【妖怪アトラクション】映画『ROKUROKU』脚本家・梅田寿美子に聞く”オバケホテル”の舞台裏
ガジェット通信 / 2018年2月18日 5時5分
現在公開中の異色ホラー映画『ROKUROKU』が、密かな話題を呼んでいる。
本作は、『牙狼<GARO>』『ゼイラム』シリーズの雨宮慶太が原作・総監督を務め、『魁!!クロマティ高校』『珍遊記』など独特の作風で知られる山口雄大がメガホンを執る、鬼才によるコラボレーション映画。
ろくろっ首、ぬり壁、カラ傘、猫目など、大胆にビジュアル化された妖怪と人間の戦いを描いた怪作の、原作小説と脚本を担当した梅田寿美子に映画『ROKUROKU』の裏側を聞いた。
<オバケ団地>とデザイン画から始まった原作小説
遡ること7年前。梅田は、ある電子文芸誌の編集部に呼ばれた。「雨宮監督が温めている映画の企画を、まずは連載小説にしたい」それが、梅田と『ROKUROKU』の出会いだった。
「真っ赤な表紙の企画書をめくると、赤い着物姿の首の長い女と目が合いました。ロクロクとの初対面です。ページをめくるたび、ぬり壁、カラ傘、一つ目など、雨宮監督に描かれた妖怪たちが次々と現れて。馴染み深い妖怪でありながら、実に斬新で鮮やかでした」
企画書に書かれた<妖怪たちが棲みつくオバケ団地に迷い込んだ少女たちが怪異に遭う>という言葉と、雨宮監督のデザイン画を手掛かりに、梅田は<オバケ団地物語>のアイディアを膨らましていった。
「例えば、ぬり壁は<巨大な女の顔が通路にみっちり詰まっている>デザインなのですが、そこから「どうして彼女の顔は巨大になったのか?」と、妖怪のバックボーンを作り、「オバケ団地の中で主人公たちとどう関わるか?」を考えていきました。通常は原作の物語が先にあり、そこからキャラクターをデザインするのですが、『ROKUROKU』の場合はそれが真逆だったんです」
全7回の連載では、1回ごとに雨宮監督のチェックが入り、展開や結末について相談しながら、長いスパンで物語を作り上げていけた、と梅田は振り返る。
団地からホテルへ、妖怪アトラクション映画への道のり
そんな、ビジュアルから作られていった物語だが、映画化への道のりは長かった。
「小説では、登場人物の心の闇やドロドロした部分を描くことに重点を置いていたのですが、映画版はもっと、オバケ屋敷感覚でキャーキャー言える、アトラクション的なものにしたいというオーダーがありました。そこで、全ての妖怪にエピソードを作り、そこに主人公たちの物語を絡ませていくオムニバス形式に決まりました」
『ROKUROKU』が映画化に動き出したその頃、団地を舞台にしたホラー映画が公開された。本格恐怖ホラーとはベクトルの違う作品ではあったが、舞台設定が変更されるきっかけになったと言う。
「<オバケ団地>改め<オバケホテル>に変わりました。妖怪と遭遇する場所は一見バラバラですが、実は全てロクロクが支配するホテルと繋がっているんです。なので、各エピソードの最初にルームナンバーのような数字が出てきたり、すべてのエピソードが1つのホテルの中で起こっていることを意識しました」
登場する妖怪を小説よりも増やすため、脚本担当に熊谷祐紀も参加。梅田と共にアイディアを出していく中で、9つのエピソードが決まっていった。
「妖怪エピソードと、本筋の物語をどう繋げていくかが課題でした。最初に書いた脚本では主人公はイズミ(中西美帆)1人でしたが、最後にイズミが誰かを守るためにロクロクに立ち向かう展開にするため、ミカ(志保)とダブル主人公になりました。ロクロクとの決戦に向けて、他の妖怪エピソードが複線として、じわじわと二人に近付いていくようにしたんです」
小さい子にこそ見て欲しい、美しくファニーな妖怪映画
『ROKUROKU』で描かれるのは、<怨霊>ではなく、あくまで<妖怪>。怖いけど、どこか憎めない<妖怪>に梅田のこだわりがある。
「『ROKUROKU』の妖怪は、ただ怖いだけでなく、美しさとユーモアが混在しています。ホラーともファンタジーともちょっと違う、何とも不思議な映画です。個人的には小さい子に見て欲しいですね。幼い頃に「あれは一体なんだったんだろう?」という、謎の世界に触れる体験はとても大事だと思うので。ぜひ、オバケ屋敷感覚で『ROKUROKU』の世界を体験しに来ていただければと思います」
『ROKUROKU』は2月23日(金)まで、新宿K’s cinema とイオンシネマ名古屋茶屋で上映中。今後、全国で順次公開が予定されている。
◆ 映画『ROKUROKU』HP http://rokuroku.rgr.jp/[リンク]
◆ 『ROKUROKU』予告編 https://www.youtube.com/watch?v=xnFiuLcnVHo [リンク]
◆ 小説『ROKUROKU 』HP http://www.hifumi.co.jp/9784891991586.html [リンク]
※ 画像提供:雨宮慶太/ロクロク製作委員会
―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 荏谷美幸) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』この記事に関連するニュース
-
『天空の城ラピュタ』のムスカの演技とは正反対! 俳優・寺田農の魅力が分かる映画5作品
オールアバウト / 2024年8月30日 19時40分
-
吉田修一原作『愛に乱暴』で桃子役を熱演。江口のりこ「みんなで話し合い作った作品。とにかく観てほしい」
CREA WEB / 2024年8月29日 7時0分
-
雨宮天、伊藤美来ら熱演! 劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」聖地巡礼がしたくなる!? 愛媛・松山の街並みを徹底再現
アニメ!アニメ! / 2024年8月27日 12時0分
-
大ヒットホラー「カラダ探し」続編製作&25年公開決定!
映画.com / 2024年8月27日 7時0分
-
『ミスミソウ』原作者 x『貞子vs伽椰子』監督 最凶タッグ作『サユリ』はJホラーの超進化系?
マグミクス / 2024年8月24日 12時10分
ランキング
-
1“任天堂法務部”は怒らせると怖い──実際はどんな仕事をしているの? 「パルワールド」訴訟受け、Xで話題に
ITmedia NEWS / 2024年9月20日 17時29分
-
2『龍が如く8外伝』では「シリーズ初のジャンプ」ができる!空中アクションも加わり、真島吾朗のアクロバティックな戦闘が大きく進化【発表会まとめ】
インサイド / 2024年9月20日 22時5分
-
3女性が無修正で胸さらす“搾乳動画”YouTubeに氾濫 アダルト系ファンサイトに誘導も 削除されないワケは
ITmedia NEWS / 2024年9月20日 12時51分
-
4犬には隠語が必要?「さんぽ」と聞くだけで喜んでしまう愛犬に「紐つけるやつ」
おたくま経済新聞 / 2024年9月21日 7時0分
-
5今PCを買うなら「AI PC」にしようと決めた理由 【実用レビュー 最終回】やっぱり最新モデルだとベンチマークテストで実感
ITmedia PC USER / 2024年9月20日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください