京都裏観光スポット:『蹴上エリア』本当は恐い地名の由来
ガジェット通信 / 2019年4月22日 20時0分
風光明媚な京都には、国内外多くの観光客が足を運ぶ。
それはなぜか……日本の失われた煌びやかな時代を感じにやってくるからである。
京都市東山区と左京区の境に、「蹴上」(けあげ)という地域があることをご存知か?
京都市営地下鉄東西線の駅もあり、ウェスティン都ホテルが建ち、4月下旬から5月初旬まで一般公開される蹴上浄水場の5,000本のつつじが咲き乱れる。
少し歩けば平安神宮、南禅寺、京都動物園や京都美術館などの公営施設が立ち並び、いかにも観光地・京都といった趣だ。春の桜と秋の紅葉の時期には、滋賀へとつながる琵琶湖疎水沿いに多くの観光客が訪れるエリアである。
しかし、この「蹴上」という地名。あなたは、その真の意味をご存知か。その意味を知れば、あなたはきっとこの観光地のイメージがガラリと変わってしまうだろう。
(※諸説ある中のひとつを紹介します)
首のない霊を見る心霊スポット
蹴上のあたりにはあまり店らしきものがなく、陽が落ちると辺りはひっそりと静まり返る。実はこのあたり、多くの幽霊をみるという噂がある。
大体は、首のない人間が走っている、首なしライダーが車の横を駆け抜けていった。その類の話である。なぜか必ずと言って首がない。それはなぜなのか?
その昔、九条山(現在は渋谷街道)に粟田口刑場という京都で一番の処刑場があったそうだ。
その処刑場というのは、1万5千人もの罪人が処刑された場所と言われている。当時、京都は、日本で一番の都市。ただし人口としては、20万人程度しかいなかった。
そこにきて1万5千人となると、その数がどれだけ膨大な数だったのかがよく分かる。そしてこのおびただしい数の刑死者に対する供養として、京都の各宗派寺院が1,000人ごとに供養碑を建てたのだが、その数、明治までに15基を数えたという。
京都一の処刑場につながる道
この地名には、当時の罪人たちへの扱いが表れているという説がある。
処刑の執行を拒む者、無実を訴える者、病気などで歩けない者、その罪人の尻を、蹴りあげながら、無理やり御仕置き場まで連れて行ったことにちなんで、「蹴上」という名が付けられたというのだ。
当時の処刑法は、市中引き回しの上で、板や木を組んだものに張り付けて槍などで突き殺す磔(はりつけ)、斬首して3日間首をさらされて刀の試し切りに遺体を使う獄門(ごくもん)、火をつけて火あぶりで焼き殺す火刑(ひけい)だったので、罪人たちも嫌がったはずだ。
それまでにも公開処刑が頻繁に行われているので、自分がこれからどんな目に合うかをよく知っていただろう。そして昔は冤罪も多かったことも予測がつく。無実の罪で殺される者も、たくさんいたはずである。死んでも死にきれないとは、このことだ。
今生の別れを告げる三条別れ
「蹴上」の山を下っていくと、そこには三条別れという場所があり、その昔、粟田口刑場で斬首処刑される罪人を見送りにきたその家族は、この先には進むことができずに、そこで罪人と別れることになる。
つまりは、永遠の別れをしなければならなかったわけだ。ちなみに三条大橋から五条大橋にかけては、斬首したあとの首を晒す場として使われていたそうだ。何人の血がそこに流れたのか、その光景は想像を絶するものであったはずだ。
なんだかおどろおどろしい話になってしまったが、今では素敵な観光地として多くの人々を迎える街並みになっている。
あなたも寺社巡りの観光ついでに、京都の包み隠された過去に触れてみてはいかがだろうか?
解説/丸野裕行(裏社会ライター)
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