B級映画オマージュ×ガールズパワー! イーサン・コーエン監督最新作『ドライブアウェイ・ドールズ』の作品づくり
ガジェット通信 / 2024年6月26日 17時0分
アカデミー賞監督イーサン・コーエンの最新作『ドライブアウェイ・ドールズ』が公開中です。
『ドライブアウェイ・ドールズ』は、アカデミー賞作品賞&監督賞を受賞した『ノーカントリー』のイーサン・コーエン監督最新作。長年、兄ジョエルと一緒に“コーエン兄弟”として数々の作品を手がけてきたイーサン・コーエンは、劇映画としては初となる単独監督を務めます。そして今回は、妻のトリシア・クックと共同で脚本・製作。キャストには、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で注目を浴び、『哀れなるものたち』に出演するマーガレット・クアリーや、MCU新作『Thunderbolts*(原題)』への出演が報道され注目を集めるジェラルディン・ヴィスワナサンのほか、ドラマシリーズ「マンダロリアン」「THE LAST OF US」に出演し今ハリウッドで最もホットな俳優ペドロ・パスカル、今年度アカデミー賞作品賞含む7部門を受賞した『オッペンハイマー』にも出演のマット・デイモン、さらに映画出演が久しいマイリー・サイラスが特別出演。イーサン・コーエン監督の遊び心たっぷりで、ラフ&スリリングな破天荒ガールズムービーが爆誕!
本作は、ガールフレンドと破局したことを嘆く自由奔放なジェイミー(マーガレット・クアリー)と、堅物で自分の殻を破れずにいる友人のマリアン(ジェラルディン・ヴィスワナサン)が、日々の生活に行き詰まりを感じ気分転換に行き当たりばったりのドライブ旅行に出かけることになるというストーリー。
「主人公二人のバディ感がよかった」、「声を出して笑えるロードムービー」、「これぞハリウッド俳優の無駄遣い!」、「最高のB級ビアン映画!」、など、観る者の常識を覆す予想外の展開に感嘆の声が続々とSNSに寄せられている本作。そんなハチャメチャコメディはどのようにして生まれたのか?この度、常に柔軟な発想でユーモアに溢れる作品を世に送り出してきたイーサン・コーエンと、公私ともにパートナーであるトリシア・クックのコメントから、制作秘話をお届けします。
「楽しくてエッチな作品を」―オマージュされたB級映画の名作たち
本作は、1960年代後半~1970年代のB級映画をオマージュしたハチャメチャなコメディ。コーエンとクックは、映画が真面目になりすぎないようにすることに真面目に取り組み執筆をはじめた。コーエンいわく“下品すぎて逆に無垢”なラス・メイヤーの『モーター・サイコ』(65)やドリス・ウィッシュマンの『Bad Girls Go to Hell(原題)』(65)など、性描写満載の映画にインスピレーションを得たと言う。他にも影響を受けたのがフィルムノワールの古典的傑作『キッスで殺せ』(55)だ。これはラルフ・ミーカー演じる探偵が謎の箱を追う人々と関わることになる話で、クックとコーエンも、主人公たちは宅配中の車のトランクに隠された謎のブリーフケースと、それを取り戻そうとする悪人のためにトラブルに巻き込まれるという設定にした。
プロット作りやトーンを決める指針になったのは、ジョン・ウォーターズやペドロ・アルモドバルだ。クックは言う。「ヒントを借りようと思った映画人はたくさんいました。少なくとも、私たちが知るラス・メイヤー作品の予告編、そしてジョン・ウォーターズやペドロ・アルモドバルの楽しくてエッチな作品で見たような雰囲気を出せないかと考えましたね」
まさにガールズパワー全開!映画界の最前線をいく女性スタッフが集結!
クリエイティブ面では、遊び心ある反逆的な感性と、型破りで時に子供じみたユーモアを保ちながら特殊なタッチが求められ、コーエン夫妻とメインプロデューサーのロバート・グラフは、主要部門の責任者に女性を起用することが重要だと感じていた。撮影監督には『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(21)でアカデミー賞の94年間の歴史で女性として史上2度目の撮影賞ノミネートを果たした経験があり、近年では『Zola ゾラ』(21)を手掛けたアリ・ウェグナー、プロダクション・デザイナーに『ミナリ』(20)のヨン・オク・リー、衣装デザイナーには、コーエンの作品を数多く手掛けるペギー・シュニッツァーら女性スタッフが集結。
クックは、女性スタッフと仕事をすることの重要性について、こう明かしている。「パワーを持つ女性がほかにもいるのは心強いこと。元気をもらえます。この作品で、撮影監督のアリ、美術監督のヤン、衣装デザイナーのペギーらが、ほかのクリエイティブで興味深い女性たちとコラボレーションをするのを見て、私は大きなインスピレーションを得ました。助監督のリズ・タンもすばらしくて、タイトなスケジュールの現場を見事に仕切ってくれました。イーサンはこれ以前にも女性を重要な地位に起用してきていますが、ここまでのレベルは初めてです。そうしたことで、女性特有のニュアンスを足すことができたのではないかと思います」と。さらにコーエンも「とにかく話の通じる人たちと一緒に仕事をするのは素晴らしいことで、アリ、ヨン、ペギーは全員そういう人たちでした」と振り返り、スクリーンに漲るパワーは、女性スタッフの尽力があってこそのもの。また、本編では過激なシーンも少なくない中、インティマシーコーディネーターも採用され、女優陣にとっても常に安心で安全な環境の中、撮影が行われた。
クックは「この映画を観た人が“こんな映画観たことない”と思ってくれることを願っている」と映画に込めた思いを明かす。さらに、コーエンは作品づくりのマインドをこう語る。「楽しい映画に出会うと何でも手に入れたような感じがする。その気持ちが映画を継続させるんだ。前進し続けることはいいことだよ」と。スタッフ陣の常識に捕らわれない自由な発想があったからこそ、観る者に爽快な笑いをもたらすパワーに溢れた作品が誕生。是非、既成概念を取っ払い、思う存分スクリーンで楽しんで。
(C)2023 Focus Features. LLC.
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