没入感最大増幅! “音だけで推理する=音が命”の映画『THE GUILTY/ギルティ』体感鑑賞で未来を感じた
ガジェット通信 / 2019年2月23日 7時0分
デンマーク発の新感覚サスペンス『THE GUILTY/ギルティ』が2019年2月22日(金)より全国公開され、大ヒットとなっています。
『THE GUILTY/ギルティ』はサンダンス映画祭を始め、世界中の映画祭で観客賞を総なめ。第91回アカデミー賞外国語映画賞 デンマーク代表にも選出され、ジェイク・ギレンホールによるハリウッドリメイクも決定しています。
さて、この映画の“新感覚サスペンス”たるゆえんは「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」というところ。できれば先入観なしで見てほしいので詳しくは言いませんが、作中、主人公はめっちゃ電話します。
音だけのやり取りの中で、わからないもどかしさ、見えなかったものが見えてくる描写が実に秀逸な作品です。
それだけに、本作品で“音”が司る役割がいかに重要であるか、というのは未見の方でも想像いただけるかと思います。そんな本作だからこそ、今回試験的に行われた“ある鑑賞方法”が素晴らしい臨場感をもたらしてくれました。この記事では映画の魅力と併せて体験鑑賞の内容をお伝えしたいと思います。
オープンイヤーヘッドセットを装着しながら鑑賞
前述の通り、この作品では電話から流れてくる音が非常に重要です。今回の体感上映では、その電話の音だけがヘッドセットから流れてくる仕組みとなっています。
しかし普通に考えるといくつか問題があります。まず、一般的なヘッドフォンをすると外部の音、つまりスクリーンからの音声は少なからず聞こえづらくなります。耳元の音が聞こえたとしても、肝心のメインスピーカーの音を妨げては本末転倒というもの。
そこで今回採用されたのはソニーのオープンイヤーヘッドセット『STH40D』、そしてFMラジオの受信機です。
この小型軽量のヘッドセットは、ソニー独自の音導管設計が採用されており、周囲の音と再生している音がブレンドされる設計となっています。
加えてこのヘッドセットは「耳の下側からかける」という珍しいスタイル。様々な耳の形状にフィットし、耳への負担が少ない上にメガネなどとの干渉も少なくなっています。
FMラジオを通してヘッドセットには作中の“電話音声”だけが届き、スクリーンからはそれ以外のセリフや音が流れてくるというのですが、果たしてどんな感じになるのでしょうか……。
驚くほどの没入感とはこのこと
観終わってまず思ったのは「この映画はこの技術ありきで作られたのではないか」と感じるくらい、作品と技術のマッチング度合いがすごかったこと。引き込まれ方が容赦なかったです。
まず、環境音(ここでは通話以外のメイン音声ですが)は妨げられることなく、実にクリアに耳に入ってきます。ヘッドホンをしていることを忘れさせてくれた一因は、この聞こえを妨げない点にもありました。
また、下からかけるスタイルの軽量のヘッドセットは耳への圧迫感がかなり抑えられているため、鑑賞中も「装着している」という意識はありませんでした。
今回はFMラジオを通しているので、ヘッドセットから入ってくる音質はデジタル音源と異なりほどよく波形がこなれています。ありていに言えばややラジオ的な音です。通話環境というモチーフだからこそ、この音質も作品にマッチしていました。
念のためお断りしておきますが、ヘッドセット自体の音質は非常に良好です。再生周波数帯域は20-20,000Hzをカバーしているので、ソース音源を忠実に再現してくれます。
これらをふまえ、結果、メイン音声がクリアに聞こえる状態で通話音声だけがセパレートされ、耳元に絶妙な音質で届けられるのです。
このスタイルで鑑賞していると、自分が主人公の耳を借りて作中に入り込んだような自然な錯覚を起こします。それによって生じる作品との一体感が、実に心地良いのです。
ちなみにこのオープンイヤーヘッドセット『STH40D』は昨年6月に発売されたばかり。タイミングも絶妙です。この技術と映画は互いを必要として生まれ出たかのような、そんな出会いです。
ソニーの方に聞きましたところ、ヘッドセット用の音声は後からこの特別上映のために分離されたものなのだとか。上映時は「よーいドン!」でメイン音声と同時にFMトランスミッターへ流されているのだそうです。
映画に没頭できる新しいスタイル
本来、人は実際に見て、聞いて、触れることが前提の生き物です。スマホのおかげで離れた場所の音や景色を感じられることが当たり前の環境に慣れた今だからこそ、「音だけ」で謎を追うというこの作品の意図が逆説的に伝わってきます。
今回の上映方法は、限られた伝達手段の持つもどかしさ、何かがわかった時の獲得感を実にスマートに体験させてくれました。タイミング、技術、そして何よりアイデアの勝利。映画の内容と併せて「本当にすごい」とシンプルに感動できました。
このヘッドセットを用いた上映方式での一般公開はまだ決まっていませんが、映画の可能性や未来を感じることのできる体験鑑賞イベントでした。
■THE GUILTY/ギルティ
大ヒット公開中
新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
物語:
真夜中の緊急指令室。誘拐された女性からの通報。解決の手掛かりは電話の声だけ。
音だけの見えない事件、一秒たりとも聞き逃せない―。
緊急通報指令室のオペレーターであるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど、些細な事件に応対する日々が続いていた。
そんなある日、一本の通報を受ける。それは今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。彼に与えられた事件解決の手段は”電話”だけ。車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣い・・・。微かに聞こえる音だけを手がかりに、“見えない”事件を解決することはできるのか―。
出演:ヤコブ・セーダーグレン、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・シャガウィー
脚本・監督:グスタフ・モーラー
製作:リナ・フリント 脚本:エミール・ナイガード・アルベルトセン 撮影監督:ジャスパー・スパニング
編集:カーラ・ルフェ 音楽:オスカー・スクライバーン
配給:ファントム・フィルム
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ
原題:The Guilty|2018年|デンマーク映画|スコープサイズ|上映時間:88分
映画『THE GUILTY ギルティ』公式サイト|2月22日(金)公開
(C)2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
■STH40D | ヘッドホン | ソニー
https://www.sony.jp/headphone/products/STH40D/
■Xperia Ear Duo(エクスペリア イヤー デュオ)XEA20 | スマートプロダクト | ソニーモバイル公式サイト https://www.sonymobile.co.jp/product/smartproducts/xea20/
―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』この記事に関連するニュース
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