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『どっちの料理ショー』『鉄腕DASH』……企画が衰退していったときのリニューアルへの見極めが番組を左右する

ガジェット通信 / 2024年10月24日 17時0分

長寿番組に必ず訪れる“金属疲労”。いつの頃からか視聴率が振るわなくなり、どうあがいても落ちていってしまうことがある。そんな番組が衰退していったとき、どうリニューアルしたらいいのか、見極めがその後の番組寿命を左右する。

 

来年で放送20年を迎える『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)。その看板企画として番組人気を定着させたのが「DASH村」。福島の荒れた田畑を開墾し、自分たちの手で村を作るという前代未聞のチャレンジ企画だ。米作りに始まり、さまざまな物を栽培していたが、後半は何を栽培するのかに迷い、南国のフルーツを作るなど迷走していた。

そんな折、東日本大震災が発生。DASH村は事実上、継続不能となる。これに代わる企画の開発が急ピッチで進んだという。そこで生まれたのが「DASH島」である。開拓するという「村」の既視感がありつつも「冒険」という要素が加わることで、幅が広がり、新たな看板企画となった。

 

ここでポイントなのが、まったく違う方向性に舵を切るのではなく、これまでの「DASH村」を愛する視聴者も満足するような、それでいて同じではない着地点を見つけられたことだ。TOKIOが汗を流して自然と向き合うという「DASH村」のDNAが、「島」にもきちんと継承されている。

 

反対にリニューアルが裏目に出て番組が終わってしまうこともある。というよりこれまでのテレビの歴史においてはそのほうが多かったのではないだろうか。例えば『どっちの料理ショー』(同系)という番組があった。春巻きと餃子、牛丼と鉄火丼、ロールキャベツとメンチカツなど似通っている2つの料理をそれぞれ作り、どちらの料理がより食べたいかゲストに選んでもらうという料理ショーだった。

ところがやがて視聴率が低下。打開策を講じるべく、似通った食べ物ではなく同じ食べ物で競うケースが出たり、キッチンが3人になったりする回も見られるようになった。ついには『新どっちの料理ショー』として新装開店。一般公募の素人審査員「腹ヘリコプターズ」を入れたり、セットのデザインやナレーターも変えたが下落は止まらず、結局、1年半で終了。『どっちの料理ショー』シリーズは9年半で終止符が打たれた。

これは打ち切りになる典型的な最悪パターン。テコ入れにつぐテコ入れでどんどん視聴者が離れていってしまった。そもそもタイトルに「新」とついている時点で、視聴者に勢いのなさを示しているようなものだ。

企画、そして番組は生き物というが、どう寿命を延ばしてて長生きさせるかは、作り手の勘と読み、そして視聴者に足元を見られない、見透かされない綿密な企画戦略ということがこの2例からだけでも分かる。

(執筆者: 田中周作)

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