SKE48ドキュメンタリー映画『アイドル』須田亜香里&大場美奈インタビュー「荒療治の夏だった」
ガジェット通信 / 2018年11月16日 20時0分
人気アイドルグループ「SKE48」の史上最も過酷な“夏”の裏側に密着したドキュメンタリー映画『アイドル』が10月19日より公開となる。
18年6月、地元のナゴヤドームで開催された「AKB48世界選抜総選挙」で、SKE48創設時からエースとしてグループを引っ張ってきた松井珠理奈が悲願の1位を獲得。2位にランクインした須田亜香里とワンツーフィニッシュを決めたが、直後に松井が体調不良で休養。絶対的エース不在の中、シングル曲のセンター代役を務めることになった須田のプレッシャーをはじめ、それぞれに奮闘するメンバーたちがアイドルとして懸命に生きるリアルなひと夏をカメラに収めている。
今回は、本作について、ドキュメンタリーに収められた本人である須田亜香里と大場美奈に話を聞いた。
●映画『アイドル』、壮絶な今年の夏を切り取っていましたが、自分たちの姿をどう受け止めましたか?
須田:かなり重い気分になっちゃいました。映画が始まる前と映画が終わった後の落差が一番激しかった人はみなるんです(笑)。
大場:もしかしたら、すごいSKE48のキラキラした夏が、という謎の期待感と高揚感があったのですが、すごすぎて。始まってひとりでわーっ! てなって、終わった後は放心状態になりました(笑)。
須田:すごく精神削られた状態になったよね。本人だからということもありますが。
大場:公開日の囲み で言葉を求められることもわかっていたのですが、みんな第一声で「なんて言う?」みたいな状態になり、どこを切り取って話せばいいのだろうという、それくらいすごかったですね。
●撮影しているカメラは常にいたわけで、自覚はあったわけですよね?
須田:そうですね。いま撮られているということはわかってはいました。でも、わたしたちは目の前のことにただただ必死で過ごしていたので、カメラは意識していなかったですね。だから、はたから見たらこう見えているんだって。わたしたちアイドルって、こんなに過酷なんだって。そういう現実を、映画を観て客観視できましたね。
大場:私もそう思いました。自分が実体験しているんですけど、実体験していた景色と改めて映画で観る景色って違うなって。なんていうか、当事者として実感していた日々は、映画『アイドル』の中で観るほど重く感じていなかったんです。なので、また違う感覚で観れました。
須田:わたしはアイドルははかないなと、観ていて思いました。本当にいましかできないことで、だからこれほど全力にもなれるし、そういうことをひしひしと静かに感じましたね。いくつものダメージを受けながらも、ああわたし、本当に時間を無駄にできないなって。
●やはり松井珠理奈さんの一連の出来事は、強烈なものがありましたね。
須田:松井珠理奈さんがAKB48世界選抜総選挙の当日までの間、ちょっとずつ気持ちに無理が生じていく過程を、わたしたちは目の当たりにしていて。そばで見ていたけれど、どうにもできなくて。
大場:いざ復帰するとなって珠理奈さんの姿が見えた時、みんなの中にほっとした感がすごくあって、こんなにも気持ちが一緒になることってあるのだなと、ファンのみんなとメンバーで同じ景色を見ているような。それは映画を観ていて、感じましたね。
須田:わたしたちは、その日を迎えるまでの過程を全部知っているから、観ながら震えと涙が止まらなかったです。ああ、珠理奈さんが倒れちゃうってわかっていて観ていたので、すごくしんどかったです。
●内側から切られている感じがありましたよね。部外者でもそれはよくわかりました。
須田:珠理奈さんは、ただただ一生懸命に頑張っただけで、それが皆さんに上手く伝わってないもどかしさは、ずっと持っていましたね。そこが今回、正しく伝わればいいなとも思いました。
●ちなみに須田さんは、苦しい局面の時は、どうしますか? バラエティー番組ではNGナシ的に鼻フックとかやってましたよね?
須田:鼻フックはまだやっていないんですよ。あれは鼻洗浄ですね!
●失礼しました。要はタフな元気玉なイメージがあるので、どうしているのかなと。
須田:わたしはバラエティーのノリは本当に大好きなんですが、もともと自分が人を楽しませる要素を持っているなんて思ってなかった人間なので、自分が何かをするたびに誰かが笑ってくれたり、自分から発したもので面白がって笑ってもらえることが、信じられないくらいうれしいんです。観てくれる人が楽しんでくれればいいじゃんて思うし、自分でも楽しいし、そこにはこだわりはないですね。
●さて、映画『アイドル』にまとめてあるように、さまざまな辛い試練があったけれども、そのおかげで皮肉にもチームの結束が強まったみたいなところはありますか?
須田:そうですね。お互いにとっての荒療治となった夏でしたね。珠理奈さんも後輩に甘えることが苦手で、もちろんわたしたちも頼ってもらえるような存在ではなかったかもしれないんですけど、まだまだ先輩と後輩以上の関係値になれていなかったところがあって。わたしたちも任せてくださいとずっと言ってきたんですけど、任せられるほどの信頼も持っていなかったと思うし、珠理奈さんもどうやって頼っていいかわからないというもどかしさを抱えていたと思います。頼っているつもりなんだけれど、頼り切れてないという。
大場:それこそ須田亜香里を筆頭に、経歴が9年目のベテラン勢が珠理奈さんがいなくなったことで、やらなくてはいけないことに一気に気づいた夏でした。いままで気づいていなかっただけで、珠理奈さんが任されていたことが一気に降りかかってきて、やらなくちゃと一生懸命になっていた夏だったので、さらにもう1個下の世代が、わたしたちもやらなくちゃという意識になったんですよ。
須田:結局、自分が背負いすぎてしまったり、お互いに足りないものを、この夏、がむしゃらにとりにいった夏だったのかなと思います。お互いに足りないものに気付けて、おかげでわかりあえたことも増えて、いますごく、晴れ晴れとした気持ちで活動できています。
大場:それが今年のSKE48にとっては一番の大きな収穫。よくも悪くも珠理奈さんのお休みがなければ、SKE48 10周年の年の夏に起きなかった出来事だったと思います。ベテラン勢もサポートしようとする後輩たちが自発的に増えたことが、不思議な感じでしたね。そして、10周年を今のSKE48で迎えられたことが、すごくよかったなと感じています。
(撮影&文章:ときたたかし)
映画『アイドル』
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