映画『ピノキオ』ジミニー・クリケット役 山本耕史インタビュー「人間じゃないからこそ、人間の心が浮き彫りになるんだと思います」
ガジェット通信 / 2022年9月27日 11時0分
これまで、美しいメロディーと共に数々の名曲を世に贈りだしてきたディズニー。その中でも全世界の誰もが必ず一度は耳にした事のある珠玉の名曲「星に願いを( When You Wish Upon a Star )」を生んだ名作アニメーション『ピノキオ』 が 実写映画化。 ディズニーが魅力あふれるキャラクターと映像美、珠玉の名曲で魅了するファンタジックな作品 『ピノキオ』がDisney+(ディズニープラス)にて独占配信中です。
本作で、ピノキオに善悪を教える、シルクハットをかぶったコオロギ「ジミニー・クリケット」の日本語吹替を担当した、俳優の山本耕史さんにお話を伺いました。
――改めて、ジミニー・クリケットという役をいただいたときのお気持ちを教えてください。
お話をいただいた時は、『ピノキオ』におけるジミニー・クリケットというのは、ストーリーテラー的なところも担っていますから。とても大きな役をいただいたというのが最初の印象です。作品の中で一番喋っているんじゃないかなと思うくらい早口だし、頑張らないとと思いました。
――山本さんご自身、「ピノキオ」に親しみはありましたか?
もちろん知っていましたし、ビジュアルも、すごく印象に残っています。今回、こうして作品を観た時も「あ、そうそう!こんなキャラクターいたよね」ってなるし。だけど、ストーリーの細かい描写は正直、覚えていませんでした。おじいちゃんが作った木の人形に命が宿って、嘘をつくと鼻が伸びちゃう…。だけど、その後、どういう冒険があったのかな?っていうのは正直、記憶にないんです。物語よりキャラクターの印象が強かったです。
あと、「星に願いを( When You Wish Upon a Star )」が『ピノキオ』の歌って知らなかったですよ。歌は知っていたけど、そうだったんだ!って。
――意外と知っているようで知らないお話というか、そういう方多いと思います。
大まかなストーリーは知っていても、細かい部分が…という方は多そうですよね。良い意味で、ビジュアルと愛すべき登場人物たちの印象が強い。キャラクターが物語を超えて時空を超えている感じがしますね。
――完成したものをご覧になっていかがでしたか?
すごかったです。現代の技術、CGで作っているけど。ピノキオの絵本の中というか、アニメーションの中の世界観を、実写になっているのに、きっちり味わえる。むしろ、アニメーションの中に人間が入ったみたいな感覚でした。ジミニー・クリケットがCGだというところがね。生きている人間の方が助演している感じ。それこそが、この話の真髄な感じがします。全部、アニメーションでやるんじゃなくて。作り物と人間たちが協力してピノキオの世界観をよりリアルに実写化したことによって描けた作品だと思います。
――本当にそうですよね。実写とCGの融合が素晴らしかったです。印象的なシーンは、ありましたか?
話自体は、すごくシンプルなんですよね。すごく難しいことがあるかって言ったら、そんなことなくて、そこが魅力だと思います。印象的なシーンはいっぱいありますが、ピノキオが純粋無垢な少年であるから。信じること疑うことに翻弄されながら、操り人形ショーに入れられちゃって…ハラハラしますね。純粋だからこそ、引っかかってしまう罠だったり。
あとは、人形の女の子と鳥籠の中で捕まっているときに、「人間は信じられないけど」って涙を流すところも。人と作り物の息遣いが、とってもお洒落だし、ふとしたところに、人間の心を感じちゃいますよね。人間じゃないからこそ、人間の心が浮き彫りになるんだと思います。
――シンプルなお話だからこそ、どの時代にも響くメッセージがあるなと私も感じます。山本さんは今までも沢山、声のお仕事をされてきたと思いますが本作で特に難しかった部分、ありましたか?
本国の映像を観た時に、(ジミニー・クリケット役の方が)かなり声を作っているので、最初はそのくらいやった方がいいのかなと思ったんですけど、僕が声を作っているという顔が見えちゃうのが好ましくないなと。実際には自分より若干、高い声で喋っています。
セリフ量が多くてすっごく言葉が詰まっているから。なかなかタイム通りに言葉がおさまらないことが多くて。「もっと早口で言うんですか?これ」って。だから、“間で演技する”っていう日本人特有のことが全く使えず。とにかく間を開けずにバーって言い放つっていうところは特徴的でしたし、苦労しました。
――この秒数に収まるのか?ってくらいのセリフ量ですよね。
そうなんですよ。「1,先生の話を聞く、2,生徒と仲良くする…」という様に、ピノキオに教える描写があるんですけど、日本語だと、「1,なんとかなんとかする」「2, なんとかなんとかする」「3, なんとかなんとかする」 ってセパレートしますよね。だけどジミニーの場合、「1,なんとかかんとか2,なんとかかんとか3,なんとかかんとか」って言わないと、全く収まらない。セパレートがない英語と日本語のニュアンスの違いを感じました。
――そうして大変なこともあるアフレコですが、声のお仕事の楽しさは、どんなところに感じられますか?
全部終わって、「よかったです。ありがとうございます」って言われるまで、楽しいって言う実感はないです。とにかく一生懸命やって「あ、今のは、画と声のテンションが合ってないな」と感じたらもう一度やらせてもらって…の繰り返しで。僕みたいに俳優業をやっている人が声を演じると言うことに良い効果があればありがたいですが、声の仕事は声の分野の技術だから、あんまり偉そうなことを言えないというか。常に「本当に僕なんかが良いんですか?」という気持ちでやっています。
――『ピノキオ』も観客の反響が楽しみですね。
楽しみな反面、お叱りの声をいただくかかもしれないし、素直な声を聞きたいですね。ディズニープラスということで、子供たちがいっぱい観てくれることは特に楽しみです。僕も子供がいるので、世間の子供達がこの作品を観て「あのパパ、ジミニー・クリケットの声に似てる」ってなったら可愛いなと思います。
――山本さんは、ディズニー作品をよくご覧になりますか?
やっぱり子供がずっと観ているので、僕も一緒に観る事が多いです。自宅でつけている時間も長いです。僕が少なからずディズニー作品のお仕事をやらせてもらっている事もあって。大人向けの作品だと、マーベル作品も観れるから、ディズニーの間口が広がった気がしますよね。それでいて、『ピノキオ』の様な名作も楽しめる。
――本当に色々な作品が楽しめる所が素敵ですよね。最後に『ピノキオ』をこれからご覧になる方に、特に注目して欲しいポイントを教えてください!
まずはピノキオの世界観を、よりリアルに再現しているところを。絵本の1ページ目を開いたとき、あの雰囲気が匂ってくるところが感じられると思うので楽しみにしていてください。冒険に出かける時も、実写の外の風景なのだけどどこか絵本っぽい空気感が素敵です。
――今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
実写映画『ピノキオ』はディズニープラスにて独占配信中。
撮影:オサダコウジ
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