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『ファイナルファンタジーX』これはティーダの物語―決めポイントの変化に注目のインターナショナル版【ゲームで英語漬け#136】

Game*Spark / 2024年6月30日 17時0分

夏だ!海だ!コスタブリッツボールのシーズンだ! というわけで、7月は夏が来れば時々思い出したくなる『ファイナルファンタジーX』の英語版を特集します。

PS2で発売されたインターナショナル版では、英語の台詞を字幕用に再翻訳した専用の日本語台詞になっていました。ティーダの口癖「ッス」が無い、「祈り子」を「フェイス」と表記、ワッカの口調変更などオリジナルとは大きく印象が変わっています。インターナショナルが最初だった人はリマスターで違和感を覚えたかもしれません。


現在はグローバル発売の時点で多言語吹き替えが存在しているので、こうした「字幕用の字幕」がゲームで作られることはほとんどありません。吹き替えに合わせた字幕は文字数が多くなってしまうので、映像的には是非やってもらいたいところですが、AAA級のタイトルではとても貴重と言って良いでしょう。なお、コンソール版の『HDリマスター』では言語切り替えができないので、英語版にしたい場合はSteam版を購入してください。


Dialogue/Zanarkand


Listen to my story.
This may be our last chance.


俺の物語を聞いてくれ
きっとこれが最後のチャンスだから


「最後かもしれないだろ?だからぜんぶ話しておきたいんだ」、説明不要の名台詞ですね。英語版ではここに「Story」の文脈が入ってきます。自分の物語は自分で決める、というのが主題で、日本語版ではアーロンが最初に使う言葉ですが、こちらではティーダ自身の第一声からスタート。シナリオ上ティーダが始めてティーダの“I know it's selfish... but this is my story!”で決着をつける形です。


2行目の“May”はどのくらいの確度かというと、大体半々ぐらいに相当するようで、「かもしれない」の印象よりは、そうなりそうな予感がします。合わせると、ティーダは「物語」が終わることを覚悟している、というニュアンスが強めに感じられますね。


You are sure?
This is it.
This is your story.
It all begins here.


いいんだな?
これが―これがお前の物語だ
全てはここから始まる


「これがお前の物語だ」は行を入れ替え、「始まり」の方に重きが置かれています。“This is it”というとマイケルジャクソンですが、このフレーズ自体は「言ったとおりの意味(それ以外の解釈はない)」「まさしくそれだ」という念押しの強調として使われます。


この場面においては、ティーダの物語は今まさにここから、つまりそれまでのブリッツボールのエースも序章ですらない、そのくらいの強調と取っても良いでしょう。


I thought about a lot of things...
like where I was,
what I’d got myself into.
I started to feel light-headed...
and then, sleepy.
I think I had a dream.
A dream of being alone.
I wanted someone―
anyone, beside me...
so I didn’t have to feel alone anymore.


いろんなことが頭をよぎった…
今どこにいるかとか 何に巻き込まれたのかとか
だんだんぼーっとしてきて そして眠くなった
たぶん夢を見ていたんだと思う
ひとりぼっちで見る夢
欲しいと思ったんだ そばにいてくれる誰かが
もうこれ以上寂しくないように


この場面の中で“I think I had a dream.”と1ヶ所だけ現在形の文がありますね。この前には「Think」の過去形で“I thought about a lot of things”があり、ここで大事なのが「時制の一致」です。読むポイントはどの立場でどの時点に言及しているのかを把握すること。この物語は、終盤のザナルカンドの時点からティーダが過去の出来事を回想で振り返る形で語られます。そのため、このモノローグの「現在」はザナルカンドのティーダで、「過去形」で表されるのは回想の場面で思ったり感じたことです。これを、回想ではなく出来事時の視点に直すとこうなります。


I think about a lot of thing... like where I am, what I got myself into.


最後の部分は、何に巻き込まれ「た」という、その時点での「過去」を表します。「I'd」は「I would」「I had」の二つの可能性がありますが、助動詞Willの過去形である「Would」の次には動詞の原形しかとれないので、動詞Getの過去分詞「Got」であるから「I had」の方だと判別できます。


これを改めて過去に戻すとき、それ以前の過去をもう一段過去に戻さなくてはいけません。過去の時点からさらに過去、と言う区別をしないと、先ほどのように時制を戻した場合にこのずれが消えてしまいます。そこで必要になるのが「had+過去分詞」の「過去完了形」というわけです。


逆に、これから何が起こるのかなどの「Will」の未来形を含んだ文を過去に移動するときは、上記の通り「Would+動詞の原形」になります。「~'d」の次が原形か過去分詞か、ここを間違えると訳が大きく変わってしまうので気をつけましょう。


後半ではジェクトがいなくなった孤独を仄めかしていて、ここで寄り添ってくれる誰かという意味で「Beside」の単語が入っています。綴りは違いますが、この後に辿り着いて仲間と出会う「Besaid」を示唆しているのです。


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