若手演技派・恒松祐里、映画『タイトル、拒絶』出演秘話明かす 「監督が『散歩する侵略者』を観てオファーしてくださって…」
ガジェット通信 / 2020年11月13日 18時0分
『散歩する侵略者』(17)、『アイネクライネナハトムジーク』(19)、『スパイの妻』(20)など、出演作が続く若手演技派女優の恒松祐里さんが、映画『タイトル、拒絶』に出演しました。本作は、2013年に山田佳奈監督自身が主宰した同名舞台の映画化で、とある雑居ビルを舞台に、セックスワーカーとして働く女たちの姿を力強く描いた作品です。恒松さんは、店で一番人気の嬢・マヒル役を好演。女性の痛みを全身で背負っているようなキャラクターですが、本作への出演のきっかけは山田監督が別の出演作を観ていたからだそうで……。映画の公開に先立って、恒松さんにいろいろとお話をうかがいました。
●この作品は難しいテーマもあるのかなとも思いましたが、最初の脚本の感想はいかがでしたか?
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/lifeuntitled_sub01-1024x683.jpg)
今まで演じたことがなかった役でしたし、リアルに起きていることをお芝居で演じることはすごく責任重大だなと思いました。後は何よりも女性たちの痛みやパワーなどが台本からひしひしと伝わってきて、それを表現できることがすごく楽しみでした。
それは自分の役柄のことでもありますし、いろいろな女性がこの作品には出てくるんですよね。脚本も山田佳奈監督が書かれたのですが、女性監督ということもあって女性のいろいろなタイプや気持ちを表現しているので、どの役でも何かしら自分と当てはまる部分だったり、そうじゃなかったり、こういう女の子いるよなって思う部分があるので、そういう作品にいち女性として携われることはすごく光栄だなって思いました。
●女性たちが目隠しして狭い部屋に集合しているこの映画のポスターも象徴的ですが、あの女子の世界というか小さなコミュニティーは、世の中によくありそうですよね。
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/lifeuntitled_sub02-1024x676.jpg)
女の子は生まれた時から何らかの女子のコミュニティーに入っていると思うので、あるあるじゃないですけれど、よくわかりますね。この中で自分がどういう性格で立ち位置で、みたいなことを気にすることは、女の子なら誰しもがうなづけるのではないかなって思います。
●映画を観た人の感想が気になりますよね!
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/lifeuntitled_sub03-1024x676.jpg)
そうですね。女性のみなさんは共感していただけるポイントは多いと思いますし、反対に男性は女子ってこういう生態なんだ、面倒臭いなあとか、はてなに感じる部分が多いかもしれません(笑)。そういう面倒臭さを踏まえての女子の世界なので、男性と女性で意見は違うと思いますので、いろいろな意見を期待しちゃいますね!
●撮影にあたっては、どういう監督のリクエストがありましたか?
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/lifeuntitled_sub04-1024x682.jpg)
わたしが演じたマヒルちゃんは一言で言うと“笑いながら泣いている人”だったので、笑い方が無理している感じになるように演じようと思っていました。ただ、監督とわたしの考えがたぶん近かったので、基本はわたしがやろうとしていることに監督がひとつひとつ、感情を汲み取ってくださる感じでした。
●それはどういう感じに近かったのでしょうか?
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マヒルちゃんという子は、すごくきれいだけれどかわいそうな子という理解で、全女性の痛みを全部自分で引き受けて、自分の中で溜め込んでいるような女の子だと思うんです。マヒルちゃんの要素って少なからず、女性の中にはあるような気がしました。最近セクハラが問題になることもありますけど、そういうことが遭っても笑って溜め込んでいる女性っていると思うのですが、それの極端な例がマヒルちゃん。その見解は監督とわたしで一致していて、それをどう表現するか、わたしはこの作品の短い撮影期間の中でマヒルちゃんの痛みについて同じような仕事をしている方のブログを読み、考えをまとめたり、いろいろな参考資料を読み、心の痛みなどいろいろなものを溜め込み、撮影に入りました。
●そういう役作りをされたわけですね。
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/lifeuntitled_main-1024x676.jpg)
そうですね。マヒルちゃんの笑っているようで泣いている笑い方は、わざと出せるものではないなって、台本を読んだ時にすぐ思いました。これは作らないとただの笑っている人になってしまうかもしれないと、心の奥で泣いていないとあまり伝わらないのではないかと思い、この作品では意識しました。基本的には練習ではなく、現場で作り上げていったところが大きかったのですが、心の中で用意をして現場でどうなるか、という感じでした。
●『散歩する侵略者』の宇宙人役がいまだに印象に残っていますが、今回のマヒルもインパクトあるキャラクターでしたよね。今度は人間だけに強烈でした。
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/mahiru-kazuyo-01-1024x429.jpg)
実は監督が『散歩する侵略者』を観てオファーしてくださったそうなんです。わたしが笑いながら人を殺しているシーンを観て、監督の中で笑い方が印象に残っていたそうなんです。『散歩する侵略者』のあきらのイメージと、マヒルちゃんのイメージがピッタリ合致したそうなんです。あきらは完全に宇宙人になってしまっていますが、この映画のマヒルちゃんも自分の心を殺しているので笑い方は似るのかもしれませんね。無理している無機質な笑い方ですけど。心から笑っていない感じがあきらとマッチしていたのだと思います。
●今日はありがとうございました!最後にメッセージをお願いいたします!
![](https://rensai.jp/wp-content/uploads/2020/11/mahiru-01-1024x429.jpg)
この作品はさまざまな女性たちの悩みや哀しみが表現されていて、それでも生きている女性たちを描いている作品なんですけど、わたしが演じているマヒルちゃんは心の痛みを笑顔で誤魔化す、笑顔を盾にして哀しみを見えないようにしている役柄です。今この記事を見てくださっている方たちも、たぶん自分が辛くても笑って誤魔化したり、いろいろな悩みを抱えている方もいるとは思うのですが、そういう方がこの作品を観て、ひとりじゃないんだって感じてくださるといいなと思っています。
衣装協力
BRIXTON
MSGM
PAS TIERRA
11月13日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
(C) DirectorsBox
ヘアメイク
Raishirou Yokoyama(Yolken)
スタイリスト
Marie Takehisa
(執筆者: ときたたかし)
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