面接・プレゼン・恋人や友人との会話……「勝ち声」で話せればすべての場面で良い結果が出せる?!
ガジェット通信 / 2019年8月1日 7時30分
東京の渋谷に「声の悩み」の駆け込み寺があるそうです。その名もニューベリーサウンド。日々、声に関して悩む人々が訪れ、「声の改善」をするためのさまざまなレッスンが行われているようです。そのニューベリーサウンドの代表取締役を務めるのが小泉誠司さん。声の講師歴30年以上の大ベテランです。声の悩みというのはどんなものなのか、お話を伺ってみました。
――小泉さんのところには駆け込みで声の悩みを相談される方が来るそうですが、どういった方がいらっしゃいますか?
小泉さん 就活の面接で小さな声しか出せず不合格になった大学生、あるいはプレゼンで声が出にくくなりパニックになってしまったビジネスマン、教授相手の勉強会などで声が出にくくなり精神的な苦痛を覚えている大学院生など、いろいろな方がいらっしゃいます。こもっていて抜けない声なので交友関係において聞き返されることが多い、という悩みもありますね。特に、患者さんから聞き返されがちな医師の方、授業で講義が聞こえにくいと言われる講師の方、レッスン中に説明を聞き返されるスポーツのレッスンプロの方など、相手にとって負担となる声であることを悩む方も大勢いらっしゃいます。
――就職面接で小さな声しか出せなかった大学生の方、そういう声の方の原因はなんでしょう?
小泉さん 自分自身の声に自信を持てていないこと、そして自分の声が“武器”になると思っていないということが原因のひとつですね。
――その場合の対処方法は?
小泉さん 対処方法としては……そういう方がいきなり自分の声に自信を持つのは難しいことですよね。まずは「良い声を出そう」とするより「相手に聞きやすく話す」ということを心がける、それが大切です。そのためには「ゆっくりと話す」、これが有効です。ゆっくりと話すことで、心も落ち着いてきますし、相手も聞きやすくなります。その結果、相手に安心感を与えることができますね。
――ではプレゼンのビジネスマンや勉強会の大学院生のような、声が出にくくなってしまった方の原因は何なのでしょう?
小泉さん 声が出にくくなる原因は、発声だけの問題ではありません。発声以前に呼吸の問題の可能性があります。人は緊張すると自然な呼吸ではない「努力性呼吸」といわれる呼吸をしがちであることが確認されています。この努力性呼吸をしていると、最悪の場合、酸欠状態にもなってしまいます。当然ですが、そうなると相手とは有効なコミュニケーションが築けなくなりますよね。でも家族や友達と話しているときのような自然呼吸ができれば、声も出やすくなります。今回の本では、そういった緊張化でも自然呼吸ができるようになるための簡単なメソッドを紹介しています。
――医師や講師の方の悩みにあった「聞き返される、聞こえにくい」という声。これの原因は? そしてどう対処されたりするのでしょう。
小泉さん 声が小さい、滑舌が悪い、早口……などの要因がありますが、根本的な原因は、やはり「自分の声に自信がない」、そしてさらに言えば「自分自身に自信がない」ということです。ですから、そんな方にいきなり「声を良くしよう」と言っても逆効果なんですよ。目線をそらすことも重要なんです。だからこの場合は、顔や口の筋肉を鍛えるメソッドが効果的ですね。それを行うと表情も良くなり、相手への印象もアップします。そして声量や滑舌も改善されて、ゆっくりと話せるようになりますよ。
――今回、「声」の悩みを解消するための実用書を発売されますね。その本では「勝ち声」「負け声」という表現で声を形容していますが、今の自分が「勝ち声」なのか「負け声」なのか、それを自己診断する方法はありますか?
小泉さん 声は出してみないと、出やすいかどうかがわかりにくいものです。でも間違った発声法でも声は出てしまいますし、声を出してしまえるということで自分の発声法が合っているかどうかは、やはりわかりにくいです。理想とする「勝ち声」には正しい発声法が必要ですが、声を出さずに正しい発声法に導ける簡単な方法があります。それは「鼻呼吸がしやすいかどうか」を判断すること。なぜなら声の動力源は体外の空気ですし、その空気を鼻からたくさん体内に取り込められるほうが声帯をよりよく震わすことができますから、結果として正しい発声になり、声も出やすくなるのです。「鼻呼吸がしやすい」→「声が出やすい」→「勝ち声」……鼻呼吸がしやすいと感じられる方は、勝ち声になれる可能性が高いと言えます。その「鼻呼吸がしやすくなるメソッド」をの詳細に興味がある方がいたら、ぜひ本を読んでいただくといいかと思います。
――面接、プレゼン、日常会話で「自分の声」に不安や悩みがある方へひと言お願いします。
小泉さん 「良い声を出そう」という気持ちだけでは「良い声を出せる」ことにはなりません。それよりも「ゆっくりと丁寧に」を心がけて会話をしてみてください。ゆっくりと話そうとすることで滑舌が良くなり、良い声すなわち「勝ち声」に近づいていきますし、メンタル面も落ちつかせることができます。そうなると相手もゆったりと話を聞いてくれるようになりますし、有意義なコミュニケーションが築けるはずです。
◇
ふむふむ、なるほどですね。「声」ってその人の印象を大きく左右しますもんね。大事だ。「勝ち声」をマスターしたい人、「勝ち声」に近づきたい、という人、小泉さんのメソッドを試してみてはいかがでしょうか。
(リットーミュージック刊)
著者:小泉誠司
定価:本体1,500円+税
PROFILE 小泉誠司(コイズミ セイジ)
ボイストレーナー/プロデューサー/アレンジャー/作曲家。アメリカ、ボストンのバークリー音楽大学卒、音楽学位を習得。帰国後数々のアーティスト/タレントの作曲、編曲、プロデュースする一方、ボイストレーニングを始めとする新人育成にも力を注ぎ、数多くのアーティストをデビューさせた実績を持つ。伝説のオーディションと言われるテレビ東京「ASAYAN」をはじめ、数々のオーディションでボイストレーニングのレッスンと審査を行う他、機動戦士ガンダムの主題歌の作曲も手がけるなど、多様なメディアでも活躍。著名アーティストや人気俳優はもちろんのこと、政治家、セミナー講師、医師、弁護士といった業界外からの依頼によるボイストレーニングも多数行っている。テレビ東京「〇〇式って効くの?歌下手が3時間で…激変!?」」をはじめ、TV出演も多数、メディアでの指導にも定評がある。著書に『ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ すぐに歌がうまくなる新常識』などがある。
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(執筆者: リットーミュージックと立東舎の中の人) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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