アメリカと北朝鮮の「決めた約束」と「決めなかった約束」。(ひろゆき)
ガジェット通信 / 2018年6月12日 20時50分
こんにちは。予想外のことをする人を観察するのが好きなひろゆきです。
さてさて、2国間の条約は、概要が伝えられるだけで、詳細な文言そのものが世界中に公開されることは結構珍しかったりします。
ところが、我らがアメリカのトランプ大統領は、北朝鮮とアメリカの合意文書をテレビカメラに見せちゃうという荒業をやってのけたせいで、具体的な2国間の約束の文言が世界中に流れるという面白いことになっちゃってます。
原文はこちら。
https://www.cnbc.com/2018/06/12/full-text-of-the-trump-kim-summit-agreement.html
4つの約束があるのですが、訳とコメントを載せてみました。
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The United States and the DPRK commit to establish new U.S.-DPRK relations in accordance with the desire of the peoples of the two countries for peace and prosperity.
アメリカと北朝鮮は、2国の平和と繁栄のために協調して新しい米朝関係を構築することを約束する。
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まぁ、これは条約でよくある文言で特に意味はないです。
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The United States and the DPRK will join their efforts to build a lasting and stable peace regime on the Korean Peninsula.
アメリカと北朝鮮は、継続して安定した平和な体制を朝鮮半島に作り上げる努力をする。
Reaffirming the April 27, 2018 Panmunjom Declaration, the DPRK commits to work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.
2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて邁進することを約束する。
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ここのポイントは、「朝鮮半島の完全な非核化に向けて邁進する」のは”北朝鮮だけ”ということです。日本語は主語がないことが当たり前の言語なので、見落としやすいのですが、最初の文の主語は「アメリカと北朝鮮は」なのですが、2番目の文の主語は「北朝鮮」だけが主語です。
なので、アメリカは、朝鮮半島の非核化に対してなんの義務も負わないということになっています。
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The United States and the DPRK commit to recovering POW/MIA remains, including the immediate repatriation of those already identified.
アメリカと北朝鮮は、戦争捕虜と作戦時に行方不明になった人達の遺骨の回収に努める。既に明らかになっている捕虜や遺物の即時の送還も含む。
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POWは、Prisoners Of Warの略で、戦争捕虜です。
MIAは、Missing In Actionの略で、行動・作戦中に行方不明になった人のことですね。
ここで世界的にポイントなのは、どの国のPOW/MIAかは限定してないので、韓国の兵隊や捕虜も含む可能性があるということです。
んで、日本的にポイントなのは、日本の民間の拉致被害者は含まないということです。
日本政府が認定した拉致被害者は17人いますが、どの人も軍事行動や作戦中に拉致されたわけではないので、今回のアメリカ・北朝鮮合意の中では、返還の予定にはまったく含まれていないということです。
というわけで、日本政府の要望がまったく通ってないことが、アメリカ大統領がテレビカメラの前で文書を晒しちゃったせいで、世界中に認識されちゃった状況です。
https://www.cnbc.com/2018/06/12/full-text-of-the-trump-kim-summit-agreement.html
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