ヤクザに殴られオネエに怒鳴られ……「占い師」って意外に大変!
ガジェット通信 / 2020年4月8日 19時0分
どうも、ライターの丸野裕行です。
占い師――。世の中にこんなに怪しく神秘的な商売があるでしょうか?
やれ易学だ、四柱推命だ、姓名判断だ……とは言っても、基本は統計学や確率論。その真偽や当たりはずれに関わることなく利用者が減らないのは、占いというものが精神的なカウンセリングを担っているからでもあります。
だからこそ、なのでしょうか、お客の中には頭がおかしい女や地回りのヤクザなどもいて、ドン引きするようなトラブルも日常茶飯事。
今回は、街中で露店を出している現役占い師の袴田純一さん(仮名/50歳)に、占い師の実態についてお話をうかがいました。
※この体験談はすべての占い師に当てはまるものではありません
※写真はイメージです
占い師の修業は厳しい
丸野(以下、丸)「占い師という職業について、どのようにお考えですか?」
袴田さん「占いを“デタラメだ”という人もいますが、占いは人を勇気づけたり、やる気を出させたりするものでもあります。笑顔が増えれば幸福な生活が送れますし、逆に暗い顔が増えれば、どんどんとネガティブな生活に堕ちていきます。何千人、何万人もの顔相を見てきた私には、その人がどんな人なのかピンとくるものです。占ってもらうことにより、漠然とした人生が明確になるので、私たちはプライドを持って仕事に取り組んでいます」
丸「占い師になったキッカケは?」
袴田さん「29歳まで昼は工場バイト。赤提灯で一杯やるのが唯一の楽しみでした。しかし、日々の虚無感がある中で、師匠になる唐山先生(御年72歳)と出会いました。繁華街でちょうど占いをやっておられたんですね。初めは、暇つぶしでからかってやろうと思い、先生の前に座ると、私の生きざまをすべて当ててくれたんです。その眼力に惚れ込んでしまった私は、毎日先生の元を訪ね、弟子入りさせてくれるように頭を下げ続けました。すると、なんとか入門を許され、修業がはじまりました」
丸「どんな占い方なんです? どんな風に修業をされるのですか?」
袴田さん「顔相ですね。まずは“心毒の相”や“三枚顔”などの基本の心得を取得し、観方の基本、顔の形、横顔、五宮(眉、目、耳、鼻、口)のバランス、各部位の色など、徹底的に2年間教えを受けました。それから1年間は、街に座って実地訓練しましたね。それでようやく免許皆伝です」
おまえに聞かんでもわかっとるわ!
袴田さん「それから師匠に背中を押された私は、地元・大阪の一角で占い業をはじめました。文庫本片手にお客がくるを待っていると、“おいワレ、ここで何やってんねん!”と地回りのヤクザがやってきました。ショバ代は用意していたのですが、“おい、おまえホンマに占いできるんか? オレのこと占ってみろや!”と……」
丸「ほほう」
袴田さん「用意した虫眼鏡で、田宅(目と眉の間)や魚尾奸門(目尻)、竜宮(目頭)、臥蚕涙堂(目の下)などを見ていったんですが、女泣かせと親不孝の相が出ていました。それを告げると、“はぁ? そんなもん最初からわかっとるわ! アホか! 殺すぞ!”と……」
丸「収入的にはどのくらいありますか?」
袴田さん「相談料が30分3千円なので、週5日で働くと、月収45万円くらいになります」
丸「結構いい収入ですね」
袴田さん「お客を掴むコツを押さえていると、自然とお客は増えます」
占い師の条件
丸「どんなコツですか?」
袴田さん「はい。占い師は正直者ではダメなので、必ず言い訳の道を作り、決めつけた発言は絶対にしないというのがコツです。それに、それらしい服装をしなければいけないんですね。ですから僕も師匠の言いつけどおり、着物を羽織り、茶人帽をかぶりました。師匠も実際にショバ代を支払ってその格好で街に立った瞬間、お客がチラホラ現れはじめたとのことでした。そこにやってくるんですよ、変なお客が……」
日本の将来はどうなりますか?
丸「具体的にはどんなお客が?」
袴田さん「そうですね~、変な相談で言うと、“日本の未来を占ってほしい”という市議会議員や“飼っているペットの気持ち”を知りたいという飼い主、“思春期の娘が処女かどうか”を確認したい父親とか、占いでわかるわけがないことを相談されます。あと叔父と関係を持つ女子高生とかは“別れなさい”とアドバイスしたら、“やっぱり叔父さんのことが忘れられない、なんでそんなこと言うのよ!”と首を絞められました」
丸「普通、占いができなくても、そう言い含めますよね」
袴田さん「一番困ったのは、分厚いファンデーションの下に青々としたヒゲが醜いデブのオヤジでした。要するにオカマなんですけど、相談が“なぁなぁ、私のお腹の中の赤ちゃん、男か女かどっち?”というものでした。“むこうに行け!”シッシッとあしらったんですが、超激怒して殴られました。そのうえ、後日トイレに行って少し目を離した隙に、鑑定台の上に猫の死体を置かれました。もう訳がわからないにもほどがありますよ、本当に……」
■
いかがでしたか? 意外に大変な占い師の仕事。
袴田さんは、人の悩みに耳を傾けるべく、今日も街角に座ります。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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