将棋界史上初! アマチュアからプロ編入を果たした瀬川五段に色々聞いてみた 映画のこと・対局の魅力・ひふみんの逸話
ガジェット通信 / 2018年9月12日 20時0分
史上初の永世七冠を達成し、国民栄誉賞も受賞した「羽生善治竜王」や、最年少で七段に昇段した「藤井聡太七段」の活躍など、近年大きな盛り上がりを見せている将棋界。漫画や小説、映画化した作品を観て感動した方も多いのでは無いでしょうか。
そんな中、またひとり将棋界のレジェンドが起こした奇跡の実話が映画化。将棋界史上初・アマチュアからプロ編入を果たした、瀬川晶司五段。彼の同名自伝的作品を原作に作られた映画『泣き虫しょったんの奇跡』が現在大ヒット上映中です。
今回は、映画について瀬川晶司五段にインタビューを敢行。聖地・将棋会館にてお話を伺いました! 将棋会館周辺の瀬川五段お気に入りのスポットもご紹介しちゃいます。
【関連記事】史上初! アマからプロになった将棋界のレジェンド瀬川晶司とは? 自伝的作品が映画化『泣き虫しょったんの奇跡』
https://getnews.jp/archives/2059803
――本作大変楽しく拝見させていただきました。自分の半生が映画化されるというのは、率直にいってどんなお気持ちですか?
瀬川:最初に映画化のお話をいただいた時に、実現するかどうかは話半分で聞いておこうと思っていたんです。あんまり期待してしまうと、ボツになった時に悲しいですから(笑)。でもどんどん具体的に動いてきて、本当にやるんだと決まった時にはとても嬉しかったです。
――その段階ではご家族やご友人にも言えないし、結構もどかしいですよね。
瀬川:そうですね。だから、映画化決定の情報解禁後には、たくさんのメッセージをいただきました。本当にありがたいです。
――出来上がった映画をご覧になった感想を教えてください。
瀬川:本作で私は原作者としてだけではなく、将棋の所作指導もさせていただいているのですが、初号試写の時は自分の作った盤面や手つきが気になって、作り手側の気持ちになっていました。「映画が完成したんだ」という感慨深さの方が大きくて、客観視出来ませんでしたが、2回目以降は良い映画だなとしみじみ。本作の豊田利晃監督は、少年時代を奨励会で過ごし、プロ棋士の道を志した経験がある方なので、退会の辛さなどの描写がすごくリアルなんですよね。僕の気持ちや辛さを上手に表現してくださって素晴らしかったです。
――主演の松田龍平さんの名演もさすがでしたね。
瀬川:僕を松田さんが演じるとなって、外見が違いすぎるので恐縮なのですが(笑)、よく動きを研究してくださって。映画を観た棋士に感想を聞くと「瀬川さんとそっくりだった」と言ってくれるんです。僕の内面や雰囲気を再現してくれて、松田さんが演じてくださって本当に良かったなと思います。
――今日瀬川さんご本人にお会いして、現在48歳でいらっしゃいますが、とてもお若いなと思ったんです。やっぱり将棋で脳を働かせている方は若くいられるのでしょうか。
瀬川:いやあ、僕は全然若く無いと思うのですが、実年齢よりお若く見える棋士の方は多いかもしれませんね。これは、僕が将棋を好きな所の一つなのですが、将棋はとことん自分一人での戦いなので、人間関係のストレスが無いんです。例え、苦手なタイプな棋士と対局したとしても一局終わればそれで終わり。サラリーマンの皆さんの様に人間関係が続いていく、という事が無いんですよね。
――なるほど! 自分一人での戦いは大変なプレッシャーかと思いますが、その分良いこともあると。
瀬川:加藤一二三さんも今テレビで大活躍されていますが、発言とかが変わっていて面白いですよね。自由で人間関係に疲弊していない方が棋士には多いのかもしれません。
――ちなみに、瀬川さんが対局されて驚いた加藤一二三さんのエピソードってありますか?
瀬川:そうですね、以前、加藤一二三さんがカマンベールチーズにハマっている時があって、対局中に食べるオヤツに持参されている事があったんです。どう食べるのかな?と思ったら、銀紙をむいて丸ごとムシャムシャと(笑)。あれにはびっくりしました。
――さすが、ひふみん!という感じですね(笑)。最後に、この作品をどんな方にオススメしたいですか?
瀬川:もちろん全ての人に楽しんでもらえると思いますが、特に小学生や中学生など、若い方に観てほしいですね。僕は、自信がない子供のころに将棋に出会って、嬉しいことも悲しいこともたくさんあったけれど、将棋のおかげで成長することが出来ました。夢とか目標といった大げさなことではなくて、まず好きなことや熱中するものを見つけることが、人生を豊かにしてくれるんだということを知っていただきたいです。それで将棋にも興味を持ってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
――私はお恥ずかしながら将棋の世界は詳しく無いのですが……、本作は将棋をやったことが無い人でも楽しめる人間ドラマに仕上がっていますよね。
瀬川:今回、将棋の演出等にも参加して、少しカメオ出演もさせていただいて、「映画ってこんなに多くの人が関わって出来ているんだ」と驚きました。僕ももっと映画を観なきゃ! と思って、これまでは年に数本しか観ていなかったのですが、今は積極的に映画館に行っています(笑)。
――ぜひこのインタビューをご覧になった方にも、映画館で作品を楽しんでいただきたいと思います。今日はありがとうございました!
▲将棋会館近くの「モンマスティー」のミルクティーで休憩。「普段はコーヒー派なのですが、ここのミルクティーは絶品です」と瀬川さん。
▲筆者もいただきましたか、濃いめの茶葉と甘さのバランスが最高! 脳が生き生きする美味しさ。
▲こちらも将棋会館近くの「鳩森八幡神社」
▲特製のお守りなど、将棋に関係するものもたくさん!
『泣き虫しょったんの奇跡』大ヒット上映中!
(C)2018「泣き虫しょったんの奇跡」製作委員会 (C)瀬川晶司/講談社
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