これまでの『アウトレイジ』にもでてなかったと思うので、ああ最後だなって感じがすごいしました。爽快感がすごかった。あと冒頭の海のシーンもすごい好きですね。『アウトレイジ』の世界の中であの空気感も新鮮でした。冒頭の海のシーンはアウトレイジっぽくないスタートというか、時間がのんびりしててすごくいいですよね。
――本作でシリーズ三3作目ですけど、振り返って「このキャラクターは特に敵に回したくない」っていう人いますか?
池内:もちろん大友。あと、小日向さん演じる片岡も嫌ですね。いろんな組がありますけど警察でしか知らない情報を握っていたというのが怖いですよね。特に小日向さんは普段優しい役も多いので、その意外性もありますよね。
――警察が一番恐いんじゃないかって思っちゃいますよね(笑)、ありがとうございます。最近、池内さんはジャッキー・チェンとの共演であったりグローバルに活躍されてると思うのですが、日本の作品だけにとどまらず、世界に目をむけるきっかけってあったのでしょうか?
池内:最初は『イップマン』っていう映画がきっかけだったんですよ。それが終わってから、色々お話をいただくようになって。でも中国の作品だからやるとか、やらないとかそういうことではなくて、どういう人と共演するのかとか、どういう内容なのかで、ありがたいことに選ばせていただいています。
――やっぱり日本の現場との違いってあったりするんですか?
池内:やっぱりありますね。台本がないんですよ。当日に台本渡されて、監督とストーリーを確認しながら、例えば僕が死んでしまう役なら「どんな事が起きてどうやって死ぬのか」をディスカッションしてアイデアをまとめていく感じです。
――その場で決めていく、すごいですね。
池内:本当にその場でどんどん変わっていくので、中国や香港の現場と日本の現場の違いは大きいですね。大変な様で、もっと深くその役の事を考えられるし、そういう意味では面白いですよね。自由というか、型にはまってないというか。アクションシーンでも、基本的にはアクション監督がやるんだけど、実際に俳優たちが動いて「ここは違うんじゃない?」って意見をどんどん出していきます。
――中国のエンターテイメントへの熱、というものも体感としてありますか?
池内:そうですね。熱はものすごいです。だからこそ、撮影はしつこく粘って粘ってやりますね。役者を朝にとりあえず呼んで待機させるんですよ。それで、夜まで待機して今日は撮影ナシとか結構ありますね。監督が前に進めているカットが気に入るまでとことんやる、納得出来るまで次にいかないという感じです。
――そんな環境の中で鍛えられているからこそ、色々な役に挑めるのかもしれませんね。
池内:何事も経験で、素晴らしい監督さん、素晴らしい俳優さんが、世の中に沢山いらっしゃるので。北野武さんもそうですが、ご一緒出来る縁があったら常に全力でつかんでいきたいと、そう思っています。北野作品に出られて一つ夢が実現出来たので、これからも色々な映画に出させていただける様、努力していきたいです。
――今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!
(撮影:周二郎)
『アウトレイジ 最終章』
池内博之 | レプロエンタテインメント
http://www.lespros.co.jp/talent/artists/hiroyuki_ikeuchi/
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