映画作家・大林宣彦さん逝く “尾道三部作”など数々の名作を残す 最新作が近日公開
ガジェット通信 / 2020年4月11日 10時30分
『転校生』(82)『時をかける少女』(83)などの映画作家・大林宣彦さんが、4月10日(金)、闘病していた肺がんのため、東京都世田谷区の自宅で息を引き取りました。82歳。葬儀・告別式は、家族葬(密葬)を執り行い、後日、お別れの会を予定。喪主は、奥様で映画プロデューサーの、大林恭子さんが務めるとのことです。
1938年広島県尾道市生まれの大林宣彦監督は、3歳の時に自宅の納戸で見付けた活動写真機と戯れるうちに映画を撮り始めます。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用、CM作品数は3,000本を超えます。
1977年になると、『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(82)『時をかける少女』(83)『さびしんぼう』(85)は、いわゆる“尾道三部作”と称され、今も新世代のクリエイターへ大きな影響を与え続けています。
近年、大林宣彦監督個人では、2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小綬章受章。2019年には令和初の文化功労者に選ばれています。肺がんと診断され、余命宣告を2016年8月に受けて以降も、転移を繰り返すがんと闘いながら、最新作を制作。平和をたぐり寄せる映画を完成させた大林宣彦監督の最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』は、4月10日(金)に公開を予定していましたが、コロナウイルスの影響で現在は公開延期に。しかし、近日公開を予定しています。
以下公式発表の大林監督の<コメント>をそのまま掲載します。
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』公開に向けての大林宣彦監督のコメント
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「自由に生きよ、それが平和の証だ」と父に言われ、当て所も無く18歳で上京した僕に、形見代りに持たせてくれた8ミリ映画を用い、銀座の画廊の一角で自作の8ミリ映画を上映した所、「新しきフィルム・アーチスト誕生」と世界から認定され、以降60年間テレビCM演出を資金に個人映画を創り続けて来ました。
東宝映画からの招きで、門外漢が初めてメジャーの撮影所内で撮った『HOUSE/ハウス』から、ジャンルを選択すれば如何なる純文学も商業映画になり得ると学び、あの太平洋戦争の純真な軍国少年であった体験を元に、様々なジャンルの映画にその思いを潜めつつ「厭戦映画」を作り続けて来ました。
「売れない作家の女房になる覚悟」で61年間、僕の映画を支え「私が最初の観客よ」と世界と僕の映画を結びながら共に生きて来た大林恭子と、11 歳で『HOUSE/ハウス』の原案者に名を連ねた長女千茱萸、ご亭主の絵の作家森泉岳土、そして親しい旧・新の世代の仲間たちと、今日も映画作りに励んでおります。
時代はいつか、個人映画ばかりになり、僕が願った映画作りの世になりました。その個人の自由と権力者の不自由の証を、愉しんで下されば、と。僕の正体が炙り出されれば、愉しいかな。
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●タイトル:『海辺の映画館-キネマの玉手箱』
●コピーライト:(C) 2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
●公開表記 :近日公開
●配給:アスミック・エース
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監督:大林宣彦
出演:厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田 玲(新人)、成海璃子、山崎紘菜、常盤貴子
製作:『海辺の映画館-キネマの玉手箱』製作委員会
製作協力:大林恭子
エグゼクティブ・プロデューサー:奥山和由
企画プロデューサー:鍋島壽夫
脚本・編集:大林宣彦
脚本:内藤忠司/小中和哉
音楽:山下康介
撮影監督・編集・合成:三本木久城
VFX:塚元陽大
美術監督:竹内公一
照明:西表燈光
録音:内田 誠
整音:山本逸美
配給:アスミック・エース
製作プロダクション:PSC
(C) 2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
(執筆者: ときたたかし)
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