オトナの時計投資:独自ブランドを立ち上げた男が語る「国産時計の価格上昇のチャンス」
ガジェット通信 / 2022年1月13日 19時0分
どうもライターの丸野裕行です。
シリーズ《オトナの時計投資》、いつもはロレックス市場、ヴィンテージROLEXの値上がり動向などをお伝えしています。
【連載】『シリーズ:オトナの時計投資』
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現在、ロレックス市場は新型コロナウイルス感染症の影響があるのにも関わらず活況。しかし、外貨があまり入ってこなくなった今、国内に目を向けてみましょう。
これからのコロナ収束後に海外からも注目されているのは、日本製のビンテージウォッチだと言われています。SEIKO、シチズン、オリエントなどなど高い精度を持つ実力派の国産時計がわんさかあります。
そこで今回は、オリジナル時計ブランドを立ち上げた、福岡と奈良を往復して活躍中の今村研太さんに取材を敢行。国産時計ブランドの魅力について語ってもらいました。
国産時計の魅力をないがしろにしている
丸野(以下、丸)「国産ブランドといえば、僕はSEIKOが好きなのですが……。それもヴィンテージの」
今村さん「国産ブランドの腕時計は先進的な機能を兼ね備えたムーブメントを積極的に取り入れるという姿勢が魅力になります。まずSEIKOブランドは、動力源を電池としたクオーツ腕時計を発表・発売したことで、世界中の腕時計ブランド業界に大きな衝撃を与え、影響を及ぼしました」
丸「なるほど」
今村さん「かたやシチズンブランドは、太陽光などの光を使って発電する腕時計を開発し、これまた世界中に衝撃を与えました。さらに、違う観点で腕時計を開発しようと考えたカシオブランドは一歩先行く耐衝撃性を持ったG-SHOCKを誕生させ、90年代に一大ムーブメントを巻き起こしたわけですね。ビジネスシーンによく合うモデルからスポーティーモデルなど種類も豊富で、自分の生活スタイルに合った1本を見つけられるわけです。国内市場は国産時計を軽視しすぎていると思いますよね」
丸「一部の時計は別として、国産ブランドは素晴らしい機能がありながらリーズナブルなモデルも多いですよね。抜群のコスパですよ、本当に。今村さんオススメの現行型の時計はありますか?」
やはり第1位はあの時計
今村さん「日本の腕時計ブランドの中でも、やはり美学がズバ抜けているのが、SEIKO。やっぱり140年以上の伝統と開発力、歴史を誇っているので、海外人気も高いですよ」
丸「そうですよね」
今村さん「その中でも《グランドセイコー(GS)》ですね。その最高級ムーブメントの造りとブランド力ですよね。グランドセイコーは開発や組み立て、そのあとの出荷までをすべて自社で行っています。職人たちの奥深い伝統技術は脈々と継承され、“スプリングドライブ”ムーブメントを開発したりと、日本の高度な技術を誇っているわけです」
丸「やっぱりそうですよね、海外向けの投資にも使われているとは聞いています」
今村さん「あと、ロレックスのサブマリーナにも負けない技術力が詰まったCITIZENのダイバーズウォッチであるプロマスター、シースルースケルトン仕様で精巧な作りのORIENT《オリエントスター》ですかね。スタイリッシュで、ドレスウォッチ感がありますね」
自分で時計ブランドを立ち上げようとしたキッカケは?
丸「今村さんは現在ご自身で独自の時計ブランドを立ち上げたらしいですね」
今村さん「そうですね。自分好みの時計が見つからないというのがキッカケでしょうか。まず、フォルムが自分が欲しいものとは違う。そこで『FAMUL-ファマル-』という時計ブランドを立ち上げました。日常使いができる、いわば“お守り的”な意味合いのある時計になります。楽しいの“FAN”とお守りの“Amulet”を足して、このブランド名にしました」
数々のサプライヤーからサンプルを取った
丸「しかし、これだけ完成度の高い時計をよく作りましたね」
今村さん「やっぱり海外の何社かのサプライヤーからサンプルを取って見てみたんですが、やはりデザイン性とかリューズに合わせてカーブしているのか、研磨の感じとか、曲線が気になるわけです。だから、完全オリジナルの時計にしました」
丸「これは削り出しなんですか?」
今村さん「鍛造(プレス)したあとに、研磨してありますね。60年代の時計は鍛造の技術がなかったので、当時は削り出し+研磨だったと思うんですが、ウチの製造法はいわば“イマドキ”ですね。昔のメーカーって本当にエッジが立っているやつばかりですよね。ムーブメントに使われているのは、SEIKO-NH350ですね。とにかく精巧で壊れることがない。最近のSEIKOも部品調達が韓国になって、《J-1=日本製》、《K-1=韓国製》という表記が入っているんですが、やはり日本製の70年代の方がいいですね」
<写真:『FAMUL-ファマル-』のムーブメント>
丸「父親と一緒にいる感覚がいいですよね」
今村さんが今注目している時計は?
丸「今村さんが、今見習うべきブランドってあるんですか?」
今村さん「やっぱり『DOXA(ドクサ)』ですね。やはり古くて、125年以上の歴史があるブランドです。今現在はダイバーズ時計を主力商品にしているんですが、アンティーク時計としての完成度も高い。2018年から復活してくれたので、最注目ですね。かなりエッジが立っています」
丸「全然知りませんでした」
今村さん「僕のベンチマークですね」
今村さんの時計ブランドの魅力は?
今村さん「これから、モデルをどんどん展開していきたいと思っています。一応今回2モデルなので、ダイアルのパターンとかも増やしたりして。その次はダイバーズですね。最終的には、70年代っぽいものを考えています。やはり世界的に70年代ブームがきているので、アメリカの結構カラフルなクロノグラフを出している『ストラトーンウォッチ』というメーカーがあるんですが、静かなブームになっていますね。弊社の時計も70年代ブームの若者文化の波に乗せたいわけですよ」
丸「いいですね。なるほど、このブランドマークは何をモチーフにされているんですか?」
今村さん「これは、福岡のシンボルになっている《梅》です。出身地なので、和の魂を込めてこのマークにしました」
丸「日本人のすごさに気がついてもいいと思うんですけどね。海外だと、日本ブランドは高く評価されているのになぜか日本人は日本文化に興味がない。哀しいことです。この時計も、面白い色ですね」
本当の赤色じゃなく、ピンクがかった色を選ぶ理由
今村さん「弊社の時計も、赤ではなくてピンクに近い色、これが日本人の腕には合うんじゃないかと」
丸「日本人の腕には、ピンクゴールドなんて合いますからね。この感じならいけるじゃないんですか、完成度がとにかく高いんで」
今村さん「ありがとうございます!」
ロレックスなどの海外ブランドが高騰する中、完成度の高い国産時計にあまり注目が集まっていません。そんな世の中に、飛び込む今村さんの覚悟と情熱。皆さんも、コロナ禍で価値観が激変している今、海外勢には逆に人気のある日本の国産時計に注目してみてはいかがでしょうか?
今後もさらに時計の世界を深掘りして、投資の話や時計の楽しみ方をお伝えしたいと思います。
ブランド:『FAMUL-ファマル-』
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(執筆者: 丸野裕行)
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