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血なまぐさいブラックなユーモアと幻想的な展開が融合した傑作ミステリーが映画化『ゴールデン・リバー』

ガジェット通信 / 2019年7月6日 11時22分

ちょっと不思議で、なぜか可笑しくて、なのになんとも言えない切なさが漂う物語。そう聞くと、人間ドラマやファンタジーを想像するかもしれません。でも7月5日(金)より公開中の『ゴールデン・リバー』は、そんな奇妙な味わいに満ちた西部劇なのです。

舞台は19世紀半ばのアメリカ。ゴールドラッシュで一獲千金を夢見る、数え切れないほどの男たちがサンフランシスコ目指して旅立ちました。目的のためなら手段を選ばない無法者も大勢現れましたが、そんな彼らにすら最強の殺し屋と恐れられたのはイーライ(ジョン・C・ライリー)とチャーリー(ホアキン・フェニックス)のシスターズ兄弟。彼らは提督と呼ばれる雇い主(ルトガー・ハウアー)から、ウォーム(リズ・アーメッド)という男を捜して始末する仕事を請け負いましたが、ウォームの行方は提督の連絡係モリス(ジェイク・ギレンホール)の情報に頼るしかありません。シスターズ兄弟が彼らを追って西へ向かう間にモリスはウォームを見つけるのですが、出会って間もない二人の関係は意外な方向へと変化し、シスターズ兄弟をも巻きこんだ予想外の結末が彼らを待ち受けます。

原作は、世界の名だたる文学賞を受賞・候補となったパトリック・デウィット『シスターズ・ブラザーズ』(茂木健訳/創元推理文庫)。日本では2013年に「このミステリーがすごい!」で4位になった他、各種年末ベストテンで選ばれました。血なまぐさいブラックなユーモアとペーソスあふれる幻想的な展開が見事に融合し、本好きの間で大変話題になった作品です。

普段は温和で静かですがキレるとヤバい兄、主人公イーライを演じるライリーが原作に惚れ込んで映画化権を獲得。実は原作ではイーライが弟で、彼が語り手となって物語が進みます。ケンカ好きでずるがしこいチャーリーを誰よりもホアキンに演じてほしいがために兄弟の設定を逆にした結果、弟思いの兄という視点も加わり、原作を既読だとより楽しめるのではないでしょうか。他にも、映画で登場する歯磨き粉や傷ついた馬のエピソードは、原作ではさらに詳しく描かれていますので、あのシーンが気に入った方は映画鑑賞後にぜひ原作も読んでみてください!

監督のジャック・オーディアールといえば、テリー・ホワイトの名作『真夜中の相棒』(文春文庫)を映画化した『天使が隣で眠る夜』(’94)も、原作とはまた違った趣のある美しい作品でした。本作の見どころは、物語の面白さや演技派俳優たちの迫力に加えて、スクリーンに映し出された大自然です。広大で荒々しい風景が『グランド・ブダペスト・ホテル』と『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞作曲賞を受賞したアレクサンドル・デスプラの幻想的な音楽とあいまって、男たちを惑わす魔力を持った場所へと変化する圧倒的な映像美をご堪能ください。

【書いた人】♪akira

翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、「映画秘宝」等で執筆しています。

―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』

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