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平成30年間、日本で市場規模が横ばい・縮小した「だいたい良いんじゃないですか?」市場をひたすら調べてみた。(note)

ガジェット通信 / 2019年3月22日 15時0分

今回は松本健太郎さんの『note』からご寄稿いただきました。

平成30年間、日本で市場規模が横ばい・縮小した「だいたい良いんじゃないですか?」市場をひたすら調べてみた。(note)

このnoteは、平成元年(1989年)から平成30年(2018年)までの30年間、成長しなかった、または縮小した市場をひたすら取り上げています。ちなみにいつもよりまとめ粒度は雑です。

私の勤めるデコムでは、ニーズが明確な時代が終了し、ニーズが満たされ何を作っていいか分からない時代を「だいたい良いんじゃないですか?時代」と定義しています。

「だいたい良い」=「何でも良い」というわけで、購入の優先度も低く、したがって低成長に甘んじたと言っても過言ではありません。言い換えると皆が買いたくなるようなイノベーションが起きなかった市場とも言えます。

ちなみにデータは全てTableauにて食わせているので、noteを通じてインタラクティブにデータを操作できるようにしたかったのですが、noteはTableau非対応なので実現しませんでした。というかタグ埋め込み非対応なのはよなんとかしてくれ。#noteはいつになったらTableauに対応するんだ。

まとめ

(1)日本国外に工場移転し過ぎ。国内生産量と市場規模の乖離が90年代後半から起きている。経済産業省も国外工場分を国内に輸入した分の統計取った方が良いのでは。

(2)横ばいが続く市場を見ていると、涙が出てきた。

カラオケ市場

データが1995年から始まりますが、1996年をピークにほぼ横ばいです。カラオケ上位曲に「残酷な天使のテーゼ」「ハナミズキ」など長年同じ曲が入っているので、新規顧客が入ってきていないんだろうなー、とは思っていました。皆さんは最近カラオケ行きました?

参考資料

http://www.karaoke.or.jp/05hakusyo/2018/p1.php

外食市場

外食市場はほぼ6.5兆円をピークに高止まりです。2012年から上昇傾向にありますが、それでもようやく20年前の1997年頃に戻ってきているだけです。

人口構造はこの20年で変わってきているので、もう少し売上に変動もあって良さそうなのですが…。

参考資料

http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html

食堂・レストラン市場

食堂・レストラン市場は2017年にようやく10兆円を越えてきました。2011年から一貫して上昇し続けて、この7年間で1.5兆円増です。とは言え、先ほどの外食市場しかり1997年をピークに15年近く「だいたい良いんじゃないですか?」時代が続いていたわけで、いつ元に戻るやら。

参考資料

http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html

フランチャイズ系ファーストフード市場

フランチャイズ系ファーストフード市場は、2001年の2.2兆円を山にこの17年横ばいが続いています。マクドナルドが元気だ!と言っても、その分モスバーガーが悶死しているわけで、市場としては横ばい。

参考資料

http://www.jfa-fc.or.jp/particle/29.html

フランチャイズ系居酒屋・パブ・ビアホールチェーン市場

フランチャイズ系居酒屋・パブ・ビアホールチェーン市場は、この30年間だいたい良いんじゃないですか?時代。3700億円~4500億円を行ったり来たりしているようです。ただしフランチャイズ加盟店じゃない店舗も含めれば市場はもっと大きいはずで、協会加盟店舗の統計に基けば、ですが。

もっとも店舗数は緩やかに増えていっているので、客単価は下降傾向にあるのは間違いないと思いますです。これじゃあ、なかなか「だいたい良いんじゃないですか?」時代は抜け出せなさそうです。

「だいたい良いんじゃないですか?」時代は、競合との違いを出せずに、終わりなき価格競争に陥りがちです。だから客単価が落ちるのかと。

参考資料

http://www.jfa-fc.or.jp/particle/29.html

アイス市場

アイス市場は1989年以降、2008年までの約20年間だいたい良いんじゃないですか?時代だったのですが、2009年ごろから売上が上がり始め、2017年には約1500億円成長を遂げていました。その理由として、アイスミルク系の成長と、高単価化が挙げられています。

参考資料

https://www.icecream.or.jp/biz/data/pdf/2017attachment.pdf

ペットフード市場

データから読むと、ペットフードには犬・猫用合算されているようです。基本的にはペット飼育数×ご飯食べる量になるので、市場が成長し続けるには頻度を上げるか、飼育数が増えるか、高単価化しか無さそうです。

参考資料

https://petfood.or.jp/data/chart2008/ryutu.html

警備業市場

警備産業は平成以降一貫して成長し続けました。しかし、2004年頃に3.5兆円で頭打ちになると、2008年にはリーマンショックで市場が縮小。その後、約10年かけて元の状態に戻りつつあるようです。オリンピック景気で3.5兆円の壁を破るのでしょうか。

参考資料

https://www.alsok.co.jp/ir/about/data.html

百貨店市場

百貨店業界は1992年の12兆円をピークに、25年後の2017年には約半分の6兆円にまで縮小しています。なぜなら「服が売れなくなった」から。メンズもレディースも売れない。その理由を「バブル崩壊」に当てはめるより、ユニクロやZARA、H&Mなどスローファッション、ファストファッションの台頭に求めるべきではないでしょうか。

参考資料

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html

スーパー市場

一方のスーパー業界。こちらは、1999年頃をピークに約13兆円市場で高止まりして、以降約20年近く横ばいを続けています。内訳を見ると、飲食料品が伸びて、百貨店と同じように衣料品が減っているようです。そういやスーパーで服買わなくなったなー。最後に買ったのは2003年、イズミヤでタンクトップでした…。

参考資料

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html

マーケティングリサーチ市場

データが回答社に限られるので、折れ線で社数を追加しております。一時の低迷期を経て、2012年頃から成長軌道にあるようです。

参考資料

http://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/

おかし市場

この15年間、おかし市場は2.4兆円でだいたい変化無し。特に和洋生菓子は大きくも小さくもなっていません。一方で、チョコレートは増加傾向、チューインガムは縮小傾向にあるのがわかります。

参考資料

https://www.eokashi.net/siryo/siryo08.html

四輪車市場(生産)

国内生産四輪車は、2009年に主に普通乗用車で200万台ほど減少した後、8年経った今でもリーマンショック前に戻っていません。このデータが「正」なら、これがリーマンショックなのか…と身震いしますね。生産が国外に転出したと信じたい。

二輪車市場(生産)

ちょっ…このデータは間違いないでしょうか、と驚きました。一貫してデータは減少傾向にあり、かつリーマンショックで生産量は半減したようです。主に原付バイクが減少し続け、当初は3番手にあった小型二輪車が今や市場を支える屋台骨に。確かに街中で原付見かけなくなったなぁー。生産が国外に転出したと信じたい。そうでしょう。

参考資料

http://jamaserv.jama.or.jp/newdb/index.html

チェーンストア業界

こちらチェーンストア業界全体になります。97年~98年頃をピークに少し減った以降はほぼ横ばい。データをザッと見た感じ、計測範囲の店舗が減ったわけでもなさそうなので、チェーンストア全体の市場が12兆~14兆で大きく変化無いようです。

参考資料

https://www.jcsa.gr.jp/public/statistics.html

DIY市場

2005年頃をピークに市場が高止まりして、以降は4兆円の壁をなかなか超えていません。恐ろしいのは、2010年頃から店舗が増えているのに売上が伸びていない点。現在のDIY市場の限界が4兆円で顧客の奪い合いをしているなら地獄絵図です。

参考資料

http://www.diy.or.jp/i-information/association/jigyo/transition.html

医薬品生産

医療用医薬品は緩やかに増加傾向、一般用医薬品はほぼ横ばいでした。ドラッグストアで薬買う機会増えたと思ったんですが…或いは国外で作られた医薬品が輸入されてるんでしょうか?

参考資料

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/105-1c.html

デジタルカメラ出荷金額市場

データの計測が99年に始まり、10年後には1.8兆円まで成長しますが、リーマンショックで大きく下げたかと思うと以降は恐ろしいくらいの生産縮小。国外に工場が移転されたのか、ニーズが減ったのか。そりゃスマホでカメラは事足りますからねぇ…。

参考資料

http://www.cipa.jp/stats/dc_j.html

薄型テレビ出荷台数

2010年大きく伸びたのは、地デジ需要ですね。もともと800万台~1000万台需要だったのが、特需に沸いて、そして祭りの後…。

参考資料

https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/shipment/index.htm

ルームエアコン生産

電気冷蔵庫生産

電気カミソリ生産

電気掃除機

電気洗濯機

電気炊飯器

なんだこれ!めっちゃ下がってるやん!と最初は驚きました。

実はこれらのデータは、元は経済産業省生産動態統計になります。90年代後半、おしなべて落ち込んでいますが、これは国内工場の閉鎖・海外工場へ移転された結果だと思われます。

生産動態統計を読んでみますと、調査対象は恐らく国内だと思います。

【調査の対象】属性:経済産業省生産動態統計調査規則(昭和28年通商産業省令第10号)別表に掲げる鉱産物及び工業品を生産する者であって、生産品目別に掲げる範囲に属する事業所。

「経済産業省生産動態統計/調査の概要」『経済産業省』

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/gaiyo.html#menu04

そうなると、これらの数字は国内生産に絞られるので、必ずしも市場の縮小を意味しません。さすがに家電がここまで縮小していたら大事件です。

もっとも、エアコンも冷蔵庫もカミソリも掃除機も洗濯機も炊飯器も、どれも似たようなものばかりで、必要なのに欲しいものが無い状況です。90年代後半のダイエーか!というツッコミが入るくらい。

「ミスター・ウォークマン」と呼ばれた黒木靖夫さんは、次のような言葉を残しています。

「こんな技術があるから何か作ろう、と考えるのは間違い。こんなのがあったらいいよな、と生活者視点から始めないと失敗する」

加えて、「CDウォークマン」を手掛けた宇喜多義敬さんは、次のような言葉を残しています。

「世の中に新しいコンセプトの商品を出し、『これこそ欲しかったものだ』と消費者をうならせるのがソニーだった。そんな芽が、組織が大きくなり利益相反が生まれたことで、次々と摘まれていった」

参考資料

https://www.jema-net.or.jp/Japanese/data/ka01.html

 

執筆: この記事は松本健太郎さんの『note』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年3月21日時点のものです。

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

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