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Netflix 映画『Ultraman: Rising』監督&共同監督が語る「ウルトラマンの持つ哲学が、自分が人生を生きるうえでとても助けになっている」

ガジェット通信 / 2024年7月12日 13時0分

株式会社円谷プロダクションとNetflixが、共同で製作を進めた CGアニメーション長編映画『Ultraman: Rising』 が世界独占配信中です。

1966 年の放送開始以来、57 年にわたり全世界で愛され続けている 不滅のヒーロー「ウルトラマン」を、『KUBO クボ 二本の弦の秘密』(2016・原案/キャラクターデザイン)などで知られ るクリエイター、シャノン・ティンドルが監督・脚本を担当し、CG アニメーション制作を、『スター・ウォーズ』『ジュラシックパーク』など、数々の名作、ヒット作を送りだしてきた「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」が手掛け、「親子」「家族」をテーマに、すべての世代で楽しめる新たなウルトラマンストーリーとして創造しています。

本作の見どころをシャノン・ティンドル監督とジョン・アオシマ共同監督のお2人に伺いました!

――ついに世界に向けて配信がスタートしました。何か反響はありましたか?

シャノン:初めてウルトラマン作品を見たファンの方たちからも、沢山“イケてる”というリアクションをもらっています。ワクワクした、感動したという声もありますが、多いのが「泣きました」というリアクションです。それは、作り手の僕らももちろん意図したことで、心を動かしてもらえるようなものを作りたかったので。もともとウルトラマンが好きなファンの方たちからは、映像が解禁になったタイミングでは「どうかな…?」という声も正直あったけれど、いざ観てもらってからは圧倒的にポジティブな反応をいただけて、本当に嬉しく思っています。

ジョン:僕も同僚や周りの人たちから「ものすごく泣いた!」というリアクションをもらって、女性の知人からは「泣きすぎてメイクが崩れちゃってどうしてくれるのよ!」なんて言われたこともありました(笑)。

―――お二人は子供の頃からウルトラマンシリーズが好きだということを多くの場面で語られてきましたが、子供から大人まで、多くの人の心を掴んで離さない、ウルトラマンというヒーローの魅力はどんなところでしょうか?

シャノン:未知の惑星、宇宙からからやってきた存在が、地球の科学化学特捜隊に受け入れられて活動するという設定自体が、変わっているけれどすごくクールだなと、子供の頃から思っていました。また、登場してくるアイテムのおもちゃや乗り物も本当に大好きで……大人になった今も大好きなんだけれど(笑)。今回、円谷プロさんとやり取りをしながら制作を進めてキャラクターへの理解もさらに深めていく中で、これは、樋口さん(監督)と庵野さん(脚本)の『シン・ウルトラマン』(2022)でも本当に美しく表現されていた概念だと思うのですが、ウルトラマンという存在は人類を守る=正しいことをするためなら、自分を犠牲にすることをいとわない。そういう部分がこのヒーローの魅力だと改めて思いました。

ジョン:作品に登場してくる乗り物や科学特捜隊の設定などが最高だなと思っていたのと同時に、巨大な怪獣と戦っているウルトラマンの姿に、本当に魅了されたのを覚えています。そして大人になった今、ウルトラマンシリーズの作品が表現しているものが何なのかということを改めて考えたら、彼(ウルトラマン)とより深いつながりを持つことができました。それはどういうことかというと、より良い人間になろうと大志を抱くことだと思うんです。自分に対して「これでいいのか」と自問をし続け挑戦をすること。あるいはどうしても自分の手には負えないような軋轢のようなものがあったとしても、そこから逃げずに対峙すること。そういう姿勢でいることで、ウルトラマンという存在が励ましてくれたり、頑張ろう!と思わせてくれる。どんな状況であれ、平和的なバランスや調和のとれた解決方法がきっとあるはずだから、と背中を押してくれる。そういうウルトラマンの持つ哲学が、自分が人生を生きるうえでとても助けになっています。家族、友人、仕事、そして社会的な面や、政治的な面も含めて、自分の世界の見方に凄く影響していると思います。

―――お話を聞いていても、ウルトラマンシリーズに対するお二人の愛情をすごく感じますが、作品に登場するKDF(怪獣防衛隊)のユニフォームが、初代『ウルトラマン』に登場する科学特捜隊のユニフォームのデザインに似ていたり、作品の冒頭に怪獣・ベムラーがチラッと登場しますが、ベムラーはまさにウルトラマンシリーズの最初に登場してくる怪獣です。そういう端々にも過去のウルトラマンシリーズへのオマージュやリスペクトが込められているのでしょうか?

シャノン・ジョン:その通り! あのユニフォームのデザインや色彩は取り入れています。ベムラーの登場も『ウルトラマン』をリスペクトしたものです。し、作品の中には実は他にも沢山オマージュを散りばめていますし、一つ一つに敬意を払って作りました。

―――「これまで長い道のりだった」と作品のイベントでもコメントされていました。シャノン監督は23年間も構想を練って来たとも仰っていましたが、全く新しいストーリー、キャラクターを作り上げる長い道のりで、苦労した部分はどんなところでしょうか?また、それをどのように乗り越えてきたのでしょうか?

シャノン:一度立ち上がった企画が途中で頓挫してしまうこともあって、作り手として非常に辛い思いもしながらも、最終的にNetflixで製作できることが決まりました。ただ、そんな中でコロナ禍になってしまいました。アニメーションの制作はクリエイター同士のコラボレーションやコミュニケーションを密にしながら進めていって、お互いに作ったものに「こうなんじゃないか」と意見を交わしながら作り上げていくものなのですがんだけれど、コロナ禍で対面での作業が制限されて、ノートパソコンの画面に向かって描いたものを見せあいながらやるというのは、やはり対面とは大きく違うものでした。それが制作においては大きな挑戦でした。

また、幅広い観客に届けるための作品でありながら、ウルトラマンという存在、作品をしっかりとリスペクトしたものにすること、そのバランスが非常に大きな挑戦でした。そして、日本という舞台を信ぴょう性を持ったものとして描くこと。街や文化をディテール(細かな)の部分までしっかりと描くことも大切にしました。ただ、それに関してはとても楽しい部分だったし、色々なことが学びになって、人として僕らを成長させてくれた部分でもあります。

ジョン:コロナ禍の作業という面では、それぞれのスタッフの作業場が自分の家になってしまうので、子供を持つクリエイターなんかは子供の勉強の面倒を見ながら作業していたり。自分の仕事とのバランスを取らなければいけないという難しい状況でした。そんな中で、僕たち二人は監督という立場で、それぞれのアーティストの状況を理解して、適切な形でサポートをしていかなければならなかった。それは、共感力を持たなければならなかったことだし、逆にそのような経験があったことで、このチームはより“家族”のように距離が縮まりました。だから、コロナ禍という一つの大きな挑戦から、とてもポジティブなものが生まれました。

それと同時に、ウルトラマンのレガシーというのはすごく重たいものであり、フランチャイズにリスペクトを払いながら、シャノン監督が温めてきた家族についての物語とを合体させるというのは、やはり容易いことではありませんでした。色々な話し合いや、時間をかけて作り上げていく必要がありました。ただ、Netflixというフォーマットでこのタイミングで製作されて、僕らも製作期間の中で人間として成熟し、コロナ禍の厳しい環境の中でもウルトラマンに励まされながら、最終的には“あるべき形”で皆さんに届けられると思っています。

―――「親子の絆」というのが作品の大きなテーマになっていますが、自身の両親からの教えで大切にしていることはありますか?

シャノン:父からの学びは、映画の中にも投影されているんですが、主人公のケンが父親のサトウ教授に「もしも守れなかったらと怖いと思ったことはないか」と聞くと、「戦いの度に思っていた」と答えます。これはまさに、自分の父親から学んだことと関連していて、自分が教わったのはとにかく考えすぎずにただその場にいることが大切だということ。その瞬間瞬間に対処していけばいいんだ、と。もちろん、色んなトレーニングを積んで準備万端にしたっていいけれど、何が起きるかは結局わからないのだから、一番大事なのはその場にいること。その学びは今も自分の中で生きています。私の 娘が幼い時に彼女にとって初めてのダンスの発表会があって、ただ、自分の都合が合わずに行けないかもしれず、実際にその心づもりで娘にも伝えていたんです。でもどうにか間に合うことができて会場に行ったその時の、自分を見た時の娘の顔が忘れられないんです。本当に父の言った通り、何も言わなくても、何もしなくても、ただ自分がそこにいるだけで彼女はすごく大きな意味を感じてくれている。それをすごく実感した瞬間でした。

ジョン:自分はシングルマザーとして育ててくれた母から、言葉で何かを言われたということではなく、その姿を見て“勇気”を学びました。それは、自分自身として自立する勇気、自分の夢を追う勇気、そして、自分を疑わない勇気。シングルマザーとして子供を育てるということは大きな挑戦だっただろうし、それは、自分が大人になった今もとてもよく理解できることなんだけど、だからより、自分の母こそに“ヒロイズム”というものを感じているし、子供を養うだけではなく、やりたいことへ背中を押してくれました。特に僕はアート、アニメーションの世界を目指していたので、そのために母がどのくらい支えてくれたのか、それは本当に素晴らしいことです。彼女が自立心というものを与えてくれたからこそ、自分は自分のことを信じることができたし、『Ultraman: Rising』という素晴らしい作品の製制作に携わるという、自分のこのキャリアを築くことができたと思います。

―――最後に、改めて本作『Ultraman: Rising』の見どころやメッセージをお願いします。

シャノン:私やジョンを含め、ウルトラマンを愛する最高のチームが全力を注ぎました。ウルトラマンを元々好きで見てきたファンの方にも、そうではない初めて触れる方にも楽しんでもらいたいと思っています。育ってきた環境や境遇が違ったとしても、きっと誰もがどこかに共感できる部分がある作品だと考えていますし、この映画が親子の会話のきっかけとなってくれることを期待しています。

ジョン:僕は小さい頃に日本に住んでいて、当時見ていたウルトラマンに対する想いというものはずっと持っていましたが、今回ウルトラマンのレガシーの一部になれたことを誇りに思うし、感謝しています。シャノン監督が言っていたように、多くの人間の愛が詰まった作品です。我々が感じた愛や感動を、作品を観る皆さんにも受け取ってもらえたら嬉しいです。

Netflix 映画『Ultraman: Rising』

Netflix にて世界独占配信中

(C)円谷プロ

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