大人から小学生まで! 「起承転結」で考えてボードゲーム開発に挑戦しよう ~『1日1アイデア』
ガジェット通信 / 2023年5月22日 8時0分
ボードゲームにカードゲーム……。アナログゲーム市場は年々盛り上がりを見せています。そして、自分の商品を自作して販売する個人クリエイターもどんどん増えています。アナログゲーム作りは、アイデアひとつで子供から大人まで、気軽にチャレンジできるものです。
おもちゃクリエーターでありアイデア発想の専門家、高橋晋平氏の2023年2月22日発売の新刊『1日1アイデア 1分で読めて、悩みの種が片付いていく』(KADOKAWA)では、人生で起こる様々な悩みの解決法アイデア、ベスト365が掲載されています。今回は同書をもとに、ボードゲーム開発のコツを紹介しながら、子供が参加できるコンテスト情報も紹介します。夏に向けて、親子で挑戦してみては?
アナログゲームの作り方は「起承転結」で
アナログゲーム(ボードゲームやカードゲームなど)の企画開発は僕の得意技のひとつです。「どうやったら作れるの?」とよく聞かれるので、簡単にご紹介します。
作り方のプロセスは、以下のように「起承転結」で考えることです。
起:テーマを考える(買い物ゲーム? 探偵ゲーム? どうぶつ園ゲーム?)
承:ルールを考える(古今東西の様々なゲームで使われているルールを学び、組み合わせながら、テーマに合わせたルールを作っていく)
転:遊ぶ人の感情が揺さぶられ、自然と会話が起きる「裏切り」の仕掛 けを入れる(何が起きたら、笑ったり、驚いたり、悔しくてもう一度遊びたくなったりするかを考え、取り入れる)
結:テストプレイを繰り返して完成させる(面白く遊べて不具合が起きないようにゲームバランスを整えていく)
この作り方の流れを教えると、ボードゲームをいくつかやったことがある人なら、試行錯誤しながらゲームを作れるようになります。大人より小学生の方が得意な子が多いくらいです。自分が作ったゲームを人に遊ばせるのは楽しいものです。興味があれば、自由なアイデアでチャレンジしてみましょう。 自分が作ったゲームは、「ゲームマーケット」などのイベントでも出展し、販売することができます。
ゲームマーケット
https://gamemarket.jp/
ちなみに、上記の起承転結の中で、一番時間がかかるのは「結」です。面白いゲームバランスになるまで調整する作業が9割です。「結」はしんどいです。
宿題や探究学習のテーマに! 「ボードゲーム自由研究」のススメ
小学生の自由研究や、中学高校で盛り上がってきている新授業「総合的な探究の時間」(探究)。もし近くに小中高生がいて、自由研究や探究のテーマで困っていたら、「ボードゲーム自由研究」というものがおすすめです。ボードゲームを作りながら、「どうやったらより面白いゲームになるのか」を試行錯誤し、完成に向かっていくという研究です。
例えば、「魚釣りゲーム」というものを作るとします。裏返しの魚カードを順番に引いていき、合計得点が高い人の勝ちです。だいたいの魚が1点、2点で、大物の100点の魚カードを1枚入れるとしましょう。それで試しに1回目のテストプレイをすると、100点のカードを取った人が必ず勝つので、面白くないことがわかります。
そこで、大物でもせいぜい5点にして2回目のテストプレイをすると、接戦にはなるものの、100%運で勝負が決まるし、大逆転もないので、やっぱりあまり面白くありません。
今度は、何枚かのカードを見て選べる撒き餌カードや、人が取った魚カードを奪える横取り網カードなど、特殊なカードを入れて3回目のテストプレイをします。
以上のようなことを何度も繰り返し、周りの人に遊んでもらって評価し、改善しながら「面白さ」とは何かを研究していきます。ゲーム開発にはまさに探究の基本が詰まっています。探究とは、①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現→①(新しい)課題の設定→ ……というようなサイクルを回すことです。この考え方は大人にもおすすめです。探究のサイクルを回すことを習慣にして、仕事や人生に活かすと、成長や良い変化がたくさん訪れます
「自由すぎる研究EXPO」という、中高生が探究の成果を応募し、そうそうたる企業の審査員に称賛してもらえるコンテストがあります。中高生は、おもしろいアナログゲーム開発という探究に挑戦して、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか。
自由すぎる研究EXPO
https://tankyu-skill.com/expo/irexpo/
ゲームでは「面白い」と「面白そう」のどっちが大事?
マーブル主催の「ゲームアイデアコンテスト」という、賞金が出る大学生向けアナログゲーム創作の大会もあります。僕はこの大会の審査員長を初回から務めており、2023年で5年目になります。大学生が作ったハイレベルなボードゲームやカードゲームが多数応募されます。
ゲームアイデアコンテスト
https://idea-contest.jp/
ここで毎年必ず、審査員の方々と白熱した議論になるのが、「ゲームにとって大事なのって、面白いことと、面白そうなこと、どっちなんでしょうね」という話です。もちろんゲームは遊んで面白くなければならないので、「面白い」ことの方が大事だと思われがちです。しかし、人は面白くなさそうなものを無理やり遊ぶことなどしません。遊んでもらえないゲームは人に何の楽しみも与えないので、面白くても人に価値を与える機会が生まれません。遊んでもらうために「面白そう」であることはとても重要です。そう考えると、「面白い」ということ以前に、「面白そう」であることの方が大事な気 がしてきます。
お店で販売するゲーム商品に関しては、「面白い」のは当たり前で、当然「面白そう」でなければなりません。まずはお金を出して買いたいと思ってもらうためのデザインや表現の工夫が必要です。では、商品開発ではない学生向けのゲームアイデアコンテストではどうでしょう。僕はやはり、「面白そう」だと思わせることこそが「創造性」だと思います。努力すれば「面白い」ゲームは作れます。しかし、「面白そう」にすることは難しいのです。この話はゲームに限ったことではありません。「面白そうであることが、人に面白いと感じさせている」のだと思います。
『1日1アイデア 1分で読めて、悩みの種が片付いていく』 (高橋晋平・著 KADOKAWA)(Amazonページ)
アイデアとは、自分の心の中の願望が実現するきっかけです――
この本では、世界中の事例や著者の経験から厳選した「人生を楽しくラクにするアイデア」が1日1つずつ、日付入りで365個紹介されています。すぐに試せるものから仕事のスキルを上げるものまで、それぞれ1ページにやり方と考え方を凝縮。読めば読むほど、アイデア発想力が養われていく仕掛けの、これまでにない革新的発想本です。
ぜひ、この本を参考に、自分の今のお悩み事を解決する1アイデアを探してみてください。
筆者:高橋 晋平(たかはし・しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役、おもちゃクリエーター。
HP:https://usagi-inc.com/
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