美女がたった1人で50人以上のヤクザをギッタギタ! 映画『悪女/AKUJO』監督に聞く「アクションへのこだわり」
ガジェット通信 / 2018年2月10日 12時0分
韓国発の最先端スタイリッシュ・ヒロインアクション映画『悪女/AKUJO』が、2月10日(土)より全国公開となります。
監督を務めたのは、日本でも昨年リメイクされた『殺人の告白』を生み出したチョン・ビョンギル。最愛の人を殺された1人の女性が、敵の組織に単身乗り込み、たったひとりで50人以上ものヤクザたちと死闘を繰り広げ、次々と血祭りにあげていく……。というストーリーを見事なアクションと共に完成させています。
今回は、チョン・ビョンギル監督に作品について、アクション演出について、色々とお話を伺ってきました。
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http://getnews.jp/archives/2010980
『悪女/AKUJO』驚愕のFPSノンストップアクション!(本編冒頭映像)
https://www.youtube.com/watch?v=-79B7wESAic
――女性ヒロインのアクション映画を撮るにあたって工夫したことを教えてください。
監督:女性がアクションをしていてもそれが嘘っぽく見えないように見せるためにカメラアングルに工夫を凝らしました。具体的には俳優が動くのよりも速くカメラを回していくということです。それをうまいアングルで収めれば、仮に俳優の動きがぎこちなかったとしてもそれはちゃんとしたアクションとして見せることができる訳です。
――オフィシャルインタビューで「韓国には女性主役のアクション映画がほとんどない」とおっしゃっていますが、監督の好きな女性アクション映画(ハリウッド、その他で)はありますか?
監督:まずはやはり『ニキータ』がすごく好きで、子供の時に観ていい意味でショックを受けました。『ニキータ』に対するオマージュからこの映画はスタートしています。その時にリュック・ベッソンという監督を初めて知って、映画監督というのはこういうことをする人なんだな…と思ったのを覚えています。
僕の理解では『ワンダーウーマン』や『アトミック・ブロンド』よりも『悪女/AKUJO』の方が先に作られているはずです。『バイオハザード』は観たことはありますが、特に印象に残ったものはなかったです。ただ、『ジャンヌ・ダルク』はリュック・ベッソンが作っているので観ていて、ポスターがすごく印象に残っています。
――チョン監督はソウル・アクション・スクールご出身とのことですが、アクション映画を撮るにあたって一番大切に思っていること。アクション映画でやりがちな失敗など具体例があれば教えていただきたいです。
監督:アクションを撮るにあたって一番大事に思っているのは新しいアングルとカメラのスピード。その次に、俳優やスタントマンたちの組み手、どう動くかという導線といったビジュアル的な面ではないかと思っています。実際にアクションを撮りながら失敗したという例は余り浮かびません。というのも、実際に撮影に入る前に準備を入念にしますし、練習の段階でどんどん補っていくからです。ただ、いざ撮ってみると思っていたほど画面に力がないなと思ったり、きっとカッコよくなるだろうと思っていたシーンが思いのほかカッコよく見えないなといった部分はありました。
――『ジョン・ウィック』のチャド・スタエルスキーや『ハードコア』のイリヤ・ナイシュラーのようにアクション畑だった人物がアクション映画を作り大成功する例が最近見受けられますが、そういう経歴の人がアクション映画を撮ることへのメリットがあるとするならば、どういう面があるとお考えですか?
監督:スタントマン出身の人がアクション映画を撮って成功する確率は、そうでない人がアクション映画を撮って成功する確率よりも上がると思います。ただ、それは個人の資質の差によるもので、スタントマン出身の人が監督をやれば誰もが成功するということではないと思います。スタントの部分と演出というのは似ている点もありますが、違う部分も沢山あるからです。実際にアクションとかスタント出身の方が映画を撮って成功した例というのははっきり表に出てきますが、そうやって映画を撮ったものの失敗したケースというのは目に見えてこないものです。韓国でももともとスタントとかアクション監督をしていた人が映画監督としてデビューしようとしたけれど、実際にデビューすることはできなかったという例は僕もいくつも聞いたことがあります。
――ドレスにマシンガンという非常にカッコいいヴィジュアルが印象的でした。結婚や結婚式をフックにした理由は何ですか?
監督:この結婚式は、スクヒが初めて恋愛をして結婚するというゴールまでたどり着いた一番幸せな時であったと言えると思います。かつてジュンサンと恋をして結婚もしていますが、本当の父親が亡くなり、もうひとりの父親のような存在であるジュンサンに育てられ、一緒に過ごすうちに父親や親戚のおじさんや兄のように少しずつ情が芽生えていって結婚に至った訳ですが、一般的な恋愛の感情とは違っていたと思います。ただ、ヒョンスを相手にスクヒが大人になって初めて普通の人のように恋愛をして心を躍らせて結婚に至ったということで、初めて女性としての幸せを感じる…それもかつて延辺(中国朝鮮族の自治州)で着たワンピースではなくウェディングドレスを着てホテルで結婚式を挙げるという女性として一番幸せな瞬間であったであろうその時に、殺人の指令を受けたというすごく衝撃的なシーンになるのではないかと考えました。
――スクヒのたたずまいや立ち振る舞いが非常に美しかったのですが、彼女をカッコよく美しく撮るためにした工夫を教えてください。
監督:女性アクションを撮る上で重要なのは、リアルに見えてかつ力強く、時には繊細に見せることも必要だと思います。もちろん俳優にある程度トレーニングをしてもらうんですが、それにも限界があります。だからといって全てをスタントウーマンにやってもらう訳にもいきません。だからこそ補うためにもカメラアングルやスピードというものが重要になってきます。短所になりがちなところを長所に変えていくことが必要になりました。アクションというのは俳優が演じる動作自体も重要ですが、それをいかに上手いアクションに見せるかというのが一番重要だと思ったので、そこに留意しながら撮っていきました。
――韓国映画のサスペンス描写やアクションは世界一では無いかと個人的に思っています。最新の韓国映画シーンのトレンドや傾向があれば教えてください。監督が今韓国映画界に思うことなども。
監督:韓国映画のことを高く評価していただきありがとうございます。自分の中ではとりたててトレンドや傾向といったものは特に感じるものはありませんね。韓国映画に対して思うことは、ある時期から韓国では、韓国国内の人が韓国映画を沢山観る傾向が出てきているように思います。国内の映画を観る比率が高まっていくのが、韓国映画自体を底上げしてくれるきっかけになっているとは思います。それはどの国も同じではないかと思います。何か好きなものがあってそれを好む人が沢山いればいいものがどんどん出てくるんじゃないでしょうか。例えばサッカーが好きな人が沢山いるスペインをはじめとするヨーロッパの国々でサッカーの実力がどんどん上がるのと同じように、映画でも国内のものを好む人がたくさんいれば国内の映画もどんどん発展していくんじゃないかと思います。日本でも例えば多くの人が漫画を好きで、世界で一番質のいい漫画が出てくるのと同じではないでしょうか。自国民が自国の文化をどんどん受容して取り入れることがその分野の発展につながっていると思うので、私としては韓国映画の底上げをしてくれている韓国の観客に常々感謝をしています。
――今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!
【ストーリー】
史上最強の女殺し屋。最後の暗殺ターゲットは、最愛だった人―。
犯罪組織の殺し屋として育てられたスクヒ(キム・オクビン)は、育ての親ジュンサン(シン・ハギュン)にいつしか恋心を抱き、結婚する。甘い新婚生活に胸躍らせていた矢先、ジュンサンは敵対組織に無残に殺害されてしまい、逆上したスクヒは復讐を実行。しかしその後、国家組織に拘束されてしまい、政府直属の暗殺者として第2の人生を歩み始める。やがて新たに運命の男性に出会い幸せを誓うが、結婚式の日に新たなミッションが降りかかり――。
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