マッツ・ミケルセン来日取材「若いとかYouTuberとか関係ない」新鋭監督の才能ほめる
ガジェット通信 / 2019年11月19日 16時0分
『ドクター・ストレンジ』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンの主演作、『残された者~北の極地~』が現在公開中です。第71回カンヌ国際映画祭のアウト・オブ・コンペティションとしてミッドナイト・スクリーニングにて上映された際、孤立無援の傑作サバイバル映画群と引けをとらず<もっとも優れたサバイバル映画の1つ>と絶賛されたそうで、マッツの演技も光ります。
■公式サイト:http://www.arctic-movie.jp/
平均気温マイナス30℃、刻々と変わりゆく天気のなかで行われた撮影は、マッツに“これまで経験した中でもっとも過酷な撮影だった”と言わしめたそう。説明的な台詞、映像表現を一切排除、無駄なく研ぎ澄まされた映像美とともに描かれる、ひとりの男の「生」への闘いについて話を聞いた。
●まず作品ではなく、毛色の違うお話からと考えてかおり、、、
ドクター・ストレンジ!笑
●お、おう、大ファンですよ!
で、とても人気ですが、人生や生活が変わったことを客観的にどうみていますか?
そうだね。道を歩いていて気づかれるとか、生活は一変したとは思う。でも実はそれまで、そういうことを考えたことがなかったからね。イマドキの若い世代の俳優たちは、自分が認識されることは大切なことかもしれないが、僕がデビューした当時は、そんなことは考えもしなかった。自分が大好きなアメリカ映画などの要素を取り込めないか、新しいデンマーク映画が作れないかなどと仕事のことで頭がいっぱいだったが、一晩で人生が変わったよ。
●確かに、世代による感覚の差もありますよね。
何も考えていなかったおかげで、その対価がどういうものかまったくわからなかったね。一度そうなると、戻ることもないよね。程度の差こそはあれ、人々に認識されるようにはなった。それほど支障はないが、たとえば公園などで人間観察をしたい場合、ほかの人が自分をみてしまい、難しくはなったよね。だから、顔バレしていないほかの国を見つけるしかないけれど、それももう難しいことではあるけれどね。
●静かな生活に戻りたいとは思いますか?
いつも、そういうこと考えてるわけではないからね。記憶力は悪いほうではないけれど、自宅のドアを出る時は忘れていて、誰かに言われたりアプローチされて思い出すくらいの感じだよ。
●さて、本作のジョー・ペナ監督がYouTuber出身という異色のキャリアで、それまでにデンマークやハリウッドのの著名な監督たちと仕事をしていると思いますが、何か違いなどは感じましたか?
ジョーの映画へのアプローチは、すべてが新鮮だったと思うね。それはYouTuber出身だからとか、若いからということは関係なく、みんなそれぞれ映画作家とは違うものを持っているものだ。僕は、監督デビュー作だった『プッシャー』のニコラス・ウィンディング・レフンをはじめ、その人にとっての初長編監督作品にたくさん出てきたが、監督が過去にどういう映画を撮っているかなどは全然考えないね。ジョーの場合も、彼のチャンネルすら観なかった。彼の映画に対する意見とストーリーを知り、これは興味深いことになると思った。それだけだ。
●ずいぶんとフラットな視点ですね。
誰だって初めての映画を撮らなければデビューはできないわけで、プロデューサーが監督に対してたくさんアドバイスもするけれど、それはいいものもあれば悪いものもある。でも彼は最初からラジカルで、少額の製作費で作れるんだというエネルギーを持っていた。それは、初監督ならではのものだよ。映画はパーソナリティーの差が大きく出るものだと思っているし、その人の個性に左右されるものだよね。
●実際、見応えある骨太な作品になっていると思いました。
いまはスマホでも簡単に映画が撮れて、誰にでも映画が撮れる大きな世界であり、小さな世界でもあると思う。それでも、その人のパーソナリティーによってストーリーテリングが変ってくるわけで、そもそも映画を作るには才能が必要なので、そこはどの時代だろうと共通していることだとは思う。
■ストーリー
本作は、飛行機が墜落した北極で窮地に立たされた男を描くサバイバル映画。極寒の白い荒野にたった一人取り残された男(マッツ)。彼を囲むのは、寒さ、飢え、そして肉食獣。やがて、その孤独が終焉をむかえたとき、男は待つことをやめ、とどまることを捨てた。極限状態のなか自らの心の奥底に何を見るのか? 今、明日の「生」に向け決意の旅が始まる!
映画『残された者~北の極地~』は、公開中
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