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『九十歳。何がめでたい』前田哲監督インタビュー「愛子先生の言葉に、草笛さんの生きていく姿勢に憧れると同時に元気をもらえています」

ガジェット通信 / 2024年7月3日 15時0分

直木賞をはじめ数々の賞を受賞し、2023年11月5日に100歳を迎えた 作家・佐藤愛子のベストセラーエッセイ集「九十歳。何がめでたい」が実写映画化いたします。 老後の諸問題をユーモアを交えながら描き、21年に公開され大ヒットとなった 『老後の資金がありません!』の前田哲監督が満を持して草笛光子を主演に迎え映画化。『九十歳。何がめでたい』が現在大ヒット上映中です。

実在の主人公・作家佐藤愛子を演じるのは、昨年の10月22日に“90 歳”を迎え、益々活躍の幅を広げる草笛光子。近年では映画『老後の資金が ありません!』で、主人公を悩ますチャーミングな浪費家の姑役、映画『次元大介』では、世界一の銃職人役と、幅広いキャラクターを演じていますが、今作では“世の中を痛快に一刀両断する 90歳の作家”という役どころに挑みます。 100歳の現役作家と90歳の現役俳優の、めでたいふたりのタッグで、「生きづらい世の中」に悩むすべての人に贈る、現代社会を“一笑両断”する笑いと 共感の痛快エンターテイメントとなっています。

本作を手がけた前田哲監督にお話を伺いました!

――本作大変楽しく拝見させていただきました!監督と草笛さんは元旦からお会いになる仲だそうですね。

『老後の資金がありません!』(2021)という映画でご一緒してから、元旦は草笛さんのご自宅にお邪魔しています。一年の一番最初に会う人が草笛光子ってすごいですよね。まだまだたくさんの夢がある方ですから、「こういうことをしたい」「あんなことをやりたい」という話を聞いたり。素晴らしい巨匠たちとご一緒している俳優さんなので、昔の話もお聞かせ願ったりします。

――草笛さんが本作で単独初主演ということも驚きました。

あらゆる巨匠の作品、たくさんの作品に出ていらっしゃいますけれど、単独主演というのは初めてということで、意外ですよね。90歳での単独初主演は申請すればギネス記録になるんじゃないでしょうか。

――素晴らしいですね!今回ご一緒して、改めて感じた魅力を教えてください。

先ほどの話にも繋がるんですけども、新しいアイデアを常に持っていて、やりたいことをたくさん持っているところですね。そして何1つおろそかにしない。1つのシーン、1つのカット、1つのセリフに対して、全力で挑んで新しいアイデアをどんどん出される。お客さんに良いものを届けるための努力を惜しまないところがすごく素敵だなと思います。彼女にとって「こんなもんでいいだろう」っていうことはないんですよね。エンタテイナーであり、プロフェッショナルです。それを自分が楽しんでいるところも素敵ですし、チャーミングで。スタッフも草笛さんのこと大好きだし、共演者もみんな好きになってしまうんです。

今回出演してくださった、三谷幸喜さん、オダギリジョーさん、清水ミチコさん、石田ひかりさん、みなさん「草笛さんとご一緒したい」という想いで集まってくれています。みんな、役の小さい大きいに関わらず、草笛さんが出てる映画に参加させてくださいとなるんですよね。

――本当にチャーミングでずっと観ていたい素敵なお芝居でした。監督が原作を最初に読んだ時はどの様な感想を抱かれましたか?

草笛さんから「佐藤愛子先生が、私が演じるなら良いって言ってくださっているの」というお話と共に紹介されて、読んだらすごく面白かったですね。歯に衣を着せないというか、みんなが感じているけど口に出せない理不尽なことや怒りに対してズバッと言ってくれる。「もうちょっとこうなればいいのに」ということも、具体的な言葉で書いてくれているのが小気味良いというか。そういうところが読んでいて気持ち良いのでしょうね。あと「そうだよな」って気付かされることも多くて、自分の中で言語化を出来ていなかったことがクリアになっていく感じ、雲が晴れる感じが魅力だと思います。

――毒舌でとっても笑えるのですが、毒舌だけに終わらないところもすごいなと思いました。

そうですよね、ちゃんと提言もある。90年間生きてこられた中で培った指針と言いますか、生きる上で大切なことを提示してくれていると思うんですよね。この不安定な世の中で、どう自分が地に足をつけて、しっかり歩いて生きていくかというところが大事になってきて、その指針を明確に提示してくださっているところがすごいですよね。

――エッセイを映画化することの難しさもおありだったと思います。どの様な工夫をされましたか?

僕の中では、佐藤愛子さん、娘さん、お孫さんの3世代の生活を描きたいというところがまずありました。実際に佐藤さんがそうなんですけどね。あとは、唐沢寿明さん演じる編集者・吉川のキャラクターを入れようというのは、脚本家の大島さんのアイデアなのですが、この「時代遅れの編集者」という人が今の時代を象徴しているなと思います。時代に取り残されつつもどうやって生きていくかという奮闘ぶりが面白いですし、時代を反映しているなと思います。「昔はこうだった」ということが通用しない時代ですし、「アップデート」って言葉だけなら簡単に言えますけれど、吉川さんの様な人にとってはどうやればいいのか悩ましいところで。それを草笛さん演じる愛子先生がバサっと斬ってくれますから。愛子先生自身も、時代に乗り遅れていく悲しみというか、苦しみということを感じていると思うんですが、そこはウダウダ言っても何も変わらないじゃないですか。そこを笑い飛ばしていく生きる姿勢がカッコ良いですよね。

――唐沢寿明さんもお見事でしたね。

愛子先生と吉川ってバディでもあるけれど、敵同士でもある。そういうライバルとか敵がいないと映画って面白くないなと思うんですよね。草笛さん演じる愛子先生という、ある意味モンスターに対抗出来る強力なエネルギーを持っている人。唐沢さんが見事に演じ切ってくださいました。容姿も含めてあまり観たことない唐沢さんでしたよね。

――セットも本当に素敵でした。

実際の佐藤愛子先生のお宅を綿密に取材させていただいて、それをもとに美術部が細部にいたるまでこだわって作ってくれました。映画用に少しスケールを変えたり、階段の位置や玄関の広さは変えているんですけども、細かなところまで愛子先生のお宅の雰囲気を踏襲してくれています。本当に素晴らしい仕事をしてくださって、草笛さんも本当に居心地が良くて「この場所に泊まりたい」と言っていました。だから「泊まっていけば遅刻の心配もないし良いんじゃない」って話していたんですけど(笑)。

――(笑)。本当に暮らしたくなってしまうほどの素敵な空間でした。私はアラフォー記者なのですが、本作を観ていると年をとることが楽しみになりました。

年を取ると色々なことが出来なくなってくるけれど、逆に言えば色々なものを手放せて、自由になっていけるとも思うんですよね。もっとわがままに、 自由に生きなさいと。わがままっていうのは、我あるがままということだと思うんですよ。自分が思うように生きていけばいいんじゃないかなという。それが年を取っていくものの特権でもあるんじゃないかなと僕は感じています。

いくつになっても青春であり、やりたいことをやればいいと思うんですよね。諦める必要はない。そんな勇気と元気を感じてもらえる映画になれば良いなと思います。佐藤愛子先生、草笛光子さん自身もそういう存在ですしね。

――おっしゃるとおりだと思います。監督は歳を重ねるにしたがって感じること、昔とこういう所が変わった、変わっていないということはありますか?

変わらないのは「振り返らない」というところですかね。映画が完成したら自分で映画を見直すこともないので。観ると「ああすればよかった、こうすればよかった」って思ってしまうので。名前は前田ですが、性格は後ろ向きなんで、意識して前を向くようにはしています。(笑)。だからこそ、僕も観客の皆さんと同じ様に愛子先生の言葉に、草笛さんの生きていく姿勢に憧れると同時に、元気をもらえています。

――多くの方が元気になる映画だと思います。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!

(C)2024「九十歳。何がめでたい」製作委員会 (C)佐藤愛子/小学館

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