『ねことじいちゃん』岩合光昭監督に聞く「映画の見所」「『ボヘミアン・ラプソディ』も猫ばかり気になって……」
ガジェット通信 / 2019年2月21日 15時0分
日本を代表する動物写真家であり、世界中の猫好きの憧れの的である”猫神”こと、岩合光昭さんが映画監督に初挑戦した映画『ねことじいちゃん』が2月22日より公開となります。
猫と老人ばかりの小さな島で暮らす、立川志の輔が演じる主人公・大吉と、その飼い猫のタマの豊かで愛おしい日常を描く本作。タマを演じた俳優猫・ベーコンの名演ぶりも話題になっています。
今回は岩合光昭監督とベーコンさんの2ショットインタビューが実現! 作品作りについて、ベーコンへの想いについて、色々とお話を伺ってきました。
岩合監督になでられてリラックスするベーコンさん。
――本作、大変楽しく、癒されながら拝見させていただきました。監督業に挑戦してみて率直にいかがでしたか?
岩合:実際にやってみて、映画監督というのはこんなにたくさんやることがあるのか、と驚きました。セットでも衣装でももちろん演出でも、色々な部の方が(※)「監督、ここはどうしますか?」と僕に聞きに来るので、監督というのは大変な仕事だなあと。体験させていただいた後、映画の見方がガラリと変わった気がします(笑)。
※映画を作る際、衣装なら衣装部、セットや小道具なら美術部など担当が部に分かれている。
――なるほど。でも「さすが岩合さん!」とファンがうなってしまうほどの猫の愛らしさは映画としても素晴らしかったです。
岩合:ありがとうございます。猫たちは自然のままの姿で、自然に動いてくれたのを撮っています。大吉を演じてくれた立川志の輔さんが「台本に”猫がこちらを見る”とかって書いてあるけど、そんな演技なんてするの?」と疑問を話してきたこともありましたが、「するんです」と。実際に猫たちはとても良い演技をしてくれました。
――中でも、タマを演じたベーコンには岩合監督もメロメロだったとか。
岩合:ベーコン君は、いままで出合った猫の中でも特別で、彼がいなかったらこの映画は完成しないと思います。こちらが望んでいる以上のことをしてくれるんです。志の輔さんとも息が合っていましたし、あまりにも素晴らしくて可愛いので、映画の撮影が終わった後、僕の家に来て欲しいとお願いしたのですが、事務所の方に「ダメです。これからもっと活躍してもらわないといけませんから」と断られました(笑)。
――なんと!お迎え出来なかったわけですね(笑)。
岩合:でも、実はタマの子供時代を演じている子猫は今我が家にいて、すごくいい子で可愛いんです。
――田中裕子さんに抱かれていたあの子猫ちゃんが!
岩合:そうです。田中裕子さんは志の輔さんの亡くなった奥さん役を演じてくださいましたが、本当に息をのむほどの素晴らしい演技をみせてくれました。タマを大切にする優しい奥さんで、笑顔がとっても柔らかいのですが、でも病気だから瞳の中の光は少ない。そんな、どうやって表現するのだろう?という役柄を見事にやりきってくださって感謝しています。
――俳優さんの演技を間近で観て感心することも多かったということですね。
岩合:とても勉強になりました。柴咲コウさんにも「監督、今猫しか見て無かったでしょ」と注意されたりして(笑)、「あっ、確かに今人間のこと見てなかった!」って気付かされたり。柴咲さんも元々猫がお好きだったそうですが、実際に撮影中にも子猫が手水鉢から落ちてしまいそうになった時、咄嗟に手を差し伸べたりして、本当に猫が好きな方なんだなあと感じていました。
――「猫しか見て無かったでしょ」はすごい一言ですね(笑)、岩合さんらしい、といいましょうか。
岩合:本当にね、つい猫を見ちゃうんですよ。去年も映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た時に、素晴らしい作品だったのですが、何よりも猫が出てくるシーンに目を奪われてしまって。最後のライブシーンはもちろん感動的だったけれど「もう猫は出てこないのかなあ」って寂しくなったりして。そわそわして集中出来なかったんですよ。「あの猫はどうしたかなあ」って(笑)。フレディ・マーキュリーが生まれたザンジバル島にも撮影に行ったことがあるのですが、猫がたくさんいて。ああいう環境で育ったから彼も猫が好きだったのかな、とそんな事を考えていました。
――あの大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』も岩合さんらしい鑑賞の仕方があったというわけですね! 本作『ねことじいちゃん』も「猫かわいい!」だけでは無い感動があると思います。
岩合:ありがとうございます。映画をはやく観ていただいた方にも、のんびりと癒されるのに泣けると言っていただくこともありました。猫とじいちゃんのふたりの暮らし、島の自然、島の人々がゆっくり、のんびり過ごしていて。こんな風に日本のどこかの島で、猫と老人が暮らしていけたら素晴らしいなと前から思っていたので、思い描いていた通りの画が撮れて満足しています。映画は1時間40分ほどで終わりますが、「この後も猫とじいちゃんの暮らしは続いていくんだ」と観客の皆さんに感じて欲しいので、エンドロール前やエンドロール後の演出にもこだわっています。ぜひ注目して欲しいです。
――またいつか岩合監督の作品も拝見したいです。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
(撮影:周二郎)
『ねことじいちゃん』2019年2月22日公開
監督:岩合光昭 出演:立川志の輔、柴咲コウ
製作:「ねことじいちゃん」製作委員会
(C)2018「ねことじいちゃん」製作委員会
―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』この記事に関連するニュース
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