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そもそも「ローグライク」の「ローグ」って何なのさ?改めて「ローグライク」とは何か見直してみよう

Game*Spark / 2024年6月26日 15時0分


If a game can be “roguelike” then what game is “rogue”?
byu/lettuche ingaming

海外掲示板Redditにて、「『ローグライク』であるゲームに対して、いったいどのゲームが『ローグ』なのでしょう?」という投稿が行われ、多くの回答が集まり注目されています。


改めて「ローグライク」とは何かを問い直す


画像はSteam『Rogue』ストアページより

読者の多くは、この「『ローグライク』の『ローグ』とは何だ?」という質問に『Rogue』だ、と答えられるでしょう。カリフォルニア大学バークレー校の学生が1980年に自分たちが何度も遊ぶためにダンジョンの自動生成・アイテムの未鑑定要素などが盛り込まれたこのゲームは、1983年にUNIX BSDの添付ゲームとなり、世界中の理系学生の間に広まりました。Rogue自体も商業化され、1985年にはEpyxからIBM-PC環境向けに移植されています(Steamで販売されているのはこの商業化バージョンです)。


日本では1985年に開始されたパソコン通信「アスキーネット」経由で『Rogue』がプレイできた時期があり、1986年にアスキーから同ゲームのオフライン版も販売されました(前述のEpyx版とは異なる)。これが日本における『Rogue』の最初期の普及となります。


その後、『Rogue』をベースにした『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』が1993年にチュンソフトより発売、1995年には同社より『不思議のダンジョン2 風来のシレン』が発売され、日本では「不思議のダンジョン」系のゲームが「ローグライク」として認識されていく……というのは皆さまもよくご存じかと思います。


そもそも『ローグライク』という言葉を作ったゲームは何だ?


では問いましょう、「そもそも『ローグライク』という言葉を作ったゲームは何だ?」


これにも明確な回答が存在します。『Rogue』がUNIXにバンドルされて世界中の理系学生の間に広まったのは前述した通りですが、「自分たちも似たようなゲームを作ろう!」という学生が多数現れました。


アメリカのリンカーン・サドベリー高校の学生が1982年に開発し、後に大幅な拡張版が1984年にパソコン通信上で公開された『Hack』、パソコン通信経由で『Hack』を大幅に拡張し、1987年に初期バージョンが公開された『NetHack』、オクラホマ大学の学生が「指輪物語」の世界観を基に1983年に開発し、後の『ディアブロ』にも影響を与えたという『Moria』、当時UNIXに同梱された『Rogue』はソースコードが公開されていなかったので、目コピで『Rogue』を再現し1986年にオープンソースで公開された『Rogue Clone』(『Rogue』と『Rogue Clone』はまったく同一のゲームであると語られることがありますが、内部のダメージ計算式や敵の強さ、暗い部屋の有無などが違い、プレイ感覚的にはまったくの別ゲームです)など、多数の『Rogue』の影響を受けたゲームが誕生しました。これらのゲームを総称して、「ローグライク」という言葉が生まれたのです。


余談ですが、1978年にAppleIIで発売された『Beneath Apple Manor』というゲームはダンジョンの自動生成・アイテムの強化など『Rogue』と共通する要素を多数持ち、さらに1982年に発売された特別版では「スライムに目と口が描かれている」と、後のゲームに先行した要素を多数持ちます。『Beneath Apple Manor』と『Rogue』の製作者はお互いにこれらのゲームをプレイしたことがなく、ゲーム性が被ったのは偶然ということですが、『Beneath Apple Manor』の製作者は「もし私の作品がもっと売れていたら、今『ローグライク』と呼ばれているものは『Beneath Apple Manorライク』となっていただろう」と語っています。


なお、『風来のシレン』には「ペット(旅仲間)」「モンスターの肉」「保存の鞄(現行のバージョンでは軽量化の鞄)」「ジェノサイドの巻物」「泥棒が可能な店」「最終階層手前に"試練"と称した階層がある」など『NetHack』から影響を受けたと思わしき部分が多数あり、また初期の『トルネコ』『シレン』は『Rogue Clone』と同様に「防御力が上がると敵からの攻撃ダメージを割合で減算する」仕様となっている(『Rogue』は防御力が上がると回避率のみ上昇)など、『不思議のダンジョン』シリーズもこれらの「ローグライク」の影響を受けているであることがわかります。余談ですが、『魔界塔士Sa・Ga』の「モンスターの肉」システムも『NetHack』の肉システムを参考にしており、直接ローグライクとは関係ないゲームにも影響を受けている作品があります。


実は定義がある「ローグライク」


日本では「不思議のダンジョン」シリーズの影響で「ローグライクはアイテムを持たずに現地調達で、知識と経験をもとに1度きりのチャレンジで一方通行のダンジョンの制覇を目指すゲーム」とみなされることが多いですが、こういったゲーム性はあくまで『Rogue』が備えていたゲーム性であり、すべての「ローグライク」がすべてそんなゲーム性なのかというと、それは違います。


前述した『NetHack』は『風来のシレン』に多大な影響こそ与えているものの、「広大なダンジョンを行き来してプレイヤーを強化しながら魔除けの取得と昇天を目指す」というゲームであり、今でいうところの「ハック&スラッシュ」に近いゲーム性になっています。「ローグライク」という単語は、思った以上に広い範囲のゲーム性を網羅しているのです


2008年に各種ローグライクゲームの開発者が集って行われた「国際ローグライク開発会議」において、「ローグライク」のゲーム性を分解した「ベルリン解釈」というものが提唱されます。これは以下のような要素から構成されます。



  • ランダムマップ生成


  • パーマデス(1度死んだら生き返れない)


  • ターン制コンバット


  • グリッド移動


  • 複数の攻略法が可能な複雑さ


  • 非モーダル(すべてのアクションがいつでも実行可能)


  • リソース管理


  • ハックアンドスラッシュコンバット



これらの要素を組み合わせたゲームが「ローグライク」、という訳です。


「ローグライト」って時々言うのあるよね?


そして2010年代からは、上記の要素から少数の要素のみを抽出した、ときに「ローグライト」と呼ばれるゲームジャンルが登場しました。死ぬとすべてを失う要素とランダムマップ生成を持ちつつ、敵との戦闘をカードバトルに仕上げた『Slay the Spire』、ランダムマップ生成と前回プレイの成果はほとんど失いつつも、残ったリソースでキャラクターの基本能力の底上げなどが可能で、ゲーム自体は見下ろし型アクションとして仕上げた『Hades』が繰り返しプレイ前提の「ローグライト」の代表例です。


とは言え、「ローグライク」と「ローグライト」の判断は割とあいまいなのが実態です。これらの違いに踏み込んだものとしては、Valveが公開している記事もありますのでこちらも参照してください。


伝統的ローグライクのススメ


それでは、今から伝統的な「ローグライク」を遊ぶにはどうすればよいのか。以降、筆者の独断と偏見でおススメの伝統的ローグライクを挙げていきます。


まずは個人Webサイト「Y.Oz Vox」で配布されている各種ローグライクゲームを紹介します。このサイトではソースが公開されているローグライクゲームを、さまざまな改良を加えて配布しています。筆者が個人的にお勧めしておくのは元祖『Rogue』の改良版である『Rogue 5.4.5x』、『Moria』の改良版『Moria 5.6-2x』です。


前述の紹介で『NetHack』に興味を持った方におススメするのがjNetHackです。こちらは日本語に対応しており、日本のプレイヤーでも遊びやすい『NetHack』と言えます。このゲームは非常に難易度が高いので、攻略Wikiサイト「hackaholic」を参考にするのもよいでしょう(地味にこのサイト、読み物としても面白いです)。


『Moria』から派生したローグライクに『Angband』がありますが、これを日本人向けに徹底的に作り替えたのが『変愚蛮怒』です。さまざまなファンタジーのパロディが含まれる原作に、『ドラゴンクエスト3』の性格システムやさまざまな漫画・アニメ・ゲーム・テレビ番組などのパロディをさらにたくさんぶち込みつつも、優れたバランスや伝統的ローグライク未経験者でも遊びやすくするウインドウシステムなど、さまざまな改良が加えられたゲームです。ゲーム性は『Rogue』や『トルネコ・シレン』よりも『ディアブロ』といったハック&スラッシュ型のゲームの方が近いですが、これもまたローグライクの1つの形です。また、本作をベースに『東方Project』の世界観を取り込んだ二次創作『幻想蛮怒(旧称:変愚蛮怒勝手版)』も存在します。


人気のある伝統的ローグライクに『ToME』があります。『ToME』のバージョン2までは上記の個人サイト「Y.Oz Vox」で配布されていますが、最新バージョンの『ToME4』、正式名称『Tales of Maj'Eyal』はSteamでも配信されています。一部では「テイルズオブ読めない」なんて呼ばれてるゲームですね(ちなみに「テイルズオブマイ’イヤル」と読む)。


このゲームは伝統的ローグライクには珍しくグラフィックタイルを採用し、スキルなどの使用がオンラインゲームのように画面下部のツールバーに割り当て可能、Zキー一発による未探索領域の自動探索、「満腹度」の廃止など、とにかく遊びやすさに全振りした伝統的ローグライクになります。本作もやはりハック&スラッシュ色の強いゲームですが、強力なキャラクターをビルドして敵の群れをなぎ倒せるのは快感です。本作は通常価格も698円と安いのですが、各種セールの際はさらに大幅に割引されます。興味のある方は、一旦ウィッシュリストに放り込んでおいて、間もなくやってくるSteamサマーセールで購入するのがよいでしょう。


以上、筆者の独断と偏見による「ローグライク」の解説とおススメ作品の紹介でした。この記事が皆様の楽しいローグライク生活の一助となれば幸いです。


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