日々進化し続けるロボット産業の歴史と今 iRobot社による『ルンバ』新作発表会へ行って来た
ガジェット通信 / 2012年9月12日 18時30分
皆さんは『ルンバ』という掃除機はご存知だろうか。今やほとんどの人が知っているロボット掃除機だ。新しい物だと思われがちだが、実は10年前から発売されており、9月17日をもって10年記念となる。今回発売元のセールス・オンデマンドと、開発元iRobot社により、11日に誕生会&iRobot社新商品発表会が開かれたので行って来た。
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このiRobot社は、世界的にも有名なマサチューセッツ工科大学で最先端の人工知能研究を進めていた3人により1990年に設立された。人が嫌がる、退屈で不衛生、危険な仕事をロボットが実行することで、そうした仕事から人々を解放するという理念に基づきロボットの開発を行ってきた。10年以上にわたり、iRobot社によりたくさんの自立型人工知能ロボットが世界中の様々な場所で活躍している。今回発表会では過去の作品も展示されていたため、いくつか紹介してみよう。
まずは宇宙。作られたのは1991年だ。『Gingis(ジンギス)』という火星を探査するロボットで、アメリカのNASAの火星探査ロボットの原型になった。昆虫をモデルにし、機動性が高く、知的プログラミングも良好で、その後の開発者の礎となっている。
次は『Aliel(アリエル)』。カニ型ロボットらしいが、色や形からクモのような昆虫を想像させるこの機体。磯に埋められている地雷撤去を得意とし、iRobot社初のアーム付きのロボットとなった。
アリエルを応用し、軍用に開発されたのが『packbot(パックボット)』だ。このマシンは9.11のテロや3.11の災害時に使用されたロボット。日本では原発の中に進入し、写真を撮影した時にメディアに報じられ一時的に話題となったが、『ルンバ』を作っている会社だったとは知る人は少ない。
超丈夫な偵察用小型ロボ『ファーストルック』を見せてもらった!(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/1347351036
【ニコニコ動画】超丈夫な偵察用小型ロボ『ファーストルック』を見せてもらった!
展示されているだけでなく、動きを実演するロボットもあった。ユニークでお茶目なiRobot社のG・ロイ・ロンドさんが偵察用に開発された小型ロボ『FirstLook(ファーストルック)』を手に持って登場。「コレスゴイデスヨー! ナゲテモダイジョブネ」と、実際にロボットを放り投げるパフォーマンスをしてくれた。こちらは動画を撮ってきたので、是非ご覧いただきたい。
そんな数々のテクノロジーが詰まりに詰まった『ルンバ』の新製品『ルンバ600シリーズ』が発表された。従来の『ルンバ』より、人間が掃除機をかける動作に近づくように“汚れセンサー”と呼ばれる機能を強化し、1回掃除しただけではとれない汚れを取るように実現した。
iRobot社は何度もテストを重ね、部屋の汚れを実際に図って計測。『ルンバ600シリーズ』では100%とはいかないが、どんな部屋もできる限り行ける所全部、掃除の頻度を高め、99%以上の部屋の汚れを掃除できると断言していた。それと、ロボット掃除機を発売している他の会社へのアドバイスもしていた。
「他の会社もどんどん掃除ロボを作ってきているけど、それはすごいいいことだと思います。みんなが情報を共有できますからね。これからドンドン自動掃除機のシェアは伸びるでしょう。ただ、競合会社にアドバイスがあります。他の機能をつけすぎではないかという点です。掃除機の目的はただひとつキレイにするということだけなのです。面白い特徴は兼ね備えていますが、『ルンバ』の清掃能力には遠く及びません。我々はテストをしてみたのですが、汚れの80%以上さえ除去できていないのです。大抵はそれよりはるかに悪い数字だったりするのです......。消費者の視点で考えてください。80%でもまだ20%は残っているのです。それではキレイになっていないと思われるのではないのでしょうか」。
辛口だが、実に的を射ている意見だ。どれだけその機能を追及するか、職人魂にあふれている人だからこそ発言できる内容ではないだろうか。
ただ、筆者は一つずっと疑問に思ってることがあった。形状が変更されていない点だ。初期に発売された『ルンバ』も丸く、10年たっても丸い。素朴な質問だが気になっている人も多いのではないのかと思ったので、質疑応答の時に答えていただいた。
「『ルンバ』は実は丸くないんです。非常に複雑な構造をしています。サイドブラシが突き出す構造になっています。しかもこれはフレシキブルアーム(曲がったり順応性のあるアーム)なんです。『ルンバ』の形は部屋によって変わります。このような設計にしたのは理由があります。部屋の隅の汚れは通常丸いロボットでは掃除できませんが、サイドブラシが部屋の角へ伸びて『ルンバ』が回転するという構造になってます。そう考えると実は丸ではないのです。
しかし、形を変えず、なぜこのようなサイドブラシを付ける面倒な構造にしたかというと、丸が周りのものにぶつからずどこにいっても回転できるからです。丸以外だと動けなくなってしてしまう可能性があるんですよね」と、頭の中で想像しやすい形で答えてくれた!
『ルンバ』は2002年から発売されたが、当時は全く売れず、認知さえされなかったという。次第に使っている人の声や、メディアでの報道により認知され始め、今ではお年寄りや共働きの世帯で多く使われている。
今回の新商品『ルンバ600シリーズ』はオープン価格4万9800円。年末に向けて家電製品を取り扱うお店では目玉商品になりお求め安くなるかも? お世話になった両親や祖父、祖母に日ごろの感謝の印として、『ルンバ』をクリスマスにプレゼントしてみてはいかがだろうか。
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