『今際の国のアリス』佐藤信介&土屋太鳳インタビュー「嬉しかった海外の反響」「お互いの感覚、呼吸みたいな所を大切にしていた撮影」
ガジェット通信 / 2023年1月17日 12時0分
Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2が全世界独占配信中です。12月22日に配信されると、日本を含むアメリカ、カナダ、フランスなど世界90カ国でTOP10入りし、うち9カ国では首位を獲得。日本発Netflix作品として最も視聴された作品となった大ヒットサバイバルドラマです。2020年12月に配信されるや、日本国内のみならず世界中が熱狂。世界70カ国 以上でTOP10入りした全世界待望のサバイバルドラマの待望の続編です。
生きる意味を見失っていたアリスやウサギたちが、元の世界に戻ることを希望としてまさに命懸けの“げぇむ”に挑む姿に共感し、仲間との絆が深 くなるほどに緊張感が高まるストーリー展開。知力・体力・チームワークなど登場人物それぞれの特性が活かされる多種多様な“げぇむ”の数々。彼らは元の世界に戻ることができるのか…!?
シリーズの監督を務める佐藤信介監督と、主演の土屋太鳳さんにお話を伺いました。
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――シーズン1が配信されてからの、周囲の反応や寄せられた反響をどの様に受け止められましたか?
佐藤:世界中の方から、本当に様々な言語でコメントや感想が寄せられて、SNSの翻訳機能を使って読んでいました。僕も、普段はあまりやらないんですけど、自分でもリアルタイム検索をやってみようかな、と思って「今際の国のアリス」ではなくて「Alice in Borderland」っていう英語タイトルで検索したんです。そうするとですね、もう秒単位でものすごい量の感想がぶわーっと上がってきて、ちょっと面白くなっちゃって(笑)。
感想だけでも色々な意見があって面白いんですけど、だんだん絵を描く人が出てきて。ウサギやクイナのイラストをよく見るなと思っていたら、次は自分なりに映像編集をする人も出てきたりして。僕もすごくお気に入りのものは保存させていただいて。
――言葉の感想はもちろん、たくさんのファンアートからは熱を感じますよね。
佐藤:自分なりにキャラクターを描いてみたり、キャラクターライズされたやつもあったり、すごく写実的に描いている人もいたりとか。「イカゲーム」というドラマが公開されたあとに、もう1回「今際の国のアリス」が世界ランキング4位ぐらいまで上がったんですよ。その時は北米の方が特に観てくれていて。もともと、アメリカの映画関係者の方がよく観ているという話は聞いていたのですが、それだけでも嬉しいのに、どんどん一般の視聴者の方に広がっていって嬉しかったです。
――普段はあまり検索されないということですが、本作は世界配信ということも大きかったのでしょうか?
佐藤:そうですね。いつも映画を作る時、もちろん観客の方の反応を考えつつ作るのですが、完成したらちょっと離れたいなと思う部分もあって。だけど「今際の国のアリス」は、最初から世界中の方に観てもらいたいという前提があったので、どの様に受け入れられるかということを、1回知っておきたいなという考えがありました。海外の映画祭に行くと、観客たちの反応を見たりすることもあるんですけど、原作も知らないし、俳優もしらない人たちの反応というのは割と勉強になるというか、「なるほど」っていうことがよくあるので。
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――土屋さんはいかがですか?
土屋:すごく嬉しかったです。やっぱりコロナ禍での撮影と配信開始だったので、なかなか人に会って感想を聞くことができなかったんですよね。なので、少し寂しさを感じてはいたんですけど、インスタグラムで、初めて見たような言語でコメントをくださる方がいて。それを翻訳して読んで、「これが世界に配信されるっていうことなんだ」ということを実感しました。監督がおっしゃった様に、ファンの方が描いた絵もたくさん出てきて、その人の世界観がすごく絵で伝わってくるんですよね。「この方にはこういう風に、「今際の国のアリス」の世界が伝わっていたんだ」ということが嬉しかったです。監督に私からも質問していいですか?
佐藤:もちろん。
土屋:海外と日本では、血の出し方とか、少しセクシャルなシーンなど、描写の受け止められ方が違うじゃないですか。ある程度そういった受け止められ方の違いを意識して作品作りをしていたのですか?
佐藤:そうですね、全部予想にはなりますけどね。僕も、プロデューサーもそういうことを話し合いながら、プロットとか脚本とかを作っていいました。あと「顔が分からなくならないかな?」とか。僕らも海外の作品を観て、誰が誰だかわかんなくなっちゃったりするじゃないですか。そういう風にならないように、「もっと特徴をつけよう」とか「逆にここは控えよう」とか。あるいは、もっと早い段階で何か事件じゃないけど、大きな展開があった方が良いのではないか?とか。
土屋:例えば「ストレンジャー・シングス」の様にいきなり急展開がある様な?
佐藤:そうそう。どれだけ早く、グッと物語に引き込めるかとか、そういうことを常に僕や脚本、プロデューサー、みんなで話し合いをしながら作っていました。だから、余計に(反応が)気になったというか、予想しながらやっていたので、結果どうだったんだろうという気持ちもありました。
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――予想外だった感想や反応はありますか?
佐藤:驚いたのは、キャラクター愛が強いことですね。ストーリーをどう伝えようかということは、すごく検討してやっていたんですけど、キャラクター惚れていっているというのは、少し意外でした。サスペンスなので、キャラクター中心というよりもストーリーがあって、それに翻弄されるキャラクターみたいなコンビネーションを考えていたんです。
――土屋さん演じるウサギは、まさに世界中で愛されているキャラクターですが、シーズン2でウサギに対する心情の変化はありましたか?
土屋:お父さんを亡くしてしまったことへの悲しさであったり、社会に対する失望感を全面的にシーズ1では出していたんですけども、クイナやアリス、周りにいる人たちに心を動かされて、孤独だった心がどんどん柔らかくなっていくんですよね。その柔らかくなったからこその弱さが出てしまったり、迷いが出てしまったっていう心情の変化を大切にしていたと思います。
あと、身体を動かすシーンで、シーズン1はクライミングを活かすものが多かったんですけど、今回は、山本千尋さんという体を動かせる素晴らしい女優さんが相手役ということで、アクションも変化したと思います。アクションっていうのは受けが大事。受ける側がすごく上手いと強く見えるんですよね。シーズン2では受ける側をやらせていただいたので、めちゃくちゃ責任重大でした。そこは、本当にシーズン1と違う緊張感でした。
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――土屋さんは昔からダンスであったり、体を動かされてきて。年齢を重ねるにつれて、昔より違う動き方ができるようになったとか、そういうことってありますか?
土屋:体の動き的には、昔よりは柔らかい動きができるようになったかなっていうのは、ちょっとした進歩です。後、昔よりは、なんて言うんでしょう、アドレナリンの出方を調整できるようになりました(笑)。初めてアクションをやった時は、もう本当に覚えていないぐらい無我夢中になってしまうのですが、今回はケガをしたら危ないということで、ちゃんと落ち着きながらやろうとしていました。でも、どんなに気をつけていてもアクションに怪我は付き物で、怪我をしてしまったシーンもあります。監督やプロデューサーさん方、アクション監督の方々といろいろお話しをさせていただいて、上手にカバーしてくださったので、これがチームっていうことなんだな、と実感しました。
――今回シーズン2ということで、監督としても撮影の環境がスケールアップしたと思う部分はありますか?
佐藤:シーズン1を作っている時に、「こういう演出は2でやろう」と決めていた部分もありました。「シーズン1が好評だったから、スケールアップしてシーズン2をやる」というよりも、「2ではこういう部分をスケールアップしよう」と、あらかじめ決めていたところがあったんですよ。そういう意味でいうと、予定どおりやった部分もあるのですが、実際にスタートするとやっぱり大変でしたね。1で抑えていた分、2では全投入!という感じで。セットの大きさもすごかったです。
――土屋さんも現場入られてその迫力は感じられましたか?
土屋:荒廃した世界を表現するための芝生とか、本当にどこから持ってきたの?という広さで植えられていて。細やかなセットの作り方に、スケールの大きさを感じました。「こんな細かな所までやってくださっているんだ」って。床もアクションがしやすい素材になっていたり、セットを作るまでにたくさんのスタッフさん方が試行錯誤して会議をして、完成しているんだなって。その上で自分たちがアクションを練習して命を吹き込んでいく作品でした。「今際の国のアリス」はセットとグリーンバックが半々だったんですよね。セットでの撮影は気持ちを作る上でとても居心地が良かったなと思っています。
――今回新キャストもとても豪華な方が集結されていて、「今際の国のアリス」の世界をさらに盛り上げていますが、監督の中でキャスティングで大切にしている部分はどんなことでしょうか?
佐藤:色々な要素で決めているところがあって、一つのセオリーでやっているわけではなかったりするんですよ。僕は結構論理的な方なんですけど、キャスティングに関しては、非常になんていうか、ちょっとぼんやりした言い方ですけど、出会いを大事にしているようなところがあります。僕はそういうミラクルなことをあんまり信じないほうなんですけど(笑)。振り返ると、出会いを大事にしているなと感じます。
以前はタイミング的にご一緒できなかったんだけれども、ずっと気になっている存在で、本作のキャスティングをする時に、誰かがポロッと「あの方はどうでしょう」と話題が出て、「ああそうだ!」みたいな。昔オーディションでお会いしてから、色々な経験をされて、「今すごく良いな」と気になる存在であったり。太鳳さんはスペシャルドラマ『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』に出ていただいたご縁があったんですけど。
土屋:懐かしいですね。
佐藤:あの時は非常に大人しくて寡黙なか弱い役柄ということもあり、まさかこのウサギって役でご一緒すると思いませんでした。アクションが得意でいらっしゃることも、その当時は考えていなかったのですが、長い時を経て「この役は太鳳さんだ」と話が出た時に僕も嬉しくなりました。原作のキャラクターが魅力的ですが、その役にどんどん合わせていくっていうのは、やっぱり役者さんは素晴らしいですね。そういうときめきみたいなものをすごく大事にしている自分がいるような気がします。
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――昔から土屋さんとご一緒して今の土屋さんをご覧になって、俳優さんとしてこういうところが素敵だなと思う部分はありますか?
佐藤:役柄が全く違うタイプでも、唯一無二の人物を作られているなと思います。本当に簡単に言うと、完璧だなっていう。見れば見るほど、本当にブレがないなと感じるんですよね。最初は、いろいろ話し合いながら役作りをしたり撮影をしますが、ある時からは、「そのキャラクターが生きている」姿をドキュメンタリー的に撮っているみたいな感じですよね。そこにウサギがいて、ウサギがそう動く。それがこちらの心を打つみたいな。特に、今回は長い撮影だったので、特にそう感じました。動的な役者さんだと思いますね。最初はすごく静かな静かな方かと思っていたのですが。非常に動的なダイナミックな人であると思っています。(土屋さんが笑うので)これ、褒めてるんですけど(笑)。
土屋:私はおとなしい女性に憧れています(笑)。冷静さを保ちたいなと日々思いながら生きています(笑)。
佐藤:動的でダイナミックということは本当に素敵ですよ。
土屋:監督がすごく居心地がいいように、いさせてくれて。ある程度の形は決めつつも、自由にさせてくださるので。「こうしたいです」と提案しやすい環境を整えてくださったなと感じています。「ちょっとダメかも」って思った時に止めることを許してくださって。それによって、「やばいぞ、土屋太鳳自身も集中できてないぞ」っていう良いプレッシャーを自分に与えることが出来たことを覚えています。
佐藤:僕は、性格上、撮影は“決め決め”で行きたい部分もあるのですが、であればあるほど壊してほしいみたいな、僕らを壊してくれっていう気持ちもあるんですよ。
賢人くんもそうなんですけど、「あ、こうなっちゃった」と予定と違った時に、「むしろ、今のいいかもね」みたいなこともよくあったし、太鳳さんも「やっぱりなんか違う」と言ってくれるのは、こっちもちょっと嬉しくなるんですよね。俳優の気持ちは俳優自身にしか分からないと思うし。言葉に表せられないもの、呼吸みたいなものが大事だと思うので。「今際の国のアリス」では、とても大きな世界を描いているようなんですけど、お互いの感覚、呼吸みたいな所を大切に進めていたと思います。
――本当に素敵なお話をどうもありがとうございました!
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撮影:小野正博
Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2
原作:麻生羽呂「今際の国のアリス」(小学館「少年サンデーコミックス」刊)
監督:佐藤信介
出演:
山﨑賢人 土屋太鳳
村上虹郎、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、恒松祐里、渡辺佑太朗、森永悠希、町田啓太、磯村勇斗、井之脇海、
毎熊克哉、さとうほなみ、山本千尋、金子ノブアキ、阿部力 青柳翔、仲里依紗、山下智久
脚本:倉光泰子 佐藤信介
撮影監督:河津太郎 音楽:やまだ豊 美術監督:斎藤岩男、大西英文
VFXスーパーバイザー:神谷誠、土井淳 アクション監督:下村勇二
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆(Netflix コンテンツ部門 バイス・プレジデント)
プロデューサー:森井輝
制作協力:株式会社Plus One Entertainment
企画・制作:ROBOT
(C)麻生羽呂・小学館/ROBOT
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