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『インサイド・ヘッド2』ピート・ドクター(製作総指揮)インタビュー! 「新しい何かをみんなで見つけ続けているような作品づくりでした」(聞き手:ヤママチミキ)

ガジェット通信 / 2024年8月15日 10時0分

全世界が涙した『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『リメンバー・ミー』など、数々の心温まる感動の物語を贈り届けてきたディズニー&ピクサー。世界中の誰もが共感でき、深く感動できる物語が高く評価され、制作スタジオとしてアカデミー賞長編アニメーション賞を最多受賞しているピクサーが新たに送り出す、どんな人の中にも広がっている“感情たち”の世界を舞台にした『インサイド・ヘッド2』が大ヒット上映中です。

ディズニーをこよなく愛する12人組グループ「GANG PARADE」のヤママチミキさんが、前作の監督であり、本作で製作総指揮を務めるピート・ドクターさんにインタビュー!作品の魅力について、キャラクターたちへの想いについて、お話を伺いました!

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▲『インサイド・ヘッド』はもちろん、『モンスターズ・インク』、『カールじいさんの空飛ぶ家』、『ソウルフル・ワールド』等の監督を務め、数々のピクサー作品に関わってきたまさに神様的存在のピートさん!

――『インサイド・ヘッド2』大変素晴らしい作品でした。前作の原案・脚本・監督を務められたピートさんの心境はいかがですか?

ピートさん:世界でのヒットは嬉しいことこの上ないです。アメリカでも、国際的にもピクサー史上ナンバーワンヒットということですが、作品がヒットするかどうかは、予期出来ないことですよね。毎回最善を尽くして作っていても必ずしも結果が出るわけではないので、本当にすごいことだと思います。

――本作へどのように携わっていたのかを教えて下さい。

ピートさん:私は前作の監督をしていましたが、今回はピクサースタジオのチーフクリエイティブオフィサーという立場で、作品の鍵となる瞬間に関わっていました。最初に、どんな映画にしようかと考えていた際に、ケルシー監督の方から「シンパイ」のアイデアが出てきたんです。「自分ってもしかしたら価値がないんじゃないか」という人間が抱いてしまう不安(心配)を描いてはどうかと。私は、そのアイデアに対してGOサインを出して、そこから一歩退いて見ていました。

ケルシー監督のチームの方で脚本やストーリーボードが出来上がっていって、出来たものを私に戻してくれるのですが、最初の観客として、観客の代理人として、監督等が作ったもの見て「ここは笑った」「ここはちょっと混乱した」「ここは感動したかったのに、なぜかできなかった」などと意見を出して、共に分析するチームの一員になりました。もちろんアイデアを出したりすこともあったんですが、基本的には「作品に起こっている問題が何か」をクリアにして伝え、後は監督のチームに答えを出してもらう。そのような関わり方をしていました。

ーー前作『インサイド・ヘッド』の公開から9年経っていることにも驚きました。

ピートさん:本作の製作には、5年ほどかかっています。続編の話が出はじめてたのが前作の公開から3、4年経ってからなのでこのタイミングになったのですが、私自身はその間に『ソウルフル・ワールド』の監督をしていたので、ケルシーに監督をお願いしました。この9年、特にパンデミックの影響が大きく、社会の変化にあわせて色々な習慣が変化していきました。ピクサーにも様々な変化があって、若く才能のある監督たちが多く生まれていますし、皆さんの映像を鑑賞する習慣にあわせて、作品の公開の仕方も変わっていくのかなと思います。

配信サービスで映像を楽しむ方が一気に増えて、一時期は映画館に足を運ぶ人が減りました。ただ、ありがたいことに『インサイド・ヘッド2』は多くの方に劇場で楽しんでもらっているようです。これからも変化しながら、皆さんを楽しませることが出来たらと思っています。

【関連記事】大画面で味わう色彩とストーリーの素晴らしさ『ソウルフル・ワールド』レビュー

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――本作には新しい感情たちが登場しますが、監督や制作チームからキャラクターたちのアイデアがあがってきた際に、驚いたことはありましたか?

ピートさん:やっぱりシンパイですかね。シンパイはキャラクターのデザインを見ても非常にユニークで、他のキャラクターたちとは違うデザインだったと思います。しかし、キャラクターを単体でデザインするわけじゃないんですよ。他のキャラクターとのバランスを見なきゃいけない。ヨロコビやカナシミなど複数のキャラクターがひとつの画面に映ってることが大半なので、一緒にいる時にキャラクターを差別化して、成立させなければいけません。そんな中で、飛び出るような大きな目玉と、オレンジ色の髪の毛っていうそのルックスが最高でした。デザインを見た瞬間に「シンパイはまさにこうだな」と思いました。

――ピートさん自身もシンパイしたり、人のことをイイナーと思うことはありますか?

ピートさん:今はイイナーよりも、シンパイのほうが多く感じているかな(笑)。この2つは、どちらもネガティブな感情として捉えられがちだけど、ポジティブな側面もあるっていうことを、この映画で表現しているつもりです。

例えば「その筋肉羨ましいな」「髪の毛が綺麗で良いな〜」って思った時に、そのままにしておくと良くないかもしれませんが、ジムに通い始めるとか、見た目を綺麗にしてみるとか、イイナーと思ったことを達成したい、目標を作ったり、実際に行動ができますよね。それは健康的なことだと思います、もちろん悪い方に転がることもあるけれどね(笑)。

――前作『インサイド・ヘッド』から登場していた感情の成長や変化を感じました。ライリーと共に、ヨロコビたちも成長するという展開は意識していましたか?

ピートさん:考えていました。今回の作品では、一作目で見られなかったヨロコビが怒るシーンとか、「どうしていいかわからない」と不安な気持ちになっていることを認めています。キャラクターたちが何を象徴しているのかを守りながらも、彼女たちの限界を押し広げたいという風にも考えていました。ヨロコビには、「ライリーが成長しても、問題なんか起きるはずがない!」という盲目的といいますか、楽観主義的なところがあるけれど、この作品では、思春期を描くということもあって、楽観主義的ではないヨロコビを描きたかったのです。

とはいえ、ルールや展開のリストをあらかじめ作ってから、物語や展開を決めていたわけではありません。どちらかというと感覚的で、みんなで探りながら「これいい感じだな」「予想もしてなかった展開だけど、これは映画の核心なんじゃない?」という風に話しながら作っていました。制作過程自体が発見というか、新しい何かをみんなで見つけ続けているような感じでした。人生と同じだね!

ーー本作は「自分自身を受け入れる」というテーマになっています。このメッセージはいつかたまってきましたか?

ピートさん:前作の公開後には、続編について全く考えていませんでした。でもその後、ケルシー監督にいくつかアイデアを出してほしいとお願いして、出てきた一つが“思春期”でした。ケルシー監督は「前作のラストに出てきた思春期のアラームを鳴らしたい。そして「他にどんな感情があるのか、掘り下げてみたい」と言ってくれたんです。

ライリーの年齢的にも思春期を迎えるタイミングなんですが、例えば、生まれた時の私たちは親や保護者に愛されたり、支えられたりして生きることが多いわけです。ライリーくらいの年齢になると、一人で世界に飛び出していかなければいけなくなります。そうすると、それまで自然と受け入れられてきたのに、今度は受け入れてもらわなければならない。誰かと共に生きるために頑張らなければいけないんですね。だからこそ、他の新しい感情が現れるのだと思います。

自己意識のようなものが生まれはじめ、特定のグループに自分が合わないなとか合わせるために、「ここは自分を変えなきゃ」とか色々考えてしまう。それをある程度するのは自然なことだと思います。やっぱり人間っていうのは、コミュニティ、集団、共同体みたいなものの一員でいるために、個人としてちょっと犠牲を少々払わなければいけないかもしれない。それと同時に、ありのままの自分でもいたいですよね。生まれつき、誰だってユニークな個性を持ち合わせていて、ある種人生のゴールというのは、そのユニークさをどう表現するかっていうことだと思っています。

ありのままの自分でありながら、周りの世界にうまくフィットしていく、自分を受け入れてもらうということは、誰もが抱えているものすごく難しい問題で、ハッキリとした答えがありません。だからこそ、本作のメッセージは多くの人に響くのではないかと思います。

ーー本作に限らず、ピクサーの作品はキャラクターたちに自分を重ねることが出来て素晴らしいですよね。

ピートさん:意図している部分ももちろんありますが、自然にそうなっているとも言えます。意図的に共感を誘ってしまうと、観客の方たちはその空気を感じ取り、押し付けられているような感覚に陥ってしまいます。ピクサーの作品づくりというのは、まず絵コンテから始まります。脚本に合わせて制作した、絵コンテをコミックのように繋げて、本格的な映画の製作に入る前に、映画全体を可視化しています。その後、一度試写をして、みんなの感想をもらって、そこから作り上げていく。このプロセスを何度も何度も繰り返していきます。監督含めたチームの表現したいものをみんなで一度確認するんです。

この段階でも音楽やエフェクトをある程度つけているので、物語の軸の部分は伝わってくるのですが、思った通りにいかないことももちろんあります。そういうときは大体「アイデア」と「表現方法」のどちらかが違っています。アイデアや表現方法を活かして、上手にストーリーテリング出来るかが重要なんです。うまくいかなかった場合は、そのアイデア自体を全部無しにすることもあれば、アイデアは活かして、表現の仕方や物語の描き方を変えたりしてどうにか成立させていきます。

インタビュー後には、特製の『インサイド・ヘッド2』クッキーをプレゼントさせていただきました! ピートさん、素敵なお話をどうもありがとうございました!(イカリの顔真似が上手すぎる!)

インタビュアー:ヤママチミキ

撮影:オサダコウジ

クッキー制作:Kumi Ota

合同取材:映画.comさん、アニメイトタイムズさん

作品情報

『インサイド・ヘッド2』大ヒット上映中

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

(C)2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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