誰もが抱いたことのある“SNS”のモヤモヤ感……ゾッとする結末に注目の映画『ザ・サークル』
ガジェット通信 / 2017年11月10日 18時30分
最近「いいね!」が少ないからドライブでも行こうかなあ・・・。しまった!あっちのお店の方がインスタ映えするんだった! もう一度コーヒー飲まなきゃ! ・・・なんて思ったことはありませんか? 楽しいはずのSNSが、気がついたらちょっと重荷になっていたり。そんな誰もが抱いたことがあるモヤモヤ感の先に、それはそれは恐ろしい将来が待ち構えていたとしたら・・・。アメリカの人気作家デイヴ・エガーズによる、SNSの悲喜劇をえげつなくもリアルに描いたサスペンス小説『ザ・サークル』(ハヤカワ文庫)は、本国で2013年に発表されるやいなや、大ベストセラーとなりました。その待望の映画化作品『ザ・サークル』が、11月10日(金)から全国でロードショー公開されます。
主人公のメイ(エマ・ワトソン)は、大学で勉強したことも生かせずに、地元で退屈な仕事に就いていました。しかしある日、学生時代の親友アニー(カレン・ギラン)から、世界最大のSNS企業”サークル”の入社試験を受けてみないかという夢のような誘いが舞い込みます! メイのやる気は面接官に受け入れられ、晴れて入社した憧れの会社は、待遇はもちろん、明るく開放的なオフィス、全て無料の食事、頻繁に開かれるパーティ、ヨガ教室、ペット同伴、社内スタバ、セレブのフリーライヴなどなど、予想をはるかに超えた理想郷でした。すでに重要なポストにいるアニーの期待にこたえるよう、メイはがむしゃらに働きはじめるのですが、意外なところに落とし穴があったのです・・・。
物語は、メイがサークルで働くことで日々の生活や考え方がどう変わっていくのか、そしてそれがどんな事件を巻き起すかがスリリングに描かれ、ラストでは驚愕の選択が突きつけられます。映画でメイに影響を及ぼすカリスマ経営者ベイリーを演じているのは、名優トム・ハンクス。若い社員たちの憧れであり、なおかつフレンドリーといえば、ハンクスそのもののように思えますが、しかし彼の本性は見た目どおりなのでしょうか? ジェームズ・ポンソルト監督にハンクスの起用を薦めたのは、原作者であり、共同脚本も手がけたエガーズ本人。実はハンクスは、その前に出た小説(注:日本では『ザ・サークル』のあとに刊行)『王様のためのホログラム』映画化の際に、自ら主演を願い出たほどの大のエガーズファン。本作も、脚本が送られてすぐにオファーを受けたそうです。全編にわたりハンクスの意気込みが感じられる本作ですが、とりわけ社内プレゼンの場面でのすばらしく巧みな話術は、映画であることを忘れて真剣に聞き入ってしまうほど。
エマ・ワトソンも原作のイメージにぴったりです。監督が彼女を主演に選んだのは、演技が素晴らしいのはもちろん、SNSを通じて社会的な発言をしたり、小さい頃から他人に見られ続けている環境にあることから、彼女がメイの心情をより理解できると信じたからとのこと。原作を興味深く読んだエマ自身も、メイに共感できると語っています。今回のキャスティングでもうひとつ特筆すべきは、メイの友人マーサーを、映画『6才のボクが、大人になるまで』の主人公エラー・コルトレーンが演じていること。ご覧になった方も多いと思いますが、あの映画でエラーは、6才から大学に入るまでの期間、リアルタイムの成長を観客に見られました。監督にうかがったところ、エラー自身はSNSに全く興味がないそうです。その事実を知ったあとで本作を観ると、より一層感慨深いかもしれません。
最後に大事なことをひとつ。原作と映画ではかなり大胆にエンディングを変えています! 映画版は、最先端技術のヴィジュアル表現に、完璧なまでのサークルのセット、そしてダニー・エルフマンの音楽が見事にマッチしています。原作の方では、メイが入社してからの驚きやトラブルが事細かに描かれており、とりわけ、映画には出てこない一人の登場人物が、あまりにもクズすぎて強烈な印象を残します。イヤだけど面白い、そして最後はゾッとする『ザ・サークル』。観たら/読んだら、絶対ハマること間違いなしのこの作品、映画版と原作、あなたはどちらの結末がお好きでしょうか?
【プロフィール】♪akira
翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、月刊誌「本の雑誌」、「映画秘宝」等で執筆しています。
明るく開放的なオフィス、全て無料の食事、頻繁に開かれるパーティ、ヨガ教室、ペット同伴、社内スタバ……理想のIT企業“サークル”
劇中ではあのBECKライブシーンもあります!
『6才のボクが、大人になるまで』の主人公、こんなに大きくなったんですね。
『ザ・サークル』
(C)2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.
―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』この記事に関連するニュース
-
「観たかった路線」 原作と異なる「終わらせ方」も好評だった実写化作品
マグミクス / 2024年7月19日 20時25分
-
キュートな子役がビッグに“激変” 「フォレスト・ガンプ/一期一会」公開30周年、出演キャストの現在
ねとらぼ / 2024年7月15日 19時10分
-
エマ・ワトソン、車の陰で自分から顔を寄せ...「キス現場」を激写 新恋人はオックスフォード大の学生
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月13日 12時57分
-
A24×Apple TV+ドラマ『サニー』配信開始 ラシダ・ジョーンズと西島秀俊が夫婦役で共演するミステリースリラー
クランクイン! / 2024年7月10日 12時30分
-
【アマプラ】一気見したくなる「ミステリー・サスペンスアニメ」3選 暑い日は、おうちでアニメを楽しもう
Fav-Log by ITmedia / 2024年7月2日 16時10分
ランキング
-
1アイドルグループメンバー、彼氏とのツーショット“誤爆”を謝罪 運営は「彼氏と一定の距離」など処分
ねとらぼ / 2024年7月28日 11時0分
-
2本当に存在したか疑った! RPGの伝説級“激レア”アイテム
マグミクス / 2024年7月28日 21時25分
-
3「こんなになるなんて……」 猛暑でフライパンに生卵を放置→“とんでもない”結末に 「やばい」ネット騒然
ねとらぼ / 2024年7月28日 12時0分
-
4フリーズ、通知音etc. 困った時に役立つ5つの操作|今さら聞けないMacの便利テク
&GP / 2024年7月28日 19時0分
-
5「クッソワロタ」 今の“Twitter”を実写化した風刺コントに共感殺到 「よくできてる」「解像度高すぎる」
ねとらぼ / 2024年7月27日 12時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください