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AIと天才棋士の勝負を描いた映画『AWAKE』若葉竜也さんインタビュー「自分は勝負強いタイプでは無い。おっかねーって思いながらこの世界にいます」

ガジェット通信 / 2020年12月25日 16時0分

棋士の夢に破れた青年がAI将棋のプログラミングに新たな夢を見いだしていく姿を描いた、映画『AWAKE』が12月25日より公開となります。2015年に実際に行われた棋士VSコンピュータの対局に着想を得て、本作が商業映画デビューとなる山田篤宏監督が書き下ろしたオリジナルストーリー。

吉沢亮さん演じる英一が破れる天才棋士・陸を演じたのは、若葉竜也さん。今回は若葉さんに本作の役作りについてお話を伺いました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました。若葉さんの棋士姿がとても決まっていたので、プレス資料を読んだら「将棋のことはいまだに分かっていない」と書いてあって驚きました。

若葉:何も知らないんですよ、ルールも分からない(笑)。台本を読んだ段階で、準備期間もそれほど無かったので、どれを大切にしてどれを省略するかというジャッジをしていきました。将棋って運とか流れとかで勝敗が決まるものではなくて、実力だけで勝ち負けが決まっていくというシビアな世界で。本当勝負師というか、ものすごい緊張感の中で戦われているんですね。僕ら俳優は勝ち負けも答えもない曖昧な仕事なので。そんな一介の俳優が棋士の方達が日々考えている事やプレッシャーを理解するのって、不可能に近いというか。なので、棋士の友人に所作とか手の動きをずっと教えてもらって。

――元々のお友達に棋士の方がいたというのがすごいですよね。

若葉:めちゃくちゃ仲の良い友人なんですよ。中学生の時からの付き合いで、週に一回くらい未だに遊ぶくらいの友人がたまたま棋士で。それをプロデューサーに話して、この映画に参加してもらいました。陸の説得力って指し手と佇まいが全てだと思っていたので。友人にじっくり付き合ってもらえて、本当にありがたかったです。

――そのお友達も映画はもうご覧になっているんですか?

若葉:何度も観ているらしいです。 本当に仲の良い友人ということもあって、「ちゃんとやれよ」「将棋の映画って指し手が素人くさいものばかりだから、陸の役ってそれじゃ無理だよね」って淡々とプレッシャーかけてくるんです(笑)。監督が2人いるみたいで、監督よりも厳しいというか。でもその友人が「良かった」と言ってくれているので、今は安心しています。

――人物造詣の部分では、陸という人をどの様に演じようと意識されましたか?

若葉:監督から、「英一と陸の関係は陰と陽だ」と言われて。吉沢さん演じる英一は暗くて心の中にマグマみたいなドロドロとした思いを抱えている、僕が演じた陸は快活で明るいという。でも、それをキャラクター化してしまったら全然面白くない気がして。陸には陸の苦悩があって、1人の人間なわけで。それは善い人を演じる時も殺人犯を演じる時も同じで、やはり人間を演じるということなので。その気持ちを監督に伝えて、話して、意見を言い合って、現場で練り上げたという感じですね。陸という人物を自分の中で決めてしまって、「陸はこんなことをしないだろう」と決めたく無いんですよね。「これではキャラクターが破綻している」と言われずに、生々しく広げていくかというか。皆が思っている陰と陽という一面的なキャラクターではなく、血の通った人間をやろうと。

――なるほど。陸という人間の映画では描かれていない部分も地続きで考えるというか。

若葉:どの映画もそうなのですが、役作りってしていなくて。必要最低限の準備だけしていって、監督についていく。映画って全て監督だと思っているので。役者が出来ることって実はすごく少なくて。監督、脚本、美術、撮影、照明、録音、衣装、メイク……って100%スタッフに支えられてなんとか役者が立っているのだと僕は思っていて。企画書や台本が完成した時点で9割映画は完成していると思っていて、そこに役者が入ってきて言われたことをやるという事が僕らの仕事だと。その中で、スタッフや観客が思っていなかった可能性を提示出来れば良いなと思っています。

――MV出身の監督らしい美しい映像の使い方だなと思ったのですが、若葉さんは完成した作品をご覧になってどう感じましたか?

若葉:すごく観やすいなと感じました。作家性があって手触りがゴツゴツしている作品にも僕はこれまで参加してきて、でも『AWAKE』って普段あまり映画を観ない方でも楽しめる作品にしたいと僕も思っていましたし。まだ若くてこれからどんどん作品を撮っていくであろう、山田監督の長編デビュー作品に参加出来て本当に嬉しかったです。

――長編デビューということで、撮影も新鮮な部分があったりしましたか? 他の監督さんと違うところなど。

若葉:なんでしょう、卑屈?(笑)どちらかというと、英一の方に近い人間なのかなっていう印象です。卑屈でちょっと歪んでいる監督が撮るエンタメが、どう観客の皆さんに楽しんでいただけるのかが楽しみです。

――ちなみに、若葉さんご自身は勝負強いタイプですか?

若葉:全然思わないですね。萎縮するし、恐いし、割とおっかねーって思いながらこの世界にいるので。逃げはしないし、やらなきゃいけない時は受けてたちます。ただ全然負けるよね、って思いながらやっています。役者の世界って勝負強い人ばかりだと思うので、みんなすげーなぁって思います。

――これからも若葉さんの出演作をとても楽しみにしています。今日はありがとうございました!

『AWAKE』ストーリー

大学生の英一は、かつて奨励会(日本将棋連盟の棋士養成機関)で棋士を目指していた。 同世代の圧倒的な強さと才能を誇る陸に敗れた英一は、プロの道を諦め、普通の学生に戻るべく大学に入学したのだった。 幼少時から将棋以外何もしてこなかった英一は、急に社交的になれるはずもなくぎこちない学生生活を始める。 そんなある日、ふとしたことでコンピュータ将棋に出会う。 独創的かつ強い。 まさに彼が理想とする将棋を繰り出す元となるプログラミングに心を奪われた英一は、早速人工知能研究会の扉をたたき、変わり者の先輩・磯野の手ほどきを受けることになる。 自分の手で生んだソフトを強くしたい―。 将棋以外の新たな目標を初めて見つけ、プログラム開発にのめり込む英一。 数年後、自ら生み出したプログラムを<AWAKE>と名付け、コンピュータ将棋の大会で優勝した英一は、棋士との対局である電王戦の出場を依頼される。 返答に躊躇する英一だったが、相手が若手強豪棋士として活躍するかつてのライバル、陸と知り―。

【動画】映画『AWAKE』予告篇

https://www.youtube.com/watch?v=TfozjTVycD0

(C)2019「AWAKE」フィルムパートナーズ

―― 面白い未来、探求メディア 『ガジェット通信(GetNews)』

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