注目俳優・太賀インタビュー「誰しもが漠然とした不安を抱える10代だった」 映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』
ガジェット通信 / 2017年11月6日 16時0分
将来に希望を持てないまま平凡な日々を過ごす、男子高校生又八、ジン、ジャンボ。「変わりたい」という漠然とした想いを抱き、車で高校最後の旅に出かける。人々との出会いを通して、自分たちの生き方を見つけていく3人だったが……。
太賀さん、中村蒼さん、矢本悠馬さんという注目若手俳優3人が挑んだ青春ロードムービー『ポンチョに夜明けの風はらませて』。ゆるく自然体な雰囲気を漂わせながらも、誰しもが通ったことのある思春期の葛藤や不安が描かれており「大人に刺さる!」と現在ヒット中です。
今回は、主演の太賀さんに映画について、ご自身の青春について色々とお話しを伺ってきました。
--本作大変楽しく拝見させていただきました! 高校生の青春を描きながらも私の様な30代でも刺さるところが多くて。
太賀:ありがとうございます。やはり誰しもが昔10代で、漠然とした不安とか持っていたと思うんですね。だからこの3人の誰かにどこかしらは共感出来る部分があるのかもしれません。
--おっしゃるとおり、今この映画を観るとゆるいなって思うシーンも、実際の高校生ってこんな感じだったよなあとか思いました。
太賀:高校を卒業する間近のモラトリアムな時間に、親友たちと旅に出るというのがすごくロマンがありますよね。周りから見て、いかにばかげていても、本人たちが真面目に一生懸命青春していて。最初に台本を読んだ時に又八というキャラクターをすごく魅力に感じたんですね。先のことをあまり考えずに、目の前の楽しいことに動物的に飛びついていく所が、いいなあと思って、うらやましいとも思ったんですね。
--又八と自分の違う部分や似ている部分ってありますか?
太賀:又八と僕が一番違うのは、僕は高校生の時には今のお仕事をはじめていたので、又八の様なモラトリアム期間があったわけでは無く、はやく大人にならざるを得ない部分があったと思います。一方で又八の楽しいことが大好きで無鉄砲なんだけどどこか漂う童貞感というか、そういう所は自分と似ていて。だから環境とかは違いますけど、本質的な部分は同じだなと思っています。
--又八の役作りについてはどの様に行いましたか?
太賀:廣原監督とは又八をどうやって作っていこうかと色々と話しました。僕は又八の無鉄砲な部分に魅力を感じていましたし、廣原監督も商業一作目ということもあり、作り込みすぎることはあまりしたく無くて、ある程度感じるままに演じさせていただきました。
--又八、ジン、ジャンボの3人の空気感も最高でしたが、中村蒼さん、矢本悠馬さんの印象はいかがでしたか?
太賀:2人とは年齢も近くて、撮影初日の車の中で他愛の無い話をした時にすごく盛り上がって、バカみたいな話でめちゃくちゃ笑ったんですね。もうその時点で空気感みたいなものは出来上がっていたと思います。すごく居心地が良かったです。蒼君は以前も共演したことがあったのですが、蒼君ってもともとは言葉数が少ないんです。でもこの映画でまた共演することになってきて、蒼君が作品のテンションに合わせてきてくれたというか、ありがたかったです。矢本君はすごく華があって、現場にいるだけでそこが明るくなるというか、3人でキャッキャ撮影することが出来て本当に楽しかったです。
--先ほど、太賀さんは又八の様なモラトリアム期間が無かったとおっしゃっていましたが、この映画みたいに青春やったな〜っていう思い出はありますか?
太賀:中学生の時に仲間たちと杉並から湘南の海まで自転車で行ったことがあります。
--自転車で! かなりの距離ですよね。
太賀:朝早く出発して、何時間かかったかなあ。海に着いたら、別に海に入るわけでは無く「着いたー」ってその場に寝転んで。海に行くことがゴールでその後は特に何もしないっていう(笑)。すごく青春だったなと思います。
--本当に映画みたいな素敵な思い出ですね。青春がテーマの作品って本でも映画でもたくさんあって、この『ポンチョに夜明けの風はらませて』もその一つだと思うのですが、太賀さんが一番好きな青春作品は何ですか?
太賀:北野武監督の『キッズリターン』です。あの「俺たちもう終わっちゃったのかなあ」「まだ始まっちゃいねえよ」ってセリフは何度観てもシビレます。
--ああっ、私も大好きです! 本当に素晴らしいですよね。そう考えると、青春っていろんな形がありますね。
太賀:青春を描いた作品の中では、映画の中で成長をして終わりというものもありますが、この映画は成長するまでの“間”を描いているのでそれも新しくて面白いなと思います。
--今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
(撮影:周二郎)
【ストーリー】
将来に希望を見出せないまま、ただ何となく日々を過ごしていた男子高校生の又八(太賀)、ジン(中村蒼)、ジャンボ(矢本悠馬)。卒業を間近に控えた今、ジンは一流大学への受験を決意し、ジャンボは父親のとんかつ屋を継ぐことを決めていたが、又八だけは何も進路を決められずにいた。“このありふれた日常から少しだけでも抜け出したい”そんな思いを胸に、又八はジン、ジャンボを連れて旅に出る。所持金はほぼない。行くあてもない。頼りになるのは、ジャンボの父親の愛車セルシオだけ。道中でグラビアアイドルの愛(佐津川愛美)、風俗嬢のマリア(阿部純子)ら刺激的な“大人たち”と出会いながら、普段では味わえないハチャメチャな体験をする3人。一方、置いてけぼりをくらいながら、又八と約束した卒業ライブに向けてギターの練習に明け暮れる中田(染谷将太)。彼らの中で、ようやく何かが少しずつ動き出そうとしていた。
(C)2017「ポンチョに夜明けの風はらませて」製作委員会
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