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福士蒼汰インタビュー 松本まりかとのW主演作『湖の女たち』は、「劇場に映る役者の在り方に気付いた作品」

ガジェット通信 / 2024年5月14日 21時30分

吉田修一氏による同名小説を、『MOTHER マザー』の大森立嗣が監督・脚本で映画化した『湖の女たち』が5月17日(金)より公開になります。

介護施設での殺害事件を発端に、それだけではない想像もつかない方向へとうねり出す物語は、全編にわたって観る者の理性と感性を激しく揺さぶるヒューマン・ミステリーとなっています。

刑事・濱中圭介役の福士蒼汰さんと、事件が起きた施設の介護士・豊田佳代役の松本まりかさんが、身も心も剥き出しでさらけ出す難役に身を投じていることでも話題になりそうな一作。福士さんにお話を聞きました。

■公式サイト:https://thewomeninthelakes.jp/ [リンク]

●これまでのご自身のイメージにない激しいシーンもありましたが、今回の作品に出演するにあたって葛藤はありましたか?

お話をいただいた時、吉田修一さんの「湖の女たち」が原作ということ、大森立嗣さんが脚本・監督ということをお聞きし、躊躇はなかったです。

吉田さんと大森さんのタッグがとても魅力的でしたし、絶対間違いないものになると思ったので、迷う気持ちよりも作品自体がどういうものになっていくのだろうと、楽しみに思う気持ちの方がありました。

濱中圭介というキャラクターは、原作の中でもあまり深掘りされておらず、佳代を動かす人物として描かれています。物語の刺激剤のような感じなので、どう読み取ろうかとものすごく考えました。撮影に入って大森監督から受けた演出は“引き算”のお芝居。圭介という役柄を演じるにあたって準備をするというよりは、その場で感じたことをありのままに表現することを大事にしました。

●いわゆる“お芝居をしないお芝居”のようなことでしょうか?

これまでエンタメ性の高い作品に出演させていただくことが多かったので、キャラクター付けをしっかりするためにも、見せるお芝居をすることが多かったんです。でも今回は、そういったお芝居とはまったく違った。これが劇場に映る役者の在り方だと気付いたきっかけにもなりました。

●“劇場に映る役者の在り方”に気付くとは、大きな発見ですよね。

今作の後、いくつかドラマに出演させていただいたのですが、自分の中に大森監督から教わったことが常にありました。だからこそ、ドラマと映画の違いのようなものも感じて。作品のテーマによっては、演じる役のキャラクター性をわかりやすく伝えた方が良い場合もあることを改めて感じました。

今作のような映画では魅力的に映るお芝居でも、テレビドラマではうまく伝わらない。自分のお芝居自体は同じことを軸にしているのに、テレビというプラットホームと劇場というプラットホームで全然違う。こうやって見え方が変わるのも面白いと思いました。

映画もドラマも、それぞれの難しさがあると思います。ドラマの場合は、見てくださる方にどう映るのかを常に考えて役作りをする必要がある。映画の場合は、そこを考えないことこそが大切でもある。考えないというのも簡単なことではないんです。自分の考えを取っ払うことは、瞑想のような感覚に近いのかもしれません。

●それで冒頭で引き算とおっしゃっていたのですね。

そうですね。準備してきたものを表現するのではなく、準備してきたものを一度忘れて、その瞬間に身を置く。それが魅力的に映ることを教えていただきました。理性のある人間というよりは、動物に近い気がして。例えば、動物園にいるライオンは、寝ている姿を見ることがほとんどですよね。でも、起きるかもしれないと期待してずっと見てしまう。劇場に映る役者も似ていて、静の状態こそに魅力が含まれているのではないかと思います。

●最後になりますが、今回の『湖の女たち』、ご自身の中ではどのような作品になりましたか?

僕の感覚ではありますが、この作品は美術館に入るようなイメージに近いのかなと思います。抽象画と具象画が並べられていて、その共通点を考えさせられる。

ひとつのことがでは言い表すことができないので、観ていただいた方それぞれの考えが生まれる作品だと思います。観た人同士で感想の共有をしてみると、より深くなっていくのではないかと。

■ストーリー

湖畔の介護施設で百歳の老人が殺された。誰が、何のために…?

事件の捜査にあたった西湖署の若手刑事・圭介とベテランの伊佐美は、施設の中から容疑者を挙げ、執拗な取り調べを行なっていく。その陰で、圭介は取り調べで出会った介護士・佳代への歪んだ支配欲を抱いていく。

一方、事件を追う週刊誌記者・池田は、この殺人事件と署が隠蔽してきたある薬害事件に関係があることを突き止めていくが、捜査の先に浮かび上がったのは過去から隠蔽されてきた恐るべき真実だったー。

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すべて税込み

(執筆者: ときたたかし)

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