韓国の傑作スリラー『告白、あるいは完璧な弁護』監督インタビュー「日本の推理小説ファンにも楽しんでいただけたら」
ガジェット通信 / 2023年6月27日 9時30分
韓国興行収入初登場1位、『王になった男』、『神と共に 第一章:罪と罰』、『神と共に 第二章:因と縁』のリアライズピクチャーズ製作の大ヒットサスペンス・スリラー『告白、あるいは完璧な弁護』が公開中です。
密室殺人の容疑をかけられた主人公ユ・ミンホには、「ごめん、愛してる」など多くの作品で主演を務める演技派俳優ソ・ジソブ。ミンホに雇われた、100%無罪を勝ち取る女性弁護士ヤン・シネには、海外ドラマ「LOST」シリーズで知られる国際派女優キム・ユンジン。密室で不審死を遂げるミンホの不倫相手キム・セヒには、ガールズグループ「AFTERSCHOOL」のメンバーで、俳優として新たな魅力を放つナナ。緻密なプロットと共に圧倒的な存在感とカリスマ性を持つ俳優たちが譲れない演技対決を繰り広げる本作は、韓国興行収入ランキング初登場第1位を記録しています。
【あらすじ】IT企業社長ユ・ミンホ(ソ・ジソブ)の不倫相手キム・セヒ(ナナ・AFTERSCHOOL)が密室のホテルで殺された。事件の第一容疑者となったミンホは潔白を主張し、100%無罪を勝ち取る敏腕弁護士ヤン・シネ(キム・ユンジン)を雇い事件の真相を追い始める―。そこで事件以前に起きた一つの事故がセヒの殺人に関係しているかもしれないと告白し、事件の再検証がはじまっていくが、突如現れた目撃者の存在により真相は思わぬ方向へと進んでいく…。ラスト15分、あなたは思わぬ真実を目撃する…!
本作の監督と脚本を務めた、ユン・ジョンソクさんお話を伺いました。
![](https://px1img.getnews.jp/img/archives/2023/06/640-2-3.jpg)
――本作大変楽しく、ハラハラしながら拝見いたしました。本作のオファーを受けた時の気持ちを教えてください。
僕は元々スリラーやサスペンスが大好きでしたが、そういった作品を撮ったことがなかったので、作り手として撮ってみたいという気持ちはあり、お話をうかがってとても嬉しかったことを覚えています。この作品はラストに向かって、真実がどんどん浮かび上がってきますが、「どういう風にしたらもっと観客が面白がるのか」、「こうしたら観客はどう反応するか」といったことを僕も観客の1人になったつもりで想像しながら一つ一つ作り上げていくのが楽しかったです。
――韓国でも大ヒットを記録していますね。
高評価をいただき、とても嬉しかったです。「推理小説を1冊読んだような気持ちになった」という感想が多かったのが印象に残っています。ありがたいです。ミステリー好き、推理小説好きの方はもちろんですし、韓国の俳優の演技の素晴らしさに魅力を感じている方がご覧になるとより面白いと思います。オリジナル(『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』)をご覧になった方はオリジナルとの比較といった見方もできるのではないでしょうか。日本は推理小説ファンが多いそうですから、そういった方々にも喜んでいただけると思います。
――先ほど、スリラーやサスペンスがお好きだとおっしゃっていましたが、どの様な作品に影響を受けましたか?
映画全般では犯罪モノやミステリーが好きです、コーエン兄弟の影響を大きく受けていると思います。
――脚本を書く際に意識したことは?
映画にとって季節と空間はとても大事なものです。この作品でも脚本の段階から、季節と空間を意識して作り上げていきました。季節は冬、ロケーションとしては郊外で、誰も来ないような人里離れた場所で、雪があること。山荘というのは最初からほぼ決まっていて、外部とは連絡が取れない場所に2人だけでいることを念頭に置いて脚本を書きました。
――主人公にソ・ジソブさんを起用した理由を教えてください。
これまでソ・ジソブは堅実で強いイメージのあるキャラクターを演じてきましたが、今回、彼が演じた役柄は隠し事が多く、本編中でいくつもの顔を見せます。彼自身にとっても初めてのキャラクターで、チャレンジしてみたいという気持ちがあったようです。
撮影に入る前には、台本の読み合わせを繰り返しました。何かを演じるというのではなく、日常をそのまま撮っているという感じにしたかったのです。そこでユ・ミンホに関しては、ソ・ジソブに合わせて台本をかなり変えました。具体的にはセリフを少なくし、彼の表情と目つきで表現してもらったのです。ソ・ジソブは今までにやったことがない演技が観客の目にどう映るか、期待と不安が半々みたいな感じで熱心に取り組んでくれました。そのお陰でまったく予測できないキャラクターとして、より深みが生まれたと思います。
──ソ・ジソブさんは撮影現場でキャンディを配ったそうですね。韓国では撮影現場でよくあることなのでしょうか。
僕もそういう光景は初めて見ました。朝、彼はメイクを終えると甘い香りを漂わせながら出てきて、みんなにキャンディを配ってから撮影に入るのです。僕は彼のことをキャンディボーイと呼んでいました。彼はきちんと役どころを演じるだけでなく、スタッフに気を配ってくれたのです。彼とは初めて仕事をしましたが、慎重でありつつユーモラスもあって、葉が生い茂る大木のような人だと思いました。
──緊迫感のあるスリラーですが、その様な和やかな雰囲気で撮影を行われたのですね。監督の「葉が生い茂る大木のような人」という表現がとても素敵です。ありがとうございました!
![](https://px1img.getnews.jp/img/archives/2023/06/640-1-4.jpg)
『告白、あるいは完璧な弁護』
出演:ソ・ジソブ、キム・ユンジン、ナナ(AFTERSCHOOL)
監督・脚本:ユン・ジョンソク『マリン・ボーイ』
製作:リアライズピクチャーズ『王になった男』『神と共に 第一章:罪と罰』、『神と共に 第二章:因と縁』
配給:シンカ 宣伝:フラッグ 提供:シンカ、フラッグ、エスピーオー
2022/韓国/105分/DCP/スコープサイズ/カラー/5.1ch/字幕: HTO MEDIA
(C) 2022 LOTTE ENTERTAINMENT & REALIES PICTURES All Rights Reserved.
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