自己との戦い
ガジェット通信 / 2013年12月14日 14時0分
今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■自己との戦い
なんかまたネットで「他人のブログを叩くことの是非」問題が論じられているようだ。まあ、毎回毎回同じことの繰り返しなんだけど、人は入れ替わるものだから、初心者にとっては新しい話題なのだろう。誰もが思春期に差し掛かると、得意気に恋愛を語り出すようなもの。そんなのおまえのパパやママの時代からとっくに語り尽くされているんだよ(苦笑)。
で、例によって俺の偏見かも知れないが、この手の話を盛り上げるのは文系(=アホ)が多いように思う。ちょっと考えればわかると思うけど、「敵」は他人じゃない。強いて言えば「自分」。といっても「批判にくじけない強い心を持て」という単純な話じゃない。
問題の本質は批判されることではなくて批判される内容のはず。んでそれは突き詰めれば自分の思考の不完全な点を突き付けられているわけだ。誤解のないようにいうが、不完全だからダメだというのではない。そもそも人間の思考で完全なものは少ない。不完全であってもそのまま突っ走るしかない。でも不完全であることそれ自体は認めなければならない。
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ようするに批判の本質というのは不完全さの指摘なわけで、それはたとえ結論が正しくても、その証明方法に欠陥があれば、その欠陥が指摘されるのは避けることはできない。
自然科学とかの研究者とかはそれをいやというほどわかってると思うんだよね。自然はごまかせない。たとえ研究データをごまかして、人間は騙せても、自然法則そのものを変えることはできない。真理を探求するという目的においては、人間を騙すことはなんの意味もない。不完全さを解決するにはひたすら研究し続けるしかない。
プログラミングとかも同じなんだよね。バグを取るには、自分のプログラムの欠陥を見つけるしかない。泣いても笑っても結果はなじ。スポーツ選手とかもよく「自分との戦いだ」と言うけど、それもこういう意味なのだろう。
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研究でもスポーツでもプログラミングでも、その道を極めるということは、自分の中で完結することであって、他人がどうだこうだは、極めれば極めるほど関係なくなっていく。真理を追い求めることを選ぶ以上は、批判する人間への感情などどうでもいいこと。むしろ自分が気づかなかった点を(頼みもしないのにw)指摘してくれるのだらありがたいことだ。
批判されるのが嫌だというのは、目的が真理の探求ではなく、承認要求だと思うんだよね。「わかってほしい」と。つまりそもそも両者の目的が違う。「批判されるのが嫌だ」というブロガーは、承認要求を目的にブログを書いている。「批判などどこ吹く風」というブロガーは真理の探求が目的でブログを書いている。技術者や研究者に後者に多いのは、そういうことだろう。
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んで承認要求を目的にブログを書いている人なのだが、これってインフレするんだよね(苦笑)。だれでも自由に多くの人に自分の意見を読んでもらえる社会、それだけですばらしいと思うんだけどね。ちょっとまえまではそんなこと不可能だった。自費出版とかしたって、限界があった。それが可能になっただけで満足すべきだと俺は思うんだけどね。
ところがいまはそれでは満足できない人々が増えたらしい。批判されると自分の意見を発表するのに躊躇してしまうから、そういうことをしないでほしいという。贅沢になったものだ。
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でも仮にそれが実現したとしても、さらに欲求は増えると思う。みんなあの人のブログは褒めるのに、自分のブログだけは誰からも褒められない。これじゃ創作意欲がわかない。アクセス数をわからないようにしてほしい、みたいな。運動会で順位をつけるとビリになった子が可愛そうだから、手をつないでみんな同時にゴール、みたいな(笑)。
承認要求というのは本質的に我儘であることから目をそらしてはいけない。自分だけを見てほしい、でも自分が誰からも見られないのは嫌だ、つまり自分が勝者になりたい、というのが承認要求の本質。これは人間の競争本能を支える大事な感情。でも本能というのは、利己的で醜く残酷なものだ。それを美化しようとすると、どこかに歪みが出る。
自分の醜さを自覚しよう。醜さを否定してはいけない。醜さとは生物の本質に根ざしているものが多い。人間が生物である以上どうやっても取り除けない。醜さを強引に否定するということは、もっと醜悪になるということだから。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年12月13日時点のものです。
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