『イース セルセタの樹海』プレイレビュー PSvita独自の操作感で“これまでに無かった一体感”を味わえる!
ガジェット通信 / 2012年9月27日 18時30分
長年、『イース』シリーズにてアクションRPG界を牽引している『日本ファルコム』が、『イース』にとっても、アクションRPGにとっても、完全なる新作を完成させた。
●どれだけ良く作られているか
まず感銘を受けたのが、“操作性の心地よさ”と、「アクションRPG」と「タッチスクリーン」の相性の良さ。(アクションRPGとはコマンド形式のRPGとは違い、フィールドに現れている敵とリアルタイムに戦い物語を進めていく作品の事を指す)
主人公一行は、途方もなく広大な樹海を冒険する事になるのだが、その為の街やフィールドの往復など、探索中の移動がまったく苦にならない。そのストレスを感じさせない理由は、操作キャラの移動速度もそうだが、なんといっても素敵な回避行動だろう。
この回避行動は、使用後の硬直が全く無いに等しく、ほぼ連続して行う事ができ、フィールドを駆け抜けるには十分な快適性能。何度も訪れる街など、どの場所においても素早く動ける回避行動が取れる、というのは地味に飽きない。
そしてもちろん戦闘においてもこの性能は遺憾なく発揮される。
相手の攻撃をタイミングよく回避する事で発動するフラッシュムーブ。これがめちゃめちゃ気持ちいい!
フラッシュムーブが決まるとこちらは一定時間無敵になり、さらに敵の動きがスローになるので、<回避→一気に間合いを縮める→コンボを叩き込む→間合いを計る>……と、このようにしてほぼ無傷で一方的に攻撃加えることが出来る。どんどん狙っていきたくなるし、その為に相手の動きに注目するので、決まった時の高揚感はひとしお!筆者はこの一連の動作にすっかり快感を覚えてしまっている。他の上級操作に、フラッシュガードというものもあり、こちらは決まればダメージ無効&一定時間攻撃がクリティカルというニクイ効果も。
そして攻撃の華といえばやっぱり“コンボ”。こちらもシンプルかつボタン操作が楽しい作りとなっている!
待ち時間があるだとかタイミングがシビアだとかいうコンボは一切無く、重たい一撃などの演出で動作がゆっくりになる技もあるが、ストレスはまったく無くむしろ興奮。モサっとしたコンボが皆無な事に、老舗アクションRPGブランドの心意気を感じる。ずっとキャラ操作していくんだもの、そりゃ快適なことに越したことはない。
コンボは基本攻撃とスキルの組み合わせによって更に華々しく、奥深くなっていく。
基本攻撃のコンボは○ボタンの連打に対し、スキルはRボタンと○、×、□、△いずれかの組み合わせで特殊な技が発動するといった仕組み。
スキルには突進攻撃や相手を浮かせる攻撃など様々あり、基本コンボのどのタイミングからでも繋げる事が可能。この操作の組み合わせが、シンプルながら“操作している”という満足感を与えてくれる。
更に!スキルはそれぞれ使い込んでいくとLvが上がり威力が上がるといった嬉しい機能が設けられている!お気に入りや、使い勝手の良いスキルを自分なりに育てられるちょっとしたカスタム感覚は、たいへん嬉しい。
スキルはアドル(主人公)がLv15の時点で4つ所持し、まだまだ覚えていくのだ。敵を打ち上げて着地のタイミングで突進、なんていうスキルだけを使用した攻撃の仕方が出来るなど、バリエーション豊富。
その他にも、冒険をマンネリ化させず、尚且つめんどくさくもならない工夫も凝らしてある。こういう細かい部分ってとても大切。(下のスクリーンショット参照)
武具は鍛える事ができ、様々な付属効果を得る事が出来る。そして武器に至ってはなかなかの確率で敵を状態異常にする事が出来るので、武具強化の労力は惜しまないようにしよう。武具強化は、“新しい武具の入手時期”、“鍛えるのに必要な素材の量”、“お金の収支”、これらすべてが絶妙なバランスで、“もっと鍛えたいけど満足できない程じゃない”という絶妙な調整だ。
快適さでいえば、味方AIも負けていない。
味方AIは最大3人パーティー。そして、操作出来るのは1キャラだけなのだが、自分が操作していないキャラが無謀に突撃していったり、自分が戦いたい時に戦ってくれない、なんて事はまずない。むしろ自分が操作しているキャラが戦闘不能になるケースの方が多い!(筆者だけかも知れないがw)
その他にも、敵の落としたアイテムなどもしっかり回収してくれる。PSvitaならではの背面タッチパッドで、戦闘主体か回避主体かの作戦を切り替えられるのだが、この操作も普段の操作の邪魔にはならない。
PSvitaならではの操作感においては、もはや据置機以上に深く、ゲームに集中できるものだと思う。
筆者は長年、据置機愛好家だったのだが、「アクションRPG」と「タッチスクリーン」のコンボによる“手探り感覚の冒険”の前では、意識を改めざるをえないと感じた。
冒険中、“魔法具”(付け替えることによりフィールドアクションが変化)の付け替えを頻繁に行うのだが、「タッチスクリーン」のショートカットによってストレスフリー。カメラのズームを変更するという操作だけでも、直接画面に手を触れるという事で、これまでには無かったゲームとの一体感を覚える。
タッチスクリーンでの操作は多岐に渡り、キャンプメニューの選択や、アイテムの使用などなど。なかでも探索中の手探り感が顕著に現れたのが“謎解き”。
ひとつ間違えば大切なゲームのスピード感を殺しかねない程ナイーブな要素なのだが、これが大正解。遺跡などでこれをやると、雰囲気が見事にハマっているのだ。PSvitaとの相性と操作性を考え、丁寧に開発された事が伝わってくる。次に紹介するスクリーンショットがそうなのだが、たぶん筆者は同じ謎解きゲームをゲームパッド(コントローラー)でやると、少しめんどくさく感じたかもしれない。
とまあ、冒険、操作、などについて筆者が感じた事を書かせて頂いたが、もちろん、ストーリーやイベントも見所は沢山。最初はムービーの綺麗さに驚いたし、キャラクターボイスの配分も絶妙。そしてなにより……なによりも、「イースサウンド」が最高だ!
キャラの個性を生かして突破するギミックにも冒険心をくすぐられる。それらは、是非皆が購入して確かめてほしい。
PSvitaを買ったばかりの方で、初めてのソフトを何にしようか決めあぐねている方はこれ(イース)を買えばいい。
一言で言えば、めっちゃおもろい。やればやる程のめり込む。
これから後続のVITA作品のお手本となるべき作品だ。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
『イース セルセタの樹海』
●ジャンル:アクションRPG
●発売日:2012年9月27日
●プラットフォーム:PSvita)
●公式サイト:http://www.falcom.co.jp/ysc_psvita/
(ゲームレビュアー:ヒラノ課長)
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