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「国王の戴冠式」を終えて…ロンドン在住の筆者が感じたリアルな“反応” ロイヤルファミリーに対する国民の姿勢は徐々に変わりつつある

ガジェット通信 / 2023年5月16日 13時0分

2023年の5月6日(土)に、イギリスのチャールズ国王の戴冠式がロンドンで行われた。昨年に行われたエリザベス女王のお葬式での壮大なセレモニーが人々を驚かせたのが記憶に新しいが、今回も同じくロンドンの中心で華々しいパレードが進行され、たくさんの人が一目見ようと詰めかけた。

一見イギリス全体が祝福しているように思えた戴冠式だが、実はそうとも言い切れない。同日にプロテストも行われていたりと、実際にはロイヤルファミリーの存在に反対している人たちも多いのが現状だ。当日のプロテストでは逮捕者も出るほどだった。

戴冠式に向けての街の様子

ロイヤルファミリーの存在を歓迎していない人が多いとはいうものの、ロンドンの特に観光地の周辺では、戴冠式に向けてチャールズ国王グッズが販売されていたりユニオンジャックが掲げられていたりとお祝いムードが出来上がっていたのもまた事実。

特にセントラルロンドンと呼ばれる中心地では、街中にイギリスの国旗であるユニオンジャックが掲げられ、戴冠式(Coronation)を祝う装飾がなされた。元々のイギリスの祝日もあり、戴冠式の前の週から二週連続で三連休だったこともあり、観光地をはじめとした中心地にはたくさんの人が押し寄せた。

NOT MY KING(ノットマイキング)

戴冠式に合わせて街の雰囲気も華々しくなった一方で、当日には君主制に反対する人々によってプロテストも行われていた。セントラルロンドンで人気の観光地・トラファルガー広場には市民団体の呼びかけで数百人が集まり、「NOT MY KING」(私の王ではない)というプラカードを掲げ反対の意思を示した。

トラファルガー広場は戴冠式のパレードの行程に組み込まれていたことから、戴冠式のパレードを見にきた人たちと反対を表明する人たち、どちらもが押し寄せている様子がSNSで話題になっていた。

https://twitter.com/Resist_05/status/1654791447575666694?s=20

現地の人のリアルな声

メディアやSNSでは華々しいパレードの様子もしくはプロテストについて目にすることが多かったが、実際に生活している人々の反応はどちらかといえば冷ややかな目線である印象だ。

私の職場がある東ロンドンは移民も多くリベラルな考えを持つ人たちが多い街であることも理由の一つだとは思うが、直接話してみるとほとんどの人が、「君主制をサポートしていないから戴冠式には興味がない」「私たちの税金を使わないで欲しい」「国王の話題ばかりが嫌だったから戴冠式が終わって嬉しい」という反応をしていた。アルバイトの大学生が「NOT MY KING」という文字をSNSに投稿していたのが特に印象的で、カジュアルに反対の意見を発信できる社会であることも改めて感じた。

とは言いつつも、東ロンドンであれど街中のパブなどはどこも戴冠式の様子をライブで映していたりと、国の一大イベントとして扱われているのは間違いなく、多様な背景の人が住んでいるロンドンならではのバランス感覚が見て取れた。

今回の戴冠式では、物価や生活費の高騰からストライキなどが頻発するイギリスにおいて、国民の反感を買わないよう予算を削減して行われたというが、特に若い世代からの君主制に反対する声は大きく、より多様化していくイギリスでロイヤルファミリーに対する国民の姿勢は徐々に変わりつつあることを実感する機会となった。

(執筆者: waiwai)

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